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第4章 近衛騎士団編
10 裁断
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宮殿に着くとテオドールは、国王夫妻がいる部屋の前までセリーヌを運んだ。
そこで降りたセリーヌは、扉を開けて中に入ると、迷子のごとく母親に駆け寄り、抱きついて号泣した。
攫われたときセリーヌは、子爵から自身が辿る悲惨な末路を聞かされ、二度と生きて両親に会えないと絶望した。
その為、安堵や甘えなどの複雑な感情が入り混じって爆発したのだ。
「セリーヌよ。何があったのだ!?」
エドワード国王が尋ねるも王女は泣きじゃくって声にならないので、レオンハルトが経緯を報告した。
「――王女殿下を危険な目にあわせてしまい、大変申し訳ございません。すべては王女殿下から離れた私の責任です。いかなる処分をも受ける覚悟です」
するとセリーヌは国王に縋りつき、
「父上。レオンハルト団長のせいではありません。他の護衛を断った私が、いけないのです――」
レオンハルトを慕う娘が、我がままを通したのだと悟り、国王はため息をついた。
「今は、犯行に関与した者どもをすべて捕らえ、事件の真相を明らかにすることが先決である。レオンハルトの処分は、その後だ」
レオンハルトを下がらせたあと、国王は娘を戒めるため椅子に座らせた。
「セリーヌよ。お前がちゃんと護衛をつけていれば、攫われることはなかったのだ。これからは、我がままを慎みなさい」
国王は厳格な態度で、父親としての威厳を示した。
「あんまりですわ。父上への逆恨みで、私は攫われたのですよ。本当に恐ろしくて、堪らなかったんだから。それなのに、とばっちりを受けた私を責めるなんて、酷すぎます。もう父上とは、口も利きたくありません」
セリーヌは怒りを露に、部屋を出て行こうとする。
「す、済まない。セリーヌの言う通りだ。我が悪かった。許して欲しい――」
情けない顔で国王が平謝りすると、セリーヌは振り返り、
「では、お願いを聞いてくださったら、許してあげますわ」
「お願いとは、なんだ?」
「もう二度と同じ目にあいたくないので、近衛のテオドールを私専属の護衛にしてください」
◇◆◇◆◇
国王一家が王城に戻ると、テオドールの功績を称える式典が、玉座の間で執り行われた。
褒美に無関心なテオドールは辞退したが、団長らに説得されて出席した。
儀式には、近衛の団員に加えジュリエットも参加している。
テオドールは、国王から報奨金や領土、騎士の称号を与えられた。
そして王女の専属護衛に任命されると、ジュリエットが手を上げて、
「その任命は断らせてもらうぞ」
「何なんですか、貴女は!? 不敬ですよ」
セリーヌが柳眉を逆立てて言い放つと国王は、
「構わぬ。彼女はジュリエットといって、テオドールの姉だ。不敬は許しておる。ジュリエットよ、理由を聞かせてもらえるか」
「いづれテオは、オークハート領へ赴任することになっている。それが入団時の条件だからな。それを反故にするなら、近衛を退団させてもらう」
オークハート領なら、緋竜山から通えるし、魔獣退治など男爵の領地経営に貢献できるからだ。
今回の件で、テオドールの必要性を痛感した国王は、専属の任命を取り消し、セリーヌも引き下がった。
◇◆◇◆◇
それから間もなく、事件に加担した者はすべて捕らえられた。
レオンハルトが事件の真相を報告すると国王は、
「よくぞこの短期間で解決してくれた。だが、レオンハルトよ。王女を危険に晒したことは、重大な過ちで厳罰は免れないぞ」
「はい。心得ております」
レオンハルトは片膝をついて顔を伏せたまま返した。
「しかし我にも非がある。ジェロームを野放しにしたことや、娘を甘やかして我がままに育てたことは、我の責任だ。それに貴殿ほど、我が国に尽くして貢献した者はおらぬ。ゆえに、お咎めはなしとする。貴殿の力が必要だ。これからも、この国と我を支え続けて欲しい」
