悪女”と呼ばれた妹は、失踪した聖女の姉の代わりに敵国王子を婿に迎える

冬田シロクマ 

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他案 失言

「愛して…るんでしょ?」

言ったことないことばに,くすぐったさを感じた。
羞恥心からか,すぐに上下の口唇を巻き込む王女。

「はい。ずっと一緒です」  

綺麗な笑顔で言われる。
わたしは戸惑う。

冗談…よね?

わたしは固まり,そのまま。
その様子を見て,フッと笑う偽王子。
そしてまた,わたしを優しく見据えて,話し続ける。

「どこにも行けなくします」

優しい声に,優しい瞳。
なのに,とても恐ろしいことを言っている。
わたしは口を開いた。

「冗談…よね?揶揄からかいで……」

うような瞳で言う第二王女に,偽王子は笑った。

「ぼくを先に揶揄ったのは,第二王女さまですよね?」

わたしはなんにも言えない。
揶揄ったわけではない。
だが,「ここから出ていく」と言ったあとの,偽王子の反応が見たかったのは確かだ。

揶揄からかったわけじゃあ……」

そう言い,目線を合わせない。
思い当たることがあるからだ。
「王女?」と言い,機嫌が非常によさそうに笑う偽王子。
怒っていないようで,わたしは胸を撫で下ろす。

「ぼくの反応が見たかった?」

嬉しそうな声。
ストレート過ぎて,わたしはなんにも言えない。

なにもかもお見通しで……

「いや,あの……」

すべて手の上で踊らされてるような,恥ずかしさ。
それを感じた。

「期待通りでしたか?ぼくの反応は」

美しいアーモンドアイが,わたしをキラキラと見つめた。
どんどんこの人に夢中になっているようだった。
……

手を取られ,王子さまにキスを落とされる。
ロマンチックな気分になるはずが,わたしは動揺を隠せない。
恐怖などが混ざり合い,感情がぐちゃぐちゃだった。
なのにわたしは,偽王子の猫のようなアーモンドアイに見つめられときめいていた。

「逃げたらだめですよ」

にこやかにほほえまれる。
言い聞かすような言い方だな,とわたしは思う。

「まるで子どもを相手に,言ってるみたいね」

顔が緩まないよう,そっぽを向いて言う王女。

「似たようなものじゃないですか?」 

嫌味で言うも,嫌味で返される。
面食らい,口を半開きにしている第二王女。
その表情を口角を上げ,愉しそうに見ている偽王子。
またもや非常に,魅力的に見えた。

「王子…
もういいわよ。出てっても」

いつもの癖か,はたまた照れ隠しか。
使用人か,色を売ってる青年に対してのように言ってしまってから,ハッとした。

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