悪女”と呼ばれた妹は、失踪した聖女の姉の代わりに敵国王子を婿に迎える

冬田シロクマ 

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大国のときの男娼の続き

どちらかの王女に、気にいられるのが目的だった。
寵愛を受ければ、もっとやかたを大きくできる。
王女の寵愛ちょうあいを受けている主人がやっている男娼館……
そのに、客はたくさん集まるだろう。

希望に満ちるモーヴグレーの瞳。
上がった口角を、緋色の扇で隠した。

「どちらもプライドが高く、気難しいようですよ。
特に第二王女さまの方は、気にいらない男を殺した過去…噂もございます」

下男が部屋を整理をしながら言う。
扇子をパタッと閉じた見目麗しい男娼。

「大丈夫。僕、素直じゃない子手懐けるの上手だから」

そう無邪気に笑う悪魔。
やめときゃいいのに危険な橋に突っ込む━━━━━━
……

目の前の王女は、ミルクがたっぷり入った紅茶を、カラカラと銀食器で回している。
ただの子どものように見えるこの少女は、時期に国を掌握する王になるらしい。
僕は、一礼をした。

「初めてお目にかかります。
第一王女さま」

いつものように言う。
一瞥し、ニコッとよそ行きの笑顔を見せる王女。
関心が、なさそうだった。
 
「…得意な楽器や舞は?」 
「いいえ…それが……」

男娼に聞いていたが、隣の貴族が申し訳なさそうに答える。
冷めた瞳の第一王女。

「それなしで上り詰めたんです」

少し驚いた表情かおになる第一王女。

「……確かに、綺麗な顔ね。
あとは…会話も得意なのかしら?」

王女は細く笑う。
なにを考えているのかわからなかった。

「たくさん会話してみたいけど……あいにく私は公務があって…」

残念と言いたげに言った。

「だからできれば、私の代わりに妹の相手をしてくださらない?」
「え!?それは……」

なぜか貴族の方が焦る。
その様子に、またもや冷たい憶測が走った。

私を男で引き摺り下ろす気か?
母(女王)にでも頼まれているのか?とも。

「私の大事な妹よ。不満かしら?」
「いや…」
「この国のための仕事をしなくちゃならないの。
協力してほしいわ」

努めて優しく言う。
言葉遣いがどことなく間違っているこの男娼に、まったく興味が湧かなかった。
……

食べ方が汚い。
よく物を落とす。
それに金持ちの女は、庇護欲でも湧くのか。

第一王女に貢物として贈ったが、妹に譲った。
話し方からも、学がないのがバレバレだった。

「僕と…少し話してみませんか?
第二王女さまに会わせる前に」

静かに言ってみた男娼。

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