底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

文字の大きさ
153 / 261
第4章

第34話

しおりを挟む
第34話

壁の中に完全にハマってしまって、アッシュにつっかえている場所を溶かして貰おうとも考えたが、下手に溶かして崩落でもしてしまったら、ひとたまりもない。
そんな事を考えていると、未だに爆笑していた声が「あ、マズい」って声に変わった。

それで視線を声の方に向けると、足しか見えないがドタバタと慌てている様子が見える。
そんな様子を観察していると目の前に複数の足が穴を塞ぐように並んだ。

「おい!お前達、何を隠している!」

威圧的な声が聞こえた所でようやく、町の取り締まりの兵に見つかったんだな。っと理解した。
それではこのままじゃ俺も見つかるのも時間の問題だろうと考え、とりあえず外に転移した。

そしてロップを抱きかかえている弟君ごと穴から離れ、間一髪見つからず間に合った。


「こんな所に穴を開けて何しようとしていたんだ!あーあ、お前達これ元に戻せるのかよ。
これじゃ外から丸見えだよ。
王都中の奴隷達も消えてるし、丁度いいな。お前達全員奴隷落ちだ」


声だけを聞くと穴を覗き込んで外を見ている様子で、俺を中に入れてくれようとしていたグレムと手引きしてくれようとしていた者達全員が、奴隷落ちとかマズい展開になってきてしまっている。

俺の所為でグレムだけじゃなく、グレムの仲間達すらも奴隷落ちとか絶対させてはいけないと、壁の中に入って壁を空けた理由を説明しなければと瞬間転移で壁の内側に転移すると「ブベッ」っと変な音が聞こえた。


「うお!お、お前、ど、どこから現れた!」


回りを見ると俺を囲むように、灰色の鎧を着込んでいる兵達が俺が目の前に現れた事で驚いていた。視線を壁側に見やると壁側に押し付けられている見知らぬボロいを着た複数の人達とグレムがいる。

そして、回りで驚いていた兵士達は何やら凄く睨んで殺気めいたモノを出してきたが、俺は特別に何かした訳じゃなく頭に?を浮かべ、とりあえずは壁に押し付けられているグレム達を解放するように頭を下げた。


「兵士様方、申し訳ございません。
そこの人達は私をこの町の中に入れてくれようとしてくれた人達で、悪いのは私だけなんです。ですから、その者達は解放して頂けないでしょうか?勿論、タダでとは言いません。それ相応の金をお支払いしましょう」

「その前に、そこを退けぇーー!」


頭を下げても一人の兵士が剣を振り上げ斬って来たが、剣を人差し指と親指で掴むと、簡単に奪う事が出来た。奪うつもりで掴んだ訳じゃないから、直ぐに手を離すと「ギャッ」と声が聞こえ足元を見ると、うつ伏せに倒れている兵士がいた。
俺は兵士の上に立っていたのか、その兵士の太腿には先程の剣が刺さっている。


「あ!そういう事だったんですね。
すみません、足元が平らだったから気が付きませんでした。勿論、傷は癒します」


そう言い、直ぐに兵士の上から退いて刺さっている剣を抜いて、手をかざして傷を癒した。
それでも回りの兵士達の殺気は収まらず、先程まで踏んでいた兵士も起き上がって斬りかかってきた。

今度は剣を掴まずに避けていると、壁に押さえつけられていたグレムとその他の人達を押さえつけていた兵士達も俺の方に参戦した事により、グレム達は解放された事でそーっと逃げて行った。

俺もこのまま避けてばかりでは面倒で疲れるから、壁の上に転移して下を見下ろすと兵士達は俺が目の前で消えた事により、辺りをキョロキョロと探しだし、あまりにも見つからない事で諦めて何処かに行ってしまった。

壁の上からグレムを探すと、グレムよりも先に弟君の姉である少女を見つけてしまった。だが、あの少女は首輪を着けられており、先程の兵士と同じ鎧を着ている兵士達によって手を縄で縛り歩かされられていた。

そんな姿の少女の連れて行かれる行方を目で追跡すると、多くの兵士が出入りしている建物に入って行った。その建物が何であるかを知る為に、グレムを探さなければいけない。


「おっさん、さっきはありがとな」
「うお、ビックリした」

探そうと思っていたグレムは既に壁の上にいる俺の横に居た。ビックリして壁から落ちそうになってしまったが、踏み止まってグレムに少女が連れて行かれた建物を指差してあの建物が何なのかを聞いた。


