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キャンパスで!
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僕たちは同棲を始めた。
大学のキャンパスで、幼馴染の歩美と六年ぶりに再会したのがきっかけだった。
小学校の頃、机を並べて笑い合った記憶が蘇る。
「・・あのぉ~・・良平くん?」
不意に呼び止められた僕は、最初彼女が誰なのかわからなかった。
戸惑う僕に、彼女は少し寂しそうに微笑んで言った。
「小学生の頃、同じクラスで隣の席だった歩美ですよ」
「あ・・木之原・・歩美さん?」
「やっぱり良平くんだよね・・良かった人違いじゃなくて」
その瞬間、時間が逆流するように、幼い日の面影と彼女の笑顔が重なった。
それから自然と一緒に過ごすことが増え、気づけば恋人のような関係になっていた。
ある日の土曜日・・手を繋ぎながら歩いた帰り道、歩美は突然言った。
「ねぇ、良平くん・・私たち、同じアパート暮らしでしょ?・・だったら一緒に住んだ方が、お互い色々な面で楽になると思うんだけど・・」
彼女の言葉に僕は少し驚いた。
けれど、それ以上に嬉しかったのも事実だった。
そして同棲生活が始まった。
最初の頃は、狭い部屋さえ宝物みたいに思えた。
一緒に作る食事、一緒に見る映画、些細な喧嘩さえも、どこか愛おしかった。
けれど・・・!
一緒にいる時間が増えるほど、見えてくる違いも増えていった。
僕は夜型で、彼女は朝型。
僕は静かな時間を好み、彼女は賑やかに話したがった。
最初は「まぁ大丈夫だよ」と笑い飛ばせたが・・小さな違いが・・少しずつ心の中に澱のように積もっていった。
互いに歩み寄ろうとした。
努力もした。
けれどその努力さえも、やがて「無理をしている」という苦しさに変わっていった。
夜・・彼女の寝顔を見つめながら思う。
「なぜだろう・・こんなに好きなのに・・どうしてすれ違ってしまうんだろう」
ある雨の日、彼女がふと呟いた。
「ねぇ・・私たちって・・同棲する前の方が仲良かったよね」
その言葉が胸に突き刺さる。
僕も同じことを考えていたから。
愛しているのに、近すぎて壊れていく。
手を伸ばせばそこにいるのに、どこか遠い。
僕たちは、同棲を始めたあの日から、少しずつ「別れ」に向かって歩き出していたのかもしれない。
別れは、喧嘩でも裏切りでもなく、静かな決断だった。
愛しているのに一緒にはいられない。
そんな矛盾を抱えたまま、僕たちは同棲を終えた。
大学のキャンパスで、幼馴染の歩美と六年ぶりに再会したのがきっかけだった。
小学校の頃、机を並べて笑い合った記憶が蘇る。
「・・あのぉ~・・良平くん?」
不意に呼び止められた僕は、最初彼女が誰なのかわからなかった。
戸惑う僕に、彼女は少し寂しそうに微笑んで言った。
「小学生の頃、同じクラスで隣の席だった歩美ですよ」
「あ・・木之原・・歩美さん?」
「やっぱり良平くんだよね・・良かった人違いじゃなくて」
その瞬間、時間が逆流するように、幼い日の面影と彼女の笑顔が重なった。
それから自然と一緒に過ごすことが増え、気づけば恋人のような関係になっていた。
ある日の土曜日・・手を繋ぎながら歩いた帰り道、歩美は突然言った。
「ねぇ、良平くん・・私たち、同じアパート暮らしでしょ?・・だったら一緒に住んだ方が、お互い色々な面で楽になると思うんだけど・・」
彼女の言葉に僕は少し驚いた。
けれど、それ以上に嬉しかったのも事実だった。
そして同棲生活が始まった。
最初の頃は、狭い部屋さえ宝物みたいに思えた。
一緒に作る食事、一緒に見る映画、些細な喧嘩さえも、どこか愛おしかった。
けれど・・・!
一緒にいる時間が増えるほど、見えてくる違いも増えていった。
僕は夜型で、彼女は朝型。
僕は静かな時間を好み、彼女は賑やかに話したがった。
最初は「まぁ大丈夫だよ」と笑い飛ばせたが・・小さな違いが・・少しずつ心の中に澱のように積もっていった。
互いに歩み寄ろうとした。
努力もした。
けれどその努力さえも、やがて「無理をしている」という苦しさに変わっていった。
夜・・彼女の寝顔を見つめながら思う。
「なぜだろう・・こんなに好きなのに・・どうしてすれ違ってしまうんだろう」
ある雨の日、彼女がふと呟いた。
「ねぇ・・私たちって・・同棲する前の方が仲良かったよね」
その言葉が胸に突き刺さる。
僕も同じことを考えていたから。
愛しているのに、近すぎて壊れていく。
手を伸ばせばそこにいるのに、どこか遠い。
僕たちは、同棲を始めたあの日から、少しずつ「別れ」に向かって歩き出していたのかもしれない。
別れは、喧嘩でも裏切りでもなく、静かな決断だった。
愛しているのに一緒にはいられない。
そんな矛盾を抱えたまま、僕たちは同棲を終えた。
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