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第6章 聖アウロス教会編
9 スタンピード
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翌日、国王は数名の近衛騎士と共に、魔の森が見える場所へ向かった。
国王は馬車の中から戦いを見守り、火竜が負けたら降伏して、命を差し出すつもりである。
◇◆◇◆◇
聖騎士の大軍は、魔の森に差し掛かると、東側に迂回してドラゴニア王国に侵攻した。
「これが魔物や魔獣が棲むという、魔の森か」
「あの大きな山に、竜が棲んでいるんだろ」
「架空の生き物かと思ってたけど、竜って本当にいるんだな」
「異端者を皆殺しにした後、竜も討伐しろという命令だ」
「あの山に辿り着くまでに、多くの魔物や魔獣に出くわすんじゃないか」
「心配ない。所詮、魔物や魔獣がいくらいても烏合の衆だ。俺たちは、厳しい訓練を受けて、統制のとれた軍隊だからな」
「そうだとも。腕が鳴るな。魔物どもを、狩りまくってやるぜ」
などと聖騎士たちは盛り上がりながら、鬱蒼とした大きな森のすぐ横を進んだ。
やがて聖騎士団の大軍は、国王から見えるところまで進軍した。
土煙を舞い上げ行軍する、聖騎士の圧倒的な規模に、国王は戦慄を禁じ得なかった。
その時、聖騎士団の東(森と反対)側に、突如十数頭の巨大な竜が出現した。
ヴェラントが率いる竜軍団が、聖騎士団が来るのを、待ち構えていたのである。
火竜は小鳥の姿に変化していたので、元の姿(巨竜)に戻るまで、誰も気づかなかった。
聖騎士たちは騒然となり、怯えた馬が暴れ出して隊列が乱れるも、すぐに立て直された。
指揮官の命令で、聖騎士は竜に向きを変え、弓兵が前に出て構える。
すると魔の森から、数多の魔獣や魔物が現れ、聖騎士を背後から襲い掛かった。
ジャイアント・ボアが突進して、次々と聖騎士を馬ごと跳ね飛ばす。
倒れた聖騎士を、ゴブリンやオーガなどが、とどめを刺していく。
火竜は口から火球を放ち、上空からは、巨大なロック鳥の群れが、聖騎士を目掛けて、大きな岩を落とした。
魔物の頂点に立つ竜は、魔の森において支配者的な存在である。
前日、緋竜山に戻ったジュリエットは、魔の森に棲む魔物や魔獣を招集した。
そして、聖騎士団が魔物たちを討伐しに来ると伝え、力を合わせて返り討ちにするよう、命じたのである。
魔物たちが、連携して獲物を狩るように、聖騎士たちを包囲して追い込んでいく。
それはエドワード国王にとって、信じがたい光景だった。
オークハート男爵領の一角にある、魔の森に棲む魔物たちだけで、ドラゴニア王国の兵力では到底敵わない聖騎士の大軍が、狩られていくのである。
全方向からの攻撃に対応すべく円形陣を敷くも、徐々に削られていく聖騎士団は、余儀なく撤退を強いられた。
その様子を離れた場所から見ていた国王は、
「レオンハルト。魔物たちが、勝ったのか?」
「はい。そのようです。陛下」
国王は、命拾いしたと胸をなで下ろすも、すぐさま後悔の念に駆られた。
テオドールとジュリエットは、国王と王女の命、そして国を救った恩人である。
その二人は国王のもとを去り、もう二度と会うことは、叶わないかもしれないのだ。
国王は、掛け替えのない恩人に思いを馳せ、しばらく緋竜山を遠い目で眺めた。
教会の本部に帰還できたのは、百名にも満たない、負傷した聖騎士だけである。
その報告を受け、聖騎士のもとに駆け付けた教皇は、
「一体、何があったというのだ!?」
「ドラゴニア王国にある魔の森で、スタンピードが発生し、聖騎士団が巻き込まれました。帰還できたのは数十名で、壊滅状態です」
教皇は青ざめ、ガタガタと震えながら頽れた。
国王は馬車の中から戦いを見守り、火竜が負けたら降伏して、命を差し出すつもりである。
◇◆◇◆◇
聖騎士の大軍は、魔の森に差し掛かると、東側に迂回してドラゴニア王国に侵攻した。
「これが魔物や魔獣が棲むという、魔の森か」
「あの大きな山に、竜が棲んでいるんだろ」
「架空の生き物かと思ってたけど、竜って本当にいるんだな」
「異端者を皆殺しにした後、竜も討伐しろという命令だ」
「あの山に辿り着くまでに、多くの魔物や魔獣に出くわすんじゃないか」
「心配ない。所詮、魔物や魔獣がいくらいても烏合の衆だ。俺たちは、厳しい訓練を受けて、統制のとれた軍隊だからな」
「そうだとも。腕が鳴るな。魔物どもを、狩りまくってやるぜ」
などと聖騎士たちは盛り上がりながら、鬱蒼とした大きな森のすぐ横を進んだ。
やがて聖騎士団の大軍は、国王から見えるところまで進軍した。
土煙を舞い上げ行軍する、聖騎士の圧倒的な規模に、国王は戦慄を禁じ得なかった。
その時、聖騎士団の東(森と反対)側に、突如十数頭の巨大な竜が出現した。
ヴェラントが率いる竜軍団が、聖騎士団が来るのを、待ち構えていたのである。
火竜は小鳥の姿に変化していたので、元の姿(巨竜)に戻るまで、誰も気づかなかった。
聖騎士たちは騒然となり、怯えた馬が暴れ出して隊列が乱れるも、すぐに立て直された。
指揮官の命令で、聖騎士は竜に向きを変え、弓兵が前に出て構える。
すると魔の森から、数多の魔獣や魔物が現れ、聖騎士を背後から襲い掛かった。
ジャイアント・ボアが突進して、次々と聖騎士を馬ごと跳ね飛ばす。
倒れた聖騎士を、ゴブリンやオーガなどが、とどめを刺していく。
火竜は口から火球を放ち、上空からは、巨大なロック鳥の群れが、聖騎士を目掛けて、大きな岩を落とした。
魔物の頂点に立つ竜は、魔の森において支配者的な存在である。
前日、緋竜山に戻ったジュリエットは、魔の森に棲む魔物や魔獣を招集した。
そして、聖騎士団が魔物たちを討伐しに来ると伝え、力を合わせて返り討ちにするよう、命じたのである。
魔物たちが、連携して獲物を狩るように、聖騎士たちを包囲して追い込んでいく。
それはエドワード国王にとって、信じがたい光景だった。
オークハート男爵領の一角にある、魔の森に棲む魔物たちだけで、ドラゴニア王国の兵力では到底敵わない聖騎士の大軍が、狩られていくのである。
全方向からの攻撃に対応すべく円形陣を敷くも、徐々に削られていく聖騎士団は、余儀なく撤退を強いられた。
その様子を離れた場所から見ていた国王は、
「レオンハルト。魔物たちが、勝ったのか?」
「はい。そのようです。陛下」
国王は、命拾いしたと胸をなで下ろすも、すぐさま後悔の念に駆られた。
テオドールとジュリエットは、国王と王女の命、そして国を救った恩人である。
その二人は国王のもとを去り、もう二度と会うことは、叶わないかもしれないのだ。
国王は、掛け替えのない恩人に思いを馳せ、しばらく緋竜山を遠い目で眺めた。
教会の本部に帰還できたのは、百名にも満たない、負傷した聖騎士だけである。
その報告を受け、聖騎士のもとに駆け付けた教皇は、
「一体、何があったというのだ!?」
「ドラゴニア王国にある魔の森で、スタンピードが発生し、聖騎士団が巻き込まれました。帰還できたのは数十名で、壊滅状態です」
教皇は青ざめ、ガタガタと震えながら頽れた。
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