頭良すぎてバカになる

さとう たなか

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第2章

3

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睦に後ろから顔にキスされたのと同時にお母さんが部屋に入ってきた。
「美空、お母さん買い物に行ってくるから」
そう言ってきたお母さんと目があった。
お母さんは俺と睦を交互に見ている。
これはなんだ?と理解しようと必死な目。
「違う…」んだお母さんと言おうとしたとき割り込んで「美空のお母さん、いってらっしゃい」と睦が明るい声で言う。
「あら仲がいいのね」
苦笑いしたお母さんはドアを閉めて行った。
あっ、ちょっと、あのっ…、お母さん待って…。
顔を手で覆った。
…見られた、
見られたっ、見られたああああー…。
「美空どーしたの?」
俺のお腹に腕を回して抱きしめていた睦の眠そうな声が聞こえた。見ると口をへの字に曲げて首を傾げる綺麗な顔の睦と目が合った。目をぱちくりさせて、お母さんに見られたことを何とも思って無い顔。
「見られたんだよ?お母さんに」
「今日日曜日だからお仕事お休みなんだね」
「まあ、そうだけど…」
そうだったこの人は同姓同士だからとか、そういう考えは元から無いんだ。
好き。それだけなんだ、たぶんだけど。
「何でもない、」
後でどんな顔してお母さんに会おう…、
「ねー美空、キスしよ」
耳元で睦が甘えた声で言ってくる。
恥ずかしい。
よく、そんなこと口に出して言えるな、ホント。
無視してると左頬を指で突かれて、次にお腹をふにふにつままれた。
「だめだって」
睦の腕を掴んで引っ張る。
「ウへへ」
睦が笑いながら床に座り込んだから、それに引っ張られて
「ちょっと、」
睦の脚の間に挟まれて座る。
「んー」
って睦の声。
ぎゅうって抱きしめて、うなじに顔を当てて、鼻でつついてくる。
さっき、唇のすぐ横にキスして来たっけ。だからかわかんないけど口の横がムズムズする。
「みーう、キスさせて?」
さっきからしつこい。
嫌だと断り続けた結果、あの仕打ち。
「だめ」
「うえーっ…!?」
「んー…、」って睦がまたぎゅって抱きしめて、首の背骨の所、口を当ててくる。
「…、かゆくなる、それ、」
「じゃあ、キスさせて?」
この人、意外と積極的…。
本能のままとまではいかないかな、ありのままに生きてる感じと思うべきか。
「今日勉強教えて欲しくて呼んだんだぞ」
「勉強嫌い。やだ」
またウヘヘって笑ってる。
「今キスしないでいつするの?」
「今じゃない」
「ノリ悪い、」
ウヘヘって笑って睦がまた強く抱きしめてくる。
「みうかわいい、好き」
そんなこと耳元で言われたら頭爆発する。なにして返せばいいかわかんない。
「キスしてくれなかったらこのままね」
睦の腕がお腹に巻き付いてる。
くっついて離れないタコだ。
面倒くさい、もう…。
机の上に開いたままで何もしていないノートと教科書。今日ホントは睦と宿題やるつもりで呼んだんだっけか。なにしてるんだろ自分。…今日はもういいや。
俺は体の向きを変えて睦の肩に手を置いて向かい合う。
大きな目と二重瞼、シュッとした鼻、白い肌に淡いピンクの唇の端正な顔立ち。
…クソっ、綺麗な顔。
睦の顔の前で目を閉じて唇を前に…。
ほら、睦、キスしてこい。
…、
…、
…。
あれ…?
目を開くときょとんとした睦の顔。
「あっ、起きてた、」
「寝るかあ!!!」
俺は睦の首根っこを掴んで「違うだろもうもうもうもうもう!!ほんとにお前はなんでいつもわかんないの!さっきあんなにキスしたがってたじゃん!だからキスしようと思って!だからだから!!やったのにもう!!なんなんだよ!めっちゃ恥ずかしいじゃんかもう!!キスしろよもう!!してくんのかなって期待しちゃったじゃんバカっっ!!!」って、叫びたかったけどここは抑えた。
相手は睦だ。これしきのことで怒鳴っていてはきりがない。
うん、冷静になって。気持ちはちゃんと言葉で伝えなきゃ。
「キスして良いって意味だったの。さっきのは」
「あっ、そうなの?」
「うん」
「わっ、ごめん。仕様がよくわかんなくて、」
「もう一回やるから、好きにやってみて」
さっきと同じように、睦の顔の前で目を閉じて、唇を差し出す。
少しの間。
ふわっと温かい感触。鼻先に睦の鼻が当たる、少し冷たい。
