51 / 58
姉への愛情の続々 重要度
よそよそしかっただろうか?
いいや、わざとだ。
少しでも、姉への怒りを発散するために。
それを姉は、今、どんな感情で見ているのかわからない。
面倒くさい
そう思われていても、おかしくなかった。
わたしは心臓を、ギリッと冷たい鎖のようなもので締め上げられる感覚に陥る。
「あの男から…」
姉の落ち着いた声が響く。
わたしはその言葉に、内心落胆した。
わたしはまず、謝罪の言葉が欲しかったのだ。
……
どこまで聞いたの?
それが、喉まででかかった言葉。
妹のダークチョコレートの瞳が、大きく揺れる。
私は止まった。
草木が風で靡く音に、私の思考は洗われる。
「…悪かったわ」
「それは……わたしを政治の道具として使ったこと?」
口の中が乾いた。
今にも泣き叫びたいのを我慢した。
妹が言う。
私は言葉に詰まる。
そのとおりだと、肯定したらどうなるか。
正直なところ、私は悪いとまったく思っていなかった。
『このぐらい我慢して』
思わず本音が出そうになる。
「私は……誰だろうと利用できるなら利用する。
そんな私を慕っていたでしょ?」
姉の見透かすような水色の瞳に照らされた。
……
「どこまで……向かってる?」
いつまで経っても見覚えのあるところへ着かない。
なんとなく予想できたが、もう考える気力をなくした。
「私はここで戻るわ」
姉は言う。
馬を翻した。
途中で迎えに来た、馬車に促される。
わたしは、強い空虚感を覚えていた。
「お姉さまは城に戻るのね」
嫌味ったらしく聞こえないように、わたしは目も見ず早口で言った。
またもや姉の冷静な声が響く。
「ええ。今城を開けてるから、長いこと開けてるとまずい」
頭の中には国のこと、そのことで一杯のようだった。
「お姉さま……」
言葉を探す。
馬車の窓から姉の腕を掴んだ。
「~!」
なにも言葉が出てこない。
「………ごめんなさい」
謝られ、頬をなでられた。
涙がこぼれ、姉に拭かれた。
「愛してる。1番ね」
……
煌びやかな衣装。
これらは姉と、この国の王が2人して用意したと聞いた。
だから、こんなに派手なのだろう。
これも姉の愛情か。
乾いた笑いが漏れる。
泣きそうにも、笑いそうでもあった。
わかってた…わかってたことだ。
顔を覆い苦しむ。
姉のことは吹っ切り、次にいかないといけない。
冷静なもうひとりの自分が言う。
もう2度と、会えないかもしれない姉。
あの…偽王子も。
あれからどうなっているのだろう…と、姉から偽王子のことに思考を移す。
あれだけわたしを管理してきたんだ。
どれだけ大事な人質だったのだろう?
今わたしは人に懐疑的だった。
夢は醒めていく。
ロマンチックな記憶より、わたしを取り込もうとしたと悪い記憶に塗り替えられる。
そう考えないと、耐えられないからだ。
だけどほんとうに好きだった、彼のこと。
好かれていたかわからないけど。
ベッドの上。
わたしは座っている。
顔の布をわたしは取られた。
いいや、わざとだ。
少しでも、姉への怒りを発散するために。
それを姉は、今、どんな感情で見ているのかわからない。
面倒くさい
そう思われていても、おかしくなかった。
わたしは心臓を、ギリッと冷たい鎖のようなもので締め上げられる感覚に陥る。
「あの男から…」
姉の落ち着いた声が響く。
わたしはその言葉に、内心落胆した。
わたしはまず、謝罪の言葉が欲しかったのだ。
……
どこまで聞いたの?
それが、喉まででかかった言葉。
妹のダークチョコレートの瞳が、大きく揺れる。
私は止まった。
草木が風で靡く音に、私の思考は洗われる。
「…悪かったわ」
「それは……わたしを政治の道具として使ったこと?」
口の中が乾いた。
今にも泣き叫びたいのを我慢した。
妹が言う。
私は言葉に詰まる。
そのとおりだと、肯定したらどうなるか。
正直なところ、私は悪いとまったく思っていなかった。
『このぐらい我慢して』
思わず本音が出そうになる。
「私は……誰だろうと利用できるなら利用する。
そんな私を慕っていたでしょ?」
姉の見透かすような水色の瞳に照らされた。
……
「どこまで……向かってる?」
いつまで経っても見覚えのあるところへ着かない。
なんとなく予想できたが、もう考える気力をなくした。
「私はここで戻るわ」
姉は言う。
馬を翻した。
途中で迎えに来た、馬車に促される。
わたしは、強い空虚感を覚えていた。
「お姉さまは城に戻るのね」
嫌味ったらしく聞こえないように、わたしは目も見ず早口で言った。
またもや姉の冷静な声が響く。
「ええ。今城を開けてるから、長いこと開けてるとまずい」
頭の中には国のこと、そのことで一杯のようだった。
「お姉さま……」
言葉を探す。
馬車の窓から姉の腕を掴んだ。
「~!」
なにも言葉が出てこない。
「………ごめんなさい」
謝られ、頬をなでられた。
涙がこぼれ、姉に拭かれた。
「愛してる。1番ね」
……
煌びやかな衣装。
これらは姉と、この国の王が2人して用意したと聞いた。
だから、こんなに派手なのだろう。
これも姉の愛情か。
乾いた笑いが漏れる。
泣きそうにも、笑いそうでもあった。
わかってた…わかってたことだ。
顔を覆い苦しむ。
姉のことは吹っ切り、次にいかないといけない。
冷静なもうひとりの自分が言う。
もう2度と、会えないかもしれない姉。
あの…偽王子も。
あれからどうなっているのだろう…と、姉から偽王子のことに思考を移す。
あれだけわたしを管理してきたんだ。
どれだけ大事な人質だったのだろう?
今わたしは人に懐疑的だった。
夢は醒めていく。
ロマンチックな記憶より、わたしを取り込もうとしたと悪い記憶に塗り替えられる。
そう考えないと、耐えられないからだ。
だけどほんとうに好きだった、彼のこと。
好かれていたかわからないけど。
ベッドの上。
わたしは座っている。
顔の布をわたしは取られた。
あなたにおすすめの小説
無能と罵られた私だけど、どうやら聖女だったらしい。
冬吹せいら
恋愛
魔法学園に通っているケイト・ブロッサムは、最高学年になっても低級魔法しか使うことができず、いじめを受け、退学を決意した。
村に帰ったケイトは、両親の畑仕事を手伝うことになる。
幼いころから魔法学園の寮暮らしだったケイトは、これまで畑仕事をしたことがなく、畑に祈りを込め、豊作を願った経験もなかった。
人生で初めての祈り――。そこで彼女は、聖女として目覚めるのだった。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。
下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。
アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。
小説家になろう様でも投稿しています。
それって冤罪ですよね? 名誉棄損で訴えさせていただきます!
柊
恋愛
伯爵令嬢カトリーヌ・ベルテに呼び出された男爵令嬢アンヌ・コルネ。
手紙に書いてあった場所へ行くと、カトリーヌだけではなく、マリー・ダナ、イザベル・クレマンの3人に待ち受けられていた。
言われたことは……。
※pixiv、小説家になろう、カクヨムにも同じものを投稿しております。
悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。
蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。
しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。
自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。
そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。
一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。
※カクヨムさまにも掲載しています。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています