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第2章
第26話
しおりを挟むジョージが自分の過去を、ポツリポツリと話し出した。
「今から話す話はこの世界に転生してからの話だからな!
俺の生まれた故郷である村はとても貧しい村で、その日その日の食う物も困るくらいだったんだ。
近くには森があったが森の入口付近にしか入れなかったんだ。理由は魔物が多過ぎと強い魔物が増えたからだった。
食料調達で向かった人も、入口付近の取れる食料は取り尽くしてしまって、奥に入りたかったみたいだったが、魔物の所為でとてもじゃないが奥には入れなかったんだ。
そして、段々と村は更に貧しくなって、
口減らしで使えない老人を村から追放して、魔物が多く住む森に向かわせたりとかを平気でやる村になって行った。
森も入口付近には居なかった魔物も森の外に出てきたりする奴が出てきて、森に入ろうものなら、入ったら最後魔物の餌になるくらい深刻な状況になっていった。
そんな中、ある時1人の冒険者が俺の住む村に辿り着いた。
凄く面倒見の良い、まるでアンタみたいな冒険者だったんだ。
その冒険者は、俺達の深刻化した食料事情を自ら単身で森に入り、食料調達してきて食うにも困ってる村の俺達に潤いを与えてくれた。
そうして、村の人は段々とあの人に依存して何もやらなくなってきて、あの人のやってくれてる事が当たり前になって来た。
そして、あの人に対する感謝の気持ちが少しずつ薄れてきて、次第には食料取ってくるのが当然だと言わんばかりにコキ使いだした。
俺はまだ幼く、口を出すと大人達に手を出されてたよ。そして、村の大人達はどんどん異常になっていった。
あの人も全然気にした風でも無く、進んで村人達の役に立とうとしてくれたから尚更だな。
でもある時、あの人が森に入ったまま出てこなくなった為に、村人は慌てだした。
何故なら、あの人が食料調達から薪やら生活に必要な物等、全てを調達して来てくれて、村人達も何もせずに甘えて受け取っていたからだ。
そもそも、あの人が村に来て暫く生活していた理由を考えれば分かる筈なのに、急に居なくなれば慌てふためいて、食料を大量に持って帰って来る事を祈ったり、文句を言う人が大半だったよ。
あの人が居る内に居なくなっても生活できる様にしていたら良かったのにな」
ジョージは口下手だが、ちゃんと言いたい事は分かった。
それにしても、転生者ってのは良い環境で生まれ育つ訳じゃないんだな。
「だけど、その冒険者ってのは何故ジョージ達の住む村で生活していたんだ?
それと、その冒険者が居なくなってからの村はどうなったんだ?」
「ああ、済まない、説明してなかったな。
そもそも俺が生まれた村はエルフが住むと言われてる森の近くだったんだ。
その森はとても深く、樹海と言って良いくらいにとても広いんだ。
だけど奥に行けば行くほど、とんでもない魔物が居ると言われていたし、段々と森の始まりの辺りでも結構強めの魔物が出る程になっていったんだ。
あの人はエルフの里を探す為に、俺達の村に立ち寄っただけだったんだよ。
あの人が村に帰って来なくなって6日くらいした頃、俺は井戸の水と雑草を口にして凌いでいたが、他の大人達は同じ村の仲間である人を襲い殺して食べ出したんだ。
後は言わなくても分かるだろ?
地獄絵図だったし、あまり言いたくないからな。
俺の両親はそんな状況に耐えられなくなって、俺を連れて村から脱出したよ。
でも、村を出てそう時間のかからないウチに親は魔物に殺され、残った俺は親を食べてる魔物から、遠くへなるべく遠くへ逃げた。
が、直ぐに魔物に追いかけられてあと少しで捕まるってなった時に俺は崖から転落して、川に落ちて流されたんだ。
流れ着いた場所に偶々、運良く優しい人に助けられて、育てて貰ったよ」
「中々壮絶な話を聞いたが、ジョージのその話と俺とでどんな関わりがあるんだ?」
「ああ、この町はとても良い!と言うかアンタ無しじゃ、機能しないんじゃないか?
