悪女”と呼ばれた妹は、失踪した聖女の姉の代わりに敵国王子を婿に迎える

冬田シロクマ 

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番外 生まれた理由

ふと,姉を思い出す。
今は,女王の仕事に励んでいるのか,と。

美しい花たちに囲まれた広々とした大きな庭。
そこで考えていた。
猫脚の白いテーブルで,腕を組みそこに頭を乗せる。

女性の地位を,少しずつ上げていった母。
姉は,それに少し懐疑的だった。
母親の仕事に,勉学が必要だろうか?と。
だが国民人気のため,それを民の前で言うことはなかった。

今は,どんな政策に打ち込んでいるだろう?
 
奴隷,武器色々売り,国の資産を増やしていきたい。
財力があれば国を守れる…!
そう目を輝かせて言う姉に,わたしの心境は複雑だった。

奴隷は,女の人もいるだろう。
性奴隷にでもされてしまうのか……

どうしても,感情移入してしまう。
助けようとも,しないくせに。

わたしは自分に呆れ,頭を突っ伏した状態のまま横を見る。
形の綺麗な可愛らしいピンクのバラ。
小さな白い花も散らすように咲いていた。

また,思い出す。

姉は前に,花をひとつひとつ潰していたな━━━━と。
母が姉を殺したいと,わたしに打ち明けたあの日だった。

姉に伝わったのだろう。

酷い母だと,わたしも思う。
わたしも多分,愛されているのではなく,ペットのように可愛がられているだけなのだろう。

今ならわかる。
姉は賢すぎて,母のペットになりえなかったのだと。
ブロンドで水色の瞳が美しく,最初姉は,母からとてつもない愛情を感受していた。
だけど,どんどん━━━━━━ 

心が苦しくなり,無理矢理思考停止する。
すると,またもや違う考えが浮かんできた。

今のわたしと姉,どっちが幸せだろう?と。

同じ母から生まれた姉妹。
姉と違って,わたしの頭上の王冠は,すぐに剥奪された。
それでよかった。
どう考えても,わたしはそんな器じゃない。
だが,最近━━━━━━━

考えては,やめる。
そんな知能,わたしにないのに。

あのまま女王になれていたら,
もし賢くなれていたら,
偽王子を,大国から追い出せたかもしれない。
それは,とてつもなく難しいことであろうと。

「籠の鳥」

口を衝く。

愛玩ペット扱いは,どこに行っても変わらないのね」

王子が固まる。
わたしが,過激な言葉を使ったからだろう。

「わたしは,可愛がられるために生まれてきたと母は言ったの。
……姉は?」

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