底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第33話

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第33話

城門前に転移すると門は閉じていて、眼前には俺が出した光によって未だにウロウロしている兵士達がいた。武器はおろか鎧も身につけてない状態で周りに罵倒しあっている。

目の前にいる兵士達の現状を見ると、後から出てきた兵士の仲間達によって武器と鎧は剥ぎ取られたのだろう。
治療師とかいないのだろうか?
それ以前に自然に目の見えるような光だと思ったが、どうやら出した光は眩しすぎたようだ。

地面には多数の馬の蹄の後がある所をみると、俺達が去って直ぐに騎乗した兵が多数追跡しに出たみたいだ。

俺がやった事だし仕方なく、目の見えない兵士全員の傷と目の治療をするべく想像魔法で癒した。

癒した直後、目が見える喜びと自身の傷が癒されている姿に驚いた者とで全員涙を流して、それぞれ抱き合って喜びを表した。

そんな兵士達に近寄ると、一人の兵士が俺を見つめるなり、いきなり大声を上げた。


「あー!お前はあの時馬車に乗っていた逃亡犯罪者!」

「あ?なんだなんだ?誰なんだ?」

一人が俺を指差しながら大声をあげるもんだから、喜びを分かち合っていた仲間達も俺を見て
「誰だ?」といった感じだ。


「俺は馬車に近付いていたからコイツの顔を見たんだ!コイツが俺達に光を浴びせた張本人だ!」


どうやら馬車に近付いていた兵士で、俺が光を放った瞬間を目撃していたようだ。
そんな兵士の発言で周りの兵士達が殺気を出しだした。仕方ない、なんとか説得して分かって貰って弟君をコイツらに任せてさっさと去ろう。


「いえ、あの時は申し訳ない事をしました。
再度ここに戻って来たのは、私の仲間が放り投げた少女の弟を連れて来たからなんです。
そのついでに私のした事の償いとして、皆さんの目と傷を癒しました」

「そんな事で償いになるとでも思ったか!
償いたいとするなら、死んで詫びろ」


兵士の一人に襲いかかれたが、武器も持ってない上にもの凄く遅い為、難なく避けれた。

そう避けたと思っていると襲いかかった兵士の仲間も同じ様に襲いかかって来た為、念の為弟君は抱っこして避けて避けて避けまくっていると、兵士の一人が業を煮やしたのか、石を拾って投げ出した。

一瞬、弟君に当たりそうになってヒヤリとしたが、石すらも避け続けていると抱っこしている弟君が、俺の動きでの振動で胸に嘔吐してしまい、動きが完全に止まってしまった。

そんなところをチャンスとみた兵士達に一斉に掴まれてしまい、弟君を奪われ、顔や腹を数十発殴られてしまった。正直、小さな子供に叩かれているみたいで全く痛みは無いが、兵士達が顔を歪めて殴っている姿を見ながらどうやってこの場を収めようかと考えていると。

【もー、怒った!】

殴られた時に、頭にしがみついていたロップが唐突にキレて俺を殴った兵士達を次から次へと、耳ビンタで飛ばしていったのを胸にいる嘔吐まみれのアッシュが羨ましそうにしていた。

そして最期の一人を耳ビンタで飛ばそうとした瞬間、ロップの耳を掴んで耳ビンタを止めた。


【主様なんで止めるのよ!】

「いや、全員を意識不明にしたら弟君を任せられないじゃないか。それにそいつは俺を殴ってないよ。後方でおろおろしていただけだから」

【でも、主様を殴った仲間の人間よ。
許せないわ】

「そのくらい姐さんやシオンも俺を殴ったりしているだろ?それに今回は完全に俺が悪いし、好きにさせて疲れたところで話そうと思っていたんだよ」

【でも…】

「俺の為にしてくれた事は嬉しいが、今は怒りを静めてくれ。後で撫でてやるからさ」

【ホント?絶対よ?】


ロップは頰を膨らませて俺の頭に戻って来たところで、兵士に話しかけられた。


「お、おい、お前頭おかしい奴なのか?
何、一人でぶつぶつと誰と話しているんだ?」


使い魔と話していた事など他人にまで言う事じゃないし、余計な事は黙っている事にした。


「俺は逃亡犯罪者ではない。
ただの旅の途中で立ち寄った冒険者だ。
この囚人服は着る服がないから着てるだけだ」

「おい、俺の質問は無視か!」

「ああ、その質問については黙秘する。
それで兵士のアンタを残したのは、この男の子を町に入れて欲しいからなんだ。
先程馬車から放り出された娘の弟だから姉の元に連れて行って欲しいんだ」