だからアンタが居なくなれば、そのうち俺が生まれた村みたいな事になるんじゃないか?」
「俺はそのうちと言うか、2~3日くらいで出る予定だよ?それに俺が居なくても機能する様に作ったからね。
畑も広めに作ったし、井戸も多めに作ったし、川も引いたし、盗賊や魔物が来ても大丈夫な様に壁も高めに作った上に三本角のトーラスを置いて行くから問題無いだろうし、俺が居なくても充分に機能するんじゃないか?
それと、銭湯を沸かす為の薪の場所も作って、しかも村人が増えても大丈夫な様に、空き家も幾つか建てて行くつもりだよ。
さっきジョージは町と言ったけど村だからな?」
「そうか、ならあの人みたいにはならないんだな」
「あの人って言う冒険者はその後どうなったか知ってるのか?」
「あぁ、人づてでだけどな。
あの人は俺が村を出た後、どれくらいかは分からないが、村に帰ってきて人食化した村人達に八つ裂きにされて殺されたと聞いた」
成る程、ジョージは俺のやり過ぎた事を見て、自分の壮絶な過去を思い出して、あの人って人と俺を重ねて見てしまったんだな。
「ジョージ、心配するなよ!
俺は生きてるし、この村人達にコキ使われるくらいなら逃げるよ」
俺がそう言うとジョージは「フン」と言いそっぽを向いてしまった。
でも、賢達も初めて聞くんだろうか?
ジョージを取り囲み抱きしめている。
「あの時、私の住む村に来る前はそんな事があったんですね。
私の父が貴方を担いで来た時は普通に驚いて、弟が出来たと喜んだんですけどね」
そうか、ジョージが流されて辿り着いて助けてくれた人はアンソニーの親だったのか。
「じゃあその先、同じ転生者だったって知ったのは、いつだったんだ?」
「大人になる前に自分のステータスを出せる事が分かって、ジョージがスキルの欄を見た時に分かったんです。
ジョージの特殊なスキルの一つに、転生者や転移者が分かるスキルがあるんです。
それで分かっちゃいましたね」
「成る程、アンソニーとジョージはそれで同じ転生者を見つけるべく、村を出たのか」
「あ、そこはちょっと違いますね。
村は左程大きな村じゃなかったんで、冒険者登録が出来なかったんですよ。
だから、冒険者に成るべくして村を出て暫くすると、ダニエルと出会って、最後に賢と出会ってんです」
「成る程な、なぁジョージ、長々と壮絶な過去の話を聞いていて、こう言うのも悪いが一言で言えば大丈夫だからな?
俺はこう見えて結構強い方だし、村人に襲われても余裕で逃げられる自信があるよ。
それに、今の俺は姐さんにシオンも居るからな」
あれ?でも、そういえばアンソニーやダニエルの家族は皇都に住んでるみたいなこと言ってなかったか?
「なぁ、俺の勘違いか?今の話しだとアンソニーやダニエルは他所の村出身で『大和』で生まれ育ったんじゃないのか?
確か、ダニエルやアンソニーの家族は『大和』に住んでると聞いた記憶があるんだがな」
「そうですよ。違いますよ。私とダニエルにジョージもですが、違う国や村で生まれ育ちましたよ。
『大和』に行った時に、とある御方に転生者なのが知られまして、そしたら家族諸共皇都で住むように言われたんですよ」
また御方ってのが出たぞ?鑑定の時も言ってたな、誰の事だろうか?
そう考えていると、何か忘れている様な気がすると思って、少し考えたのち気がついた。
あ!そうだ、誰か居ないと思ったら姐さんにシオンが見当たらなかったんだ!
じゃあ、あの野営場所に居るのか?
そうだとしたら、急いで迎えに行かないと!
「まぁ、大丈夫だと言う事で俺は仲間を迎えに行かないといけないから、もう行くからな?
魔クジラを食べたかったら今解体してる冒険者達と一緒に解体を手伝えよ?」
それだけ言って、まだ何か言いたそうにしている天性のメンバーを余所に俺は飛んで姐さん達の元へと向かった。
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