聖女の姉と悪女の妹。姉と結婚するはずが手違いで妹と結婚する。

冬田シロクマ 

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他案の失言の続々 大国のときの男娼

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「いやだ。出ていかない」

駄々をこねるように言い、無邪気に笑うその男娼。
花館でも頭ひとつ抜ける端正な顔立ちと、甘えるようななめらかな話し方。

いつもならで追い出せる。が、都で1番人気の男娼なら、こういうこともあるのか?とわたしは思う。
と同時に、命知らずだな、という感想も抱いた。
わたしなら、男の1人や2人、っているという噂があってもおかしくないのに。

それを嘘と見破っているのか…
はたまた大金がほしいから、大博打にでてるのか……

どちらにせよ、わたしはこの男娼の期待に応える気はなかった。

『首を切られたい…?』

そう言いそうになる。
だが言って、それで引っ込みがつかなくなったら困る。

「ねーえ」

猫なで声で甘えてくる。
瞳の奥には【お金】。
それを隠すように女を惑わす色香。
餌を必死でねだっているように思う。

「もう2度と、この城に入れなくするわよ」
……

この男の武器は,とやわらかなふわふわした声。
なにを言っているのか、ところどころわからないところがある。
だけどそれぐらいの方がいいのか、夜の街では、この男娼は飛び抜けて人気だった。

妹に使えるか━━━
それとも別のにした方がいいのか………

分厚い顔録たるものを、派手な館で眺める。
……

ムゥと怒ったような表情かおの男娼。
わたしはうんざりした気持ちになった。
家臣を使って追い出させようにも、姉の重臣だからか言うことを聞かない。  

「はからいで…2人っきりにしてくれたみたいだ」

営業スマイルが飛び出す。
さっき言ったわたしの言葉が、なかったことになっているのか。
言葉が、この男に直に届いている感じがしない。
それにさっきから馴れ馴れしい。
途中から、敬語が半分取っ払われていた。

「僕さぁ、きみのお姉さん。第一王女さまとも仲がいいんだ」

カクテルのような甘い声。
ゆっくり回るお酒のようだったが、わたしはこの男の発言に、二度見した。

「え?」

大きな声が出た。
扇で笑った口元を隠すようにしたあと、自分を仰ぐ。
その目はなにか、重いを含んだものだった。

姉が遊んでる…?
こんな………

言っちゃ悪いが、頭はあまり賢くなさそうだった。

姉は、あんなのがいいのか?
対等に話せるのか?

????

頭にハテナが増えるばかりだった。
………

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