「はあ?何で俺がそんな事しなきゃならないんだ。嫌に決まっているだろ。
それにそいつの姉ちゃんも生活に邪魔な弟なんか要らんに決まっているだろう」

「どうしても嫌か?中に戻る時ついでに連れて入るだけでも良いんだけど」

「だから何で俺がそんな徳にもならない事しなきゃならない?」


うーん、やっぱり危害を加えようとした側の言う事なんて簡単に聞くわけないよな。それに先程までおろおろとしていて、どうしたら良いか分からないような雰囲気だった兵士は矢鱈と強気だ。

簡単に聞いてくれるように少し考えたのち、I.Bに沢山入れている黄金を手の平にいくつか出して見せてみた。


「な!そ、そんなの何処から出した!
だ、だが、ど、どうしてもと言うならお前のお願いは聞かなくてもないな」


黄金を見せた途端、兵士は態度を変えた。
分かりやすい奴だ。


「そうか、それは有り難いな。
それなら弟君は任せてもいいか?」

「ま、まあな、その手に乗せてる金は報酬で良いんだよな?な?」

「ああ、勿論だよ。姉を外に連れ出して再度一緒に中に入ってくれれば手の平の金はくれてやる」

「し、しかたねえな。
ちょっと待ってろ」


兵士はそこらで倒れている同僚達を壁際まで連れて寝かせた後、門に向かって声を張り上げた。


「おい!俺だ!門を開けてくれ!」


兵士が声を張り上げるが中からは返事がない。
再度兵士は声を張り上げるが、無視されているのかまたしても返事がなく、痺れを切らした兵士は門を乱暴にドンドンドンと殴って直接門に語りかけたが門からは無反応だ。

兵士は段々とイライラしだしたのか、真っ赤な顔をして門を力強く蹴った。
そして、俺の方に向き無言で手招きし、壁際に沿って移動をしだした。

そんな兵士に黙って付いて行き、しばらく歩いて行くと兵士は突然話しだした。


「なあ、おっさん。おっさん達は此処に来る時に豪華な馬車、見かけなかったか?」

「いや、見なかったけど何で?」

「見かけなかったなら良いんだけどよ。
巨大なスライムが近くに来た時、王様が身内だけ連れて逃げたんだ。それでスライムが消えても戻って来ない所で俺達の仲間が捜索しに行く直前でおっさん達が来て、おっさんの出した魔法の光で目が見えなくなった後、すぐに仲間と思ってた奴等に我が国の面汚しが!って身につけている鎧や武器を剥ぎ取って魔物の餌になれって捨てられたんだ」

「そうだったのか、それだと悪い事したな」

「いや、今となっては良いんだけどよ。
仲間と思っていた奴等が、あんな奴等だったと知れたんだからよ。それに兵士自体、前々から辞めようと思っていたから丁度良いんだ。おっさんが戻って来て、皆んなの目と傷を癒してくれてありがとな」

「兵士辞めて何するんだ?」

「先ず、この国を出ようと思っている。それで町の中にいる仲間と恋人を連れて他所の国で冒険者にでもなるか、おっさんに貰う予定の金を使って、何処かの国の町か村で商売しようかと思う」


なんて事だ。話してみると好感のもてる青年だ。
金を渡す時は多めに渡そうと思った。


「キミは名前なんて言うんだ?」

「俺か?俺は『グレム』って名前だけど、何で名前なんか聞くんだ?」

「いや、キミはグレムは好感のもてる青年だから名前を聞いておきたいと思ったんだよ。
それにこういう時に夢を語るのは死亡フラグっていうんだよ?」

「はぁ?意味わからんぜ。まぁいいや、と着いたぜ」

グレムは止まれといわんばかりに手を俺の方に向けた。止まってグレムを見ると壁を足で軽く蹴りだした。

テンポよく一定のリズムで壁を蹴っていると、壁の下の方からゴトッゴトゴトっと音がしだして、壁の一部が動き出した。そこでグレムは蹴るのを止めて動いている壁を見てると壁の一部のブロックがズズンっと、内側に引かれて行く。

それで普通の体形の人ならギリギリ一人は通れそうになるくらいの穴が開いて、グレムは開いたところから入って行き小声で俺を呼んだ。

呼ばれた事で抱きかかえていた弟君を下ろして頭に乗っているロップに弟君を守るように言いつけ、穴から少し離れて貰って、開いた箇所を覗くと多分二~三m程ありそうだ。意を決して頭から入ると案の定、腹と尻が途中で引っかかって身動きが取れなくなってしまった。

「ぉぃ、おっさん、何止まってんだよ。
早く来いよ!」

「す、すまない。腹と尻がつっかえて動けない」

急かすグレムに壁にハマってしまった事を告げると、グレムは壁の向こう側で大爆笑しだした。







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