聖女の姉と悪女の妹。姉と結婚するはずが手違いで妹と結婚する。

冬田シロクマ 

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26 大国一の悪女

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「~~ッ!!」

耳を抑えたくなる怒号。
第二王女は、真っ赤な顔をして怒鳴っている。

「王女…」

偽王子は焦った顔をして近づくも、ワイングラスを投げつけられる。
ガッシャアン!と音をさせた。

「近づかないでよッ!」

怒り狂った第二王女。
偽王子は落ち着くため、ふーと息を吐き髪をかき上げる。

「殺されるのとどっちがいいんだッ!?」

第二王女の部屋に向かって叫ぶ。

「なに?」
「だからッ…」
「殺すッ、殺さないとかッ、
あなたはそればっかり!」

枕がなん度も飛んでくる。
部屋から追い出された王子は、魂の抜けた顔で、第二王女の部屋を見た。

「王子、そろそろお時間が……」

部下に促される。
王、王妃に色々報告しなければならない。
そして午後には、仕事がまだたくさん残っていた。

「はあー」
 
階段を降りる。
こそこそと楽しそうに、第二王女の噂話をしているお世話係たち。
第二王女の癇癪は、噂に聞いていた通りで面白いのだろう。

「あっ」「あ、王子…」

皆、頭を下げ緊張した顔になる。

「くだらない噂話をしている暇があったら、第二王女のご機嫌とりでもしろ」
……

不本意だった。
甘やかすのは。
なのに戻ってきたら、貢ぎ物の山。
そして近くに、はべっている比較的整った顔の青年たち。
第二王女は、ぶすっとした顔で座っている。

「なにこれ?馬鹿にしてるの?」

おれを見るなり,苛ついた顔で笑う第二王女。
メイドたちを見ると、やることはやりました!と褒められ待ちの顔で立っている。

「…王女さまのご機嫌取りをしろと言った結果ですよ」

王子は横に来て,ベッドに置いてある貢物みつぎものらをどかす。

「男に酒、宝石。
王女さまが喜ぶものばかりですね」

微笑んで嫌味を言われる。

「酒池肉林が好きと噂で聞いたので……」と火に油を注ぐことを言うメイド。

「うわあー」

呆れた顔をして、天を仰ぐ第二王女。
偽王子は、片方の口角を上げ魅力的に笑う。

「面白い…」
「こんなんで手懐けられるとでも?」

第二王女は青年たちを指さす。
青年たちは皆、穏やかそうな笑みを顔に張り付けていた。
仰々しく礼をしてくる。

「その割に追い出してない。
満更じゃなかったんじゃないか?」

鋭い瞳が、責めるようにわたしを見る。
この男が来ると,周りにいる青年たちが霞んで見えた。

「出ていって。と言っても出て行かないからよ」
「おれのことは追い出せたんだからできるだろ」

あからさまに苛ついているのを表情かおに出す偽王子。
その表情を見て、少し戸惑った様子の第二王女。
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