嫁ぐ予定の悪役令嬢が殺され、異世界転移したわたしが悪役令嬢の代わりにされる。

冬田シロクマ 

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本物のアマリリス姫

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本物のアマリリス姫は殺された。
わたしがその代わりになれと……

なんで花嫁が来ているのに、あんなところに一人でいたのか聞くとカルロは、「嫌で抜け出した」と悪びれなく言った。

「おれは…」

魅力的な笑みを浮かべ、ほほえまれる。
わたしは緩まないようにわざと、表情を固くして聞いた。

「俺は?」
「おれは…ミチを見たとき,嬉しかったんだよ。
逃げ出したのが同じだと。
どうせ好きでもなんでもない者同士の結婚なんだけど,似た者同士なら上手くやれる気がしたんだ」

ハッとするような美しい笑みを浮かべて言われる。
わたしは束の間見惚れた。
白馬に乗った王子様はいないと思って生きてきた人間だが,この人は本当に王子さまだし……

そう思って見上げて違う、と思った。

アマリリス姫は、この人が城から抜け出さずにいて、近くにいたら殺されなかったかもしれない。
そう。わたしを守っている場合じゃなかった。

妄想かもしれないとはいえ、わたしは気分がいいものではかった。
そのことを伝えると「きみは優しいね」とほほえまれる。
ドギマギするからやめてほしい。
わたしはピントが合わないように、目を薄めてカルロを見た。

「その姫君は,従者をたくさん引き連れていた。大袈裟なほど。
そしてその中に裏切り者でもいたんだろう。
お金を見せられたか、その国の王に対する遺恨か…」

静かに遠くを見つめ思案する。
わたしの視線に気づくと、ニコ、と笑う。

「心配するに値しない人物だよ。
この国の王妃になれるからと、姉を殺すような姫君だ。
スパイを紛れ込ませていたからわかる。
本当はアマリリスという花の名前の姫君じゃなかった。もう忘れちゃったけどね」と言う。

殺されたのが人格者じゃないこと、しかも殺人者だということに少しだけ安堵を覚える。
だが…次,殺されるのはわたしかもしれない。
そんな,殺されても不思議はない姫君……わたしはなりたくなかった。

さっき、姫君の顔を知っている側近らは皆死んだ…と言った。
国民が知っているのは、大きな瞳の姫君だということだけだと。
……

「結婚は…いつ頃まで引き伸ばせる?」

それまでに家に帰らないと。
ない余裕をすべてかき集め笑って言った。
カルロは一瞬訝しげな顔をした。

「ん~っとね、今日の夜でもいいけど。もう婚約はしていたみたいだし」

固まるわたし。
「おーい」と目の前で手をふるカルロ。

「は?今日?」

責めるような声を出す。
立ち上がるわたしに、少しビクッと驚いている。
頭を抱える。
脳がフリーズした。

……話のテンポが早すぎないか?
主人公が、寝ずにプレイしているのだろうか。

「ねえ、主人公…アズって知らない?」
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