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第3章 武術大会編
9 謁見
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観覧室でレオンハルトは、テオドールについてエドワード国王に報告した。
「陛下。是非ともテオドールを、近衛騎士団の一員として迎え入れるよう、推挙申し上げます」
「その理由を述べよ」
「テオドールが敵に回るようなことになれば、我々は壊滅的な打撃を受けるでしょう。彼が剣術を極めれば、私を凌駕する剣士になります。そうなれば近衛が束になっても、彼には敵いません」
「それはまことか? 近衛はこの国の精鋭だぞ。かの少年が一人で、この国の脅威になり得るというのか」
「はい」
レオンハルトは険しい表情で答えた。
しばらくしてベオウルフが、テオドールとアルフレッドを観覧室に連れてきた。
テオドールはアルフレッドに倣って、国王の前で片膝をついて顔を伏せる。
威厳はあるが人柄の良さが滲み出た表情で国王は、
「顔を上げよ。見事な戦いぶりであった。その力、近衛騎士団のために役立ててはくれぬか?」
問いかけられたテオドールに代わって、アルフレッドが口を開く。
「恐れながら陛下。テオドール様は異国のお方で、片言しか話せません。私が仲介することをお許しください」
「うむ。よろしく頼む」
国王の許可を得て、アルフレッドはテオドールに、近衛騎士団について説明した。
するとテオドールが入団を拒否したので、国王が理由を尋ねると、
「エレナ、助ける。だから、出来ない」
「エレナ? どういうことか、説明してくれるか。アルフレッド執事」
アルフレッドは迷ったが、虚偽を述べれば男爵家への重罰も免れないので、真実を話すことにした。
男爵がジェローム子爵に借金をして、食糧難に陥った領民を救ったことや、武術大会で優勝しないとエレナを失うことになり、テオドールが助けようとしていることなどを、嘘偽りなく申し上げた。
そして男爵が余命数日と知った国王は、神妙な面持ちで、
「そうであったのか。ならば近衛の話は、しばらく持ち越すとしよう。それからジェローム子爵に命じて、借金の件も保留にさせる。もう下がってよいぞ」
国王は男爵家を慮り、安心して男爵を最後まで看取り、葬儀を済ませられように、配慮したのである。
それを察したアルフレッドは、深く感謝を述べると、テオドールを連れて観覧室を後にした。
アルフレッドは手当室に戻ると、グレース夫人とエレナに謁見の内容を報告した。
一時的ではあるが、子爵が手出しできなくなり、グレース夫人とエレナは安堵する。
国王の配慮で、しばらく施設を使えることになり、女性は手当室で、男性は別室で寝泊まりすることになった。
グレース夫人とエレナは男爵の手を握り締め、奇跡が起こり回復することを祈り続けた。
夜になると二人は空きベッドで眠り、その間はジュリエットが男爵を見守っていた。
毎日男爵の容態を診にきている医師がアルフレッドに、
「ワシの見立てでは、男爵は三日と持たなかった。だが一週間経つというのに、容態が悪化するどころか、日に日に顔色が良くなり、回復の兆しが見られる。まったく有り得ぬことだ。何か特別な薬でも与えているのか?」
「いいえ。旦那様は昏睡状態が続いていて、何も口にしてはおりません」
するとエレナとグレース夫人が、
「きっと神様が、奇跡を起こしてくださったのよ。私たちが毎日、回復するように祈っていたから」
「そうよ。エレナの言う通りだわ」
テオドールとジュリエットにも尋ねたが、心当たりがないと返され、国内最高位の医師は首を捻る。
その夜テオドールは、医師の言葉が気になって、中々寝付けなかった。
そこで手当室の扉をそっと開けて中を覗くと、ジュリエットが男爵に唇を重ねていた。
「陛下。是非ともテオドールを、近衛騎士団の一員として迎え入れるよう、推挙申し上げます」
「その理由を述べよ」
「テオドールが敵に回るようなことになれば、我々は壊滅的な打撃を受けるでしょう。彼が剣術を極めれば、私を凌駕する剣士になります。そうなれば近衛が束になっても、彼には敵いません」
「それはまことか? 近衛はこの国の精鋭だぞ。かの少年が一人で、この国の脅威になり得るというのか」
「はい」
レオンハルトは険しい表情で答えた。
しばらくしてベオウルフが、テオドールとアルフレッドを観覧室に連れてきた。
テオドールはアルフレッドに倣って、国王の前で片膝をついて顔を伏せる。
威厳はあるが人柄の良さが滲み出た表情で国王は、
「顔を上げよ。見事な戦いぶりであった。その力、近衛騎士団のために役立ててはくれぬか?」
問いかけられたテオドールに代わって、アルフレッドが口を開く。
「恐れながら陛下。テオドール様は異国のお方で、片言しか話せません。私が仲介することをお許しください」
「うむ。よろしく頼む」
国王の許可を得て、アルフレッドはテオドールに、近衛騎士団について説明した。
するとテオドールが入団を拒否したので、国王が理由を尋ねると、
「エレナ、助ける。だから、出来ない」
「エレナ? どういうことか、説明してくれるか。アルフレッド執事」
アルフレッドは迷ったが、虚偽を述べれば男爵家への重罰も免れないので、真実を話すことにした。
男爵がジェローム子爵に借金をして、食糧難に陥った領民を救ったことや、武術大会で優勝しないとエレナを失うことになり、テオドールが助けようとしていることなどを、嘘偽りなく申し上げた。
そして男爵が余命数日と知った国王は、神妙な面持ちで、
「そうであったのか。ならば近衛の話は、しばらく持ち越すとしよう。それからジェローム子爵に命じて、借金の件も保留にさせる。もう下がってよいぞ」
国王は男爵家を慮り、安心して男爵を最後まで看取り、葬儀を済ませられように、配慮したのである。
それを察したアルフレッドは、深く感謝を述べると、テオドールを連れて観覧室を後にした。
アルフレッドは手当室に戻ると、グレース夫人とエレナに謁見の内容を報告した。
一時的ではあるが、子爵が手出しできなくなり、グレース夫人とエレナは安堵する。
国王の配慮で、しばらく施設を使えることになり、女性は手当室で、男性は別室で寝泊まりすることになった。
グレース夫人とエレナは男爵の手を握り締め、奇跡が起こり回復することを祈り続けた。
夜になると二人は空きベッドで眠り、その間はジュリエットが男爵を見守っていた。
毎日男爵の容態を診にきている医師がアルフレッドに、
「ワシの見立てでは、男爵は三日と持たなかった。だが一週間経つというのに、容態が悪化するどころか、日に日に顔色が良くなり、回復の兆しが見られる。まったく有り得ぬことだ。何か特別な薬でも与えているのか?」
「いいえ。旦那様は昏睡状態が続いていて、何も口にしてはおりません」
するとエレナとグレース夫人が、
「きっと神様が、奇跡を起こしてくださったのよ。私たちが毎日、回復するように祈っていたから」
「そうよ。エレナの言う通りだわ」
テオドールとジュリエットにも尋ねたが、心当たりがないと返され、国内最高位の医師は首を捻る。
その夜テオドールは、医師の言葉が気になって、中々寝付けなかった。
そこで手当室の扉をそっと開けて中を覗くと、ジュリエットが男爵に唇を重ねていた。
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