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第4章
第51話
しおりを挟む第51話
馬車を発進させてしばらくすると、森に入ったというアッシュは随分と先に行っていたみたいで、道の真ん中で待っていた。
待ってたアッシュを拾って進んでいると、昨日と同じようにゴブオークにゴブオーガが現れ昨日と同様に手足をデコピンで弾いた後にグレムとグレムの仲間達にトドメを刺させてあげていると、馬車内で俺の行動を見ていたシーバスとシーバスの仲間達に驚かれた。
「なぁミーツさん、アンタレベル幾つなんだ?
ゴブオークだけならまだしも、ゴブオーガまであんな指で弾いた攻撃で瀕死の状態まで出来るなんて、普通じゃありえねぇよ」
「うーん、まぁ、レベルなんてそう易々と人に教えるものじゃないじゃないか?シーバスも人に聞かれても教えないだろ?」
「いや、そうだけど。あまりに凄いからさ」
「シーバス、オークロードさんだから強くて当たり前ですよ。ね?オークロードさん」
「ガガモ、何度言えば分かる!
ミーツさんはオークロードじゃないって!」
シーバスは何度目になるか分からないくらいの拳骨をガガモの頭に食らわせ、ガガモはその度に頭を押さえて涙目になるというのを何度も見たが、ガガモは学習能力というものが欠落しているのだろう。
そんな事が陽が傾いていくまで、何度も繰り返し行われたものだから、ガガモの頭の形が変わっているのではないかと錯覚する程、ガガモは拳骨され続けていた。
そして、今夜もいつも通りにドームを出そうとした瞬間、薄暗かった空がいきなりに明るくなった。急に昼になったかと思うほど明るくなり、徐々に薄暗くなっていった。
「何だったんだろう?」
独り言を呟いたが、俺以外の皆んながこの世の終わりみたいに騒いでいた事から俺の独り言なぞ誰も聞いてはいないし、騒いでいる皆んなを落ち着かせなければならない。
「グレムとその他、落ち着け!
シーバス達もだ」
「お、おっさん、で、でもよ。
急に空が明るくなったんだぜ。
何か悪い事の前触れじゃねぇのか?」
「そ、そうだ。グレム君の言う通りだ。
何かの前兆だと思う」
「その他って俺達の事かよ。酷ぇ」
「今ここで、あーだこーだ言い合ってもどうしようもないだろ?何か起こるなら起こるで一応、普段から警戒してたらいいんじゃないか?」
「確かに、ミーツさんの言う通りだな」
「で、でもよ。おっさんとシーバスさんは強いから何か起きても対処出来るだろうけど、俺達はまだ強くないから対処のしようがないぜ」
シーバスは冷静を取り戻したが、グレムはまだ不安そうにしている。
「グレム、昨日今日でレベルどれくらい上がった?」
「こんな時にレベルかよ。て、ちょっと見てみるけど、多分変わってないと思うぜ。
………ってなんじゃこりゃーー!」
グレムは自分のステータスを見ているのか、急に驚いて叫び出した。
「グレム、どうした?