ゆっくり、感触は離れていく。
「っはーっ!…、」
目を開くと睦が息を思いっきり吐き出したあとだった。
「いいよ、鼻から息して、気にしないから」
「…はっ、そうか。鼻から息って吸えたんだっけ」
睦は深呼吸して酸素を体に取り入れる。
ほんと無垢。可愛いのは睦の方じゃん。
「もう一回する、」
いつもウヘヘって笑ってる顔じゃない、綺麗な顔、真剣な顔してる。
「うん…」
頷く前に睦の唇が自分の唇に押し付けられる。
睦の鼻息、鼻の下にかかる。
唇を離す睦。
「…これでいいのかな?」
「うん、いいと思うけど、」
睦は照れくさそうに笑った。
「睦、嫌じゃなかった?」
「ううん。もう一回していい?」
俺が頷く前に睦は角度を変えて唇を押し当ててきた。
なんか、ずっとこうしてたいなって思う…。
ふにふに、睦が唇を押し付ける。
息したい。
少し口を開けた。
睦の唇が下唇を食んできた。
ちょっと顔を背ける。
睦の唇が、なんか、食べてくるみたいに…ぐいぐいくる。
「ァっ、」
やば、変な声出た。
うっすら目を開けた。睦の目、瞼が緩んでる。
エロくてかっこいい、初めて見る、睦の目。
ああ、いいな…。
ぬるっとした感触、ぴちゃぴちゃって音。睦は俺の唇を舐めて、舌を口の中に入れてきた。
「んっ…」
恥ずかしい、変な声ばっか出る…。
お腹が熱い。
背中に回された睦の手が強く体を抱きしめてくる。さらに深く、舌が入り込んで、舌が絡まってく。
「ぅん…っ、ぁっ…」
息、できない、
酸素。
睦の体を押して頭を後に引く。あとから唇の横に糸状になった唾液が引っ付いた。睦が追っかけて来るみたいに俺の唇に噛み付いてきて、そのまま後へ床に倒された。
天井いっぱいの睦。覆いかぶさってる睦。目が見開いてて、
肉に飛びつく猛獣、あれに似てる。
「んぅ…っ、ふっ、」
苦しい、睦。
手で胸を押した。けど両手、掴まれて床に押さえつけられた。
苦しくて、手も抑えられて、怖い状況なのに、へんなの、すごく嬉しい。
睦は唇を離す。
「っは…っ」
鼻と口同時に酸素が入った。
「んっ、」
首にキスしてくる睦。
喉仏、睦が噛みついた。
「あ゛…ぅ」
睦は噛むのをやめる。
両手を離して
「あっ…!」
がばっと睦は起き上がる。
怯えた顔して俺を見てる。それを見ながら、俺は自分の口の中をむぐむぐして、残ってた睦の唾液を…飲んだ。
睦は俺を抱き起こす。それからちょっと、距離を置いてしまう。
「…ごめん、なさい、」
睦は自分の手を握りしめて怯えてる。
「ううん、」
俺は睦の頭を抱きしめた。さらふわ睦のうなじにほっぺを当てる。
「…嬉しかった」
言葉で伝えた、ほんとの気持ち。
「いま、美空にひどいことした…」
泣きそうな声の睦。優しい睦。
「俺、今は睦に何されても、嬉しいと思う」
「でも、なんか、怖い。怖いから、今美空にしようとしこと、まだしたくない、」
「うん」
「でも、キスしてくれてありがとう…みう」
「こちらこそ」
「みう」
「なに?」
「またキスしていい?」
「うん」
睦は俺を膝の上にそっと座らせてくれると、優しくキスして来てくれた。



ーーーーーーーーーーー



「かいとくん、告白断ったってほんと?」
俺の家でかいとくんとテーブルを挟んで2人で勉強していた。
今日同じクラスのやつから、かいとくんが女子に告白されたという話を聞いて本人に聞かずにはいられなかった。
「うん、そうだけど」
断った事を全く気にしていない感じ。
「…どうして?」
かいとくんは勉強していた手を止めて俺をちらっと見た。
でもすぐに目をそらして、鼻じゃなくて顔を掻く。
「…ほら、受験勉強もあるし、そうゆう場合じゃないじゃん?」
「まあ、そうだけど…」
かいとくんは前の告白も断っていた。
「かいとくん、これで3回目だよね、断るの」
「う、うん。まあ、」
「…他に好きな人でもいるの?」
冗談でそう言うと、かいとくんは俺を見て、また目を反らした。
「さあ?どうでしょう」
「あ。いる!絶対いるでしょ!誰?」
かいとくんの顔を覗き込んで詰め寄った。
かいとくんは俺を見る、そして目を反らす。
「美空、ここ教えて?」
かいとくんは参考書のページを一部分をシャープペンで示して見せてきたから、俺はこれ以上は聞くのをやめてかいとくんに勉強を教えた。
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