「あそこか?あそこは見ての通り兵舎だ。
兵舎に何か用があるのか?」

「ああ、あそこに目当ての少女が首輪を着けられて先程連れて行かれていたからな」

「だったら間違いなく奴隷落ちにされてるぜ。そのうえ、兵士達の慰め用にされるぜ」


矢張りか、正直あの少女が今更どうなってもいいんだが、あの幼い弟君の事を考えると少女は助けてあげて、しばらく生活できるだけの金を渡して立ち去るのが一番良いだろう。


「おっさん、まさか兵舎に潜入するつもりなのかよ」

「ああ、そのつもりだ。できれば協力して欲しいが無理にとは言わない。あまりやりたく無いけど力技で無理矢理正面から入るから」

「あー、もう仕方ねぇな!協力してやるよ!でも報酬は多めに貰うからな!」


グレムの目を真っ直ぐに見て頼むとグレムは頭をボリボリと搔きむしりながら、仕方なく協力してくれる事を約束してくれた。


「それで、おっさんの使い魔に協力してもらおうと思うけど、あの強い使い魔は何処にいるんだ?」

「普通に外に弟君のお守りで置いて来たけど」

「はあ?何だって、あの強い使い魔が居なければ作戦の立てようがないじゃねぇか!」

「そうなのか?それなら直ぐに連れてくる」


グレムにそう言うと、ロップを抱いた弟君がいる場所に転移した。弟君は今にも泣きそうな顔をしながらロップを抱いて立っていたが、目の前に俺が現れると、大泣きしてしまった。

咄嗟に抱かれているロップが耳で弟君の口を塞いで、俺もロップの耳の上から手を当てながら弟君を抱いてグレムの所まで再び転移すると、グレムは目を何度も擦り俺を凝視している。


「おっさん、どうやって連れてきた?」

「ん?普通に転移して連れて来たけど?」

「転移だと?そんなんがあれば、あんな壁から入らなくても良かったじゃねぇかよ!」


グレムは大声で俺にツッコミを入れたが、その声が元に近くを徘徊していた兵士に見つかってしまい、多くの兵士が壁の上に集結した事により、捕まってしまった。

逃げようと思えば逃げられるが、あの少女を助けるのに丁度良いと思い、抵抗しないまま捕らえられた。グレムは暴れていたが多勢に無勢で、兵士数人に殴られた事で呆気なく大人しくなった。

弟君は人質として町から連れてきたと嘘を言うと、弟君だけ解放されて町中にロップを抱かせた状態で置き去りにされた。

俺達が連れて行かれる時、ロップにはアイコンタクトで引き続き弟君を守れと、言ったつもりだが分かってくれたかな?

グレムはブツブツと「ああ、とうとう奴隷にされる時が来た。もう俺は終わりだ」と同じ事をずっと繰り返し言っている。

何が終わりか分からないが、沢山の兵士達に連れて行かれたのは兵舎ではない別の建物だった。
そこでは沢山の様々な種類の首輪が壁に並んでいて、カウンターが一つあり、俺がいうのもなんだが、小太りのおじさんが一人だけいた。

兵士の一人がおじさんに俺達に合う首輪をと尋ねると、普通サイズのと大きめのサイズの二つの灰色の重量がありそうな首輪をカウンターにゴトリと置いて、兵士は金を払いグレムから首輪を着けだした。

首輪の中央にはゴツい鎖が付いており、グレムは再び暴れたが兵士達に取り押さえられ呆気なく着けられた。次に俺の番になった事で念の為、胸で今迄大人しくしていたアッシュに小声で首にそーっと移動しろと言うと、アッシュは首に移動した。そして俺にも首輪を取り付けられた。


「ああ、俺終わった。隷従の首輪まで着けられてしまった」


グレムは隷従の首輪を着けられて終わったと言った所で兵士達はゾロゾロと俺達を連れて兵舎の方角に行き、そのまま兵舎に入るかと思えば兵舎に隣接している掘っ建て小屋に連れて行かれ、掘っ建て小屋に入ると、直ぐに地下に下る階段があった。

そこで地下に続く階段を下って行くと、広めのフロアに着いたが、階段は更に下に続いていて俺達は更に下に連れて行かれ、どれほど下に下ったか分からなくなった頃、階段の終点に辿り着いた。

階段の壁には松明があったが、終点は真っ暗で全く何も見えない状態だったが、兵士の一人が手持ちのランプに火を灯すと薄っすらとだが終点の場所が見えてきた。

終点となる所は狭い通路があって、一つの扉があるだけだった。兵士は鍵を使って扉を開けると、またも真っ暗で兵士の持つランプでは部屋が見えない。そう思っていると、ランプを持っている兵士が壁側に寄って他に火を灯して行く。

そうすると、部屋の全体が見えてきたが、部屋の全体を見てビックリした。それは、様々な拷問器具があったからだ。

椅子の座る所に薔薇のような棘があったり、アイアンメイデンといわれる棺のような箱の内側に複数の針が取り付けられたりといった器具があり、グレムは何も取り付けられてない椅子に手足を縛られて座らせられ、俺はバツ印の板に張り付けされ手足を縛られた。

しおりを挟む
感想 303

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。