あまり上がって無かったか?」
「い、いや、だいぶ上がってる。
レベルは25になってる」
「ちょいギルドカード見せてみ」
グレムは服を捲って、腹に貼り付けてあるギルドカードを剥がして俺に手渡した。
グレムのギルドカードを見てみると、良い感じに上がっていた。
レベル上げする前
【グレム】
レベル10
HP80 MP10
筋力10 体力20 魔力3
敏捷度20 運10
↓
現在レベルアップ後
【グレム】
レベル25
HP800 MP100
筋力100 体力200 魔力30
敏捷度200 運10
「な、なぁ、おっさん。何でこんなに上がっていると思う?レベルが上がったくらいでこんなに上がるものなのか?」
「うお!このレベルでこのステータスは凄いな」
グレムのギルドカードを見ていると横から覗き込んでいたシーバスが驚いて俺をグレムと共に凝視した。
「うん。俺も分からない。グレムにも心当たりが無いなら別に良いんじゃないか?別に良い事であって悪い事でもないしね」
「あ、ああ、いいっちゃあ良いんだけどよ。
異常に上がったから気になるよな」
グレムにギルドカードを返すと、グレムは自分自身の腹に貼り付けた。
そして皆んなの気持ちがまだモヤモヤとしたまま、今夜もドーム内でいつも通りに過ごした。
翌朝、何やら騒がしく目を覚ますとシーバス達とグレム達がドームの内壁に張り付いて騒いでいる。何事かと思い俺も内壁から外を見ると、外にはゴブリンやオークに、もう見慣れたゴブオークとゴブオーガの群れがドームを囲んでいた。
その中で最も力のあるゴブオーガがドームの外壁を岩の棒で殴っている姿が見える。
「うあぁぁ、終わりだ。こんな所じゃ逃げ道なんて無いし、コイツらに俺達は殺されてマリエや他の女達を奪う気だ」
「クッ、折角ミーツさんに助けて貰ったのに、こんな所で死ぬのか。せめてアマとアミだけでも逃してやりたいものだ」
「ど、ど、どうしましょう!オークロードさんなら同じ魔物同士、話し合いができるのではないですか?」
各々終わりみたいな事を言い合っているが、たかがゴブリンやゴブオーガだ。キマイラやスライムが居ない所をみると全く危機感を感じない。
「おっさん!どうするんだよ!やっぱり昨日、光を見た時に無理してでも夜通し馬車を動かして関所まで行ってれば良かったんだよ!」
「何言ってんだ?グレム。夜通しなんて体力的に馬がもたないだろう。それに外にいるのがゴブリン系の魔物だろ?これくらい倒せないでどうするよ。とりあえずグレム、お前とシーバスとシーバスの仲間達は俺に付いて来い」
外を固唾を呑んで見ていたグレムとシーバス達は黙って俺の元に歩いてくると、近くに来た事で外のドームの天井である屋根に転移した。
転移して下を見てみると、数百はいるであろうゴブリン系の魔物でいっぱいだった。
「お、終わた。俺達、やっぱりここで死ぬんだ」
「うわぁ、おじさん。私達をここに連れて来たって事は逃げるんでしょでしょ?」
「あわあわあわ、ミ、ミーツさん。アマの言う通り逃げるんですか?」
「オークロードさん、私チビリそうです」
「ミーツさん、どうやってこんな場所に連れて来られたかは、この際聞かない事にするけど俺達をここに連れて来たって事は何か、この状況を抜け出す算段はあるのか?」
各々がこの状況を自分勝手に考えているみたいだが、シーバスだけ冷静にこの状況をどうするかを聞いて来た。
「お、流石シーバスだね。勿論、全部倒すよ。俺達、シーバスにグレムでね。残りのメンバーは行けそうな感じだったら手伝って欲しい。
一応、グレムとシーバスだけで片付けられるだけ片付けるから、ここで待ってて良い」
下にいる魔物全部を倒す事を、この場にいる全員に告げるとグレムとシーバスの二人は口をパクパクとして何かを喋ろうとしているみたいだが、上手く声にならないといった感じになり、残りのメンバーは半開きの口になり目を見開いている。
【よーし、私頑張っちゃうよ】
【ボクもボクも】
「じゃ、二人とも降りよっかね。あ、そうそうやる気を持ってる所悪いけどロップとアッシュはドーム内で待機ね。念の為、魔物が中に入り込んだ時用にね。お前達、頼んだよ」
【【え~~そんな~】】
ロップとアッシュは揃って残念そうにしているが、ドーム内は戦力と呼べる者がいない為、魔物が入り込んだ時用に居て貰わなくてはならない。
ロップは俺の頭に爪を食い込ませていたが、ロップとアッシュをドーム内に転移させた。
その気があれば二匹ともドームなど簡単に壊して外に出て来られるだろうが、俺が頼んだ事でそんな無茶は恐らくしないだろう。
「さぁ、久々に自身で倒す戦闘だ。
二人とも行くよ」
「い、嫌だ!俺はあんなのに勝てない!
無理無理無理!」
「俺も無理だ。ミーツさんに期待されてる所悪いけど、俺もそこまで強くない」
そんな事を言っている二人の事は無視して、二人の襟首を掴んだ。ついでにアマ、アミ、ガガモには扉付きのシールドを纏めて四方に張って置き、嫌がるグレムとシーバスを無理矢理、軽く引きずりながら転移で下に降り立った。
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