もし・・

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そして!

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そして年月は流れた。

40歳になった今!

僕は家庭を持ち、仕事と家族に追われる日々を送っている。

そんなある日、同窓会で歩美と再会した。

久しぶりに目が合った瞬間、心臓が一瞬止まったような気がした。

変わったようで変わらない彼女の瞳。

そこに、あの日と同じ柔らかさが宿っていた。

「・・・久しぶりだね・・良平くん」

彼女は少し照れたように微笑む。
僕も笑みを返しながら、けれど視線をすぐに逸らしてしまった。

長く見つめ続けてはいけない気がした。

互いに近況を語り合いながら、歩美はグラスを指でなぞっていた。

薬指の指輪が照明に反射して光っていた。

その仕草に僕は視線を奪われ、すぐにテーブルへと目を落とした。

「ねぇ・・もし・・あの時同棲してなかったら・・私たち・・どうなってたのかな」

ふいに彼女がそんなことを呟いた。

その瞬間、僕は言葉を失った。

答えを探すように彼女の横顔を盗み見ると、歩美は視線をこちらに向けず、ほんの僅かに唇を震わせていた。

その姿に、胸が締めつけられる。

僕も同じ問いを胸に抱えてきた。
けれど口にすれば、互いの今を壊してしまう。

「・・そうだな・・どうだったんだろうな」

やっと絞り出した言葉は、あまりにも頼りなく空気に消えていった。

歩美はそれ以上は何も言わず、ただグラスの中で氷を揺らした。

その音が妙に大きく耳に残る。

目を合わせれば、きっと言葉以上のものが伝わってしまう。

だから僕たちは・・・微笑みを貼り付けたまま視線を交わさず、ほんの少しの距離を保った。

帰り際、すれ違いざまに彼女の香水の匂いがかすかに残った。

その残り香とともに、僕の胸の奥では、もう二度と口にできない恋心が静かに疼き続けていた。

でも・・それは・・何もできない・・こと・・だった!

~了~

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