国王の慈悲深い裁断に、レオンハルトは心より感謝し、より一層の忠誠を誓った。
そこで降りたセリーヌは、扉を開けて中に入ると、迷子のごとく母親に駆け寄り、抱きついて号泣した。
攫われたときセリーヌは、子爵から自身が辿る悲惨な末路を聞かされ、二度と生きて両親に会えないと絶望した。
その為、安堵や甘えなどの複雑な感情が入り混じって爆発したのだ。
「セリーヌよ。何があったのだ!?」
エドワード国王が尋ねるも王女は泣きじゃくって声にならないので、レオンハルトが経緯を報告した。
「――王女殿下を危険な目にあわせてしまい、大変申し訳ございません。すべては王女殿下から離れた私の責任です。いかなる処分をも受ける覚悟です」
するとセリーヌは国王に縋りつき、
「父上。レオンハルト団長のせいではありません。他の護衛を断った私が、いけないのです――」
レオンハルトを慕う娘が、我がままを通したのだと悟り、国王はため息をついた。
「今は、犯行に関与した者どもをすべて捕らえ、事件の真相を明らかにすることが先決である。レオンハルトの処分は、その後だ」
レオンハルトを下がらせたあと、国王は娘を戒めるため椅子に座らせた。
「セリーヌよ。お前がちゃんと護衛をつけていれば、攫われることはなかったのだ。これからは、我がままを慎みなさい」
国王は厳格な態度で、父親としての威厳を示した。
「あんまりですわ。父上への逆恨みで、私は攫われたのですよ。本当に恐ろしくて、堪らなかったんだから。それなのに、とばっちりを受けた私を責めるなんて、酷すぎます。もう父上とは、口も利きたくありません」
セリーヌは怒りを露に、部屋を出て行こうとする。
「す、済まない。セリーヌの言う通りだ。我が悪かった。許して欲しい――」
情けない顔で国王が平謝りすると、セリーヌは振り返り、
「では、お願いを聞いてくださったら、許してあげますわ」
「お願いとは、なんだ?」
「もう二度と同じ目にあいたくないので、近衛のテオドールを私専属の護衛にしてください」
◇◆◇◆◇
国王一家が王城に戻ると、テオドールの功績を称える式典が、玉座の間で執り行われた。
褒美に無関心なテオドールは辞退したが、団長らに説得されて出席した。
儀式には、近衛の団員に加えジュリエットも参加している。
テオドールは、国王から報奨金や領土、騎士の称号を与えられた。
そして王女の専属護衛に任命されると、ジュリエットが手を上げて、
「その任命は断らせてもらうぞ」
「何なんですか、貴女は!? 不敬ですよ」
セリーヌが柳眉を逆立てて言い放つと国王は、
「構わぬ。彼女はジュリエットといって、テオドールの姉だ。不敬は許しておる。ジュリエットよ、理由を聞かせてもらえるか」
「いづれテオは、オークハート領へ赴任することになっている。それが入団時の条件だからな。それを反故にするなら、近衛を退団させてもらう」
オークハート領なら、緋竜山から通えるし、魔獣退治など男爵の領地経営に貢献できるからだ。
今回の件で、テオドールの必要性を痛感した国王は、専属の任命を取り消し、セリーヌも引き下がった。
◇◆◇◆◇
それから間もなく、事件に加担した者はすべて捕らえられた。
レオンハルトが事件の真相を報告すると国王は、
「よくぞこの短期間で解決してくれた。だが、レオンハルトよ。王女を危険に晒したことは、重大な過ちで厳罰は免れないぞ」
「はい。心得ております」
レオンハルトは片膝をついて顔を伏せたまま返した。
「しかし我にも非がある。ジェロームを野放しにしたことや、娘を甘やかして我がままに育てたことは、我の責任だ。それに貴殿ほど、我が国に尽くして貢献した者はおらぬ。ゆえに、お咎めはなしとする。貴殿の力が必要だ。これからも、この国と我を支え続けて欲しい」
国王の慈悲深い裁断に、レオンハルトは心より感謝し、より一層の忠誠を誓った。
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