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第5章
第36話
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第36話
「そんな馬鹿な!ミーツさんをこんなところで失うなんて…」
「嫌ああああ、おじさんがおじさんがあああ」
「うええええん、ミーツさんがあああ」
「そんな、父さんより強い人が、こんな死に方をするなんて考えられない」
「僕たちはこれからミーツさん無しでダンジョンを攻略できるんでしょうかね」
「ほらほらほら、いつまでも闇に呑まれたミーツくんを見ててもしょうがないでしょ!
この階段は安全だけど、このままミーツくんを想って立ち止まっても、死んだミーツくんは喜ばないよ!」
ミーツが闇に呑まれて消えたあと、シーバス兄妹とヤスドルはミーツが落ちて闇に呑まれた所を茫然と見つめていたが、シロヤマが彼らを励ますつもりで掛けた言葉に、シーバスは彼女にお前には心がないのかと激怒した。
しかし、彼女も本当のことを仲間たちに言いたい気持ちを我慢し、わざと皆んなを怒らせることを言って元気づかせようとしたのだが、返って雰囲気が悪くなって、今はどうしようもないのかと、思いつつもこの上にいるであろうダンジョンボスの説明に取り掛かった。
「この先は最後となるダンジョンボスのゴブリン王かゴブリン女王だから楽勝だろうけど、気を付けていこうね。ゴブリン王の場合は数匹のゴブリン騎士を従えての戦闘になるけど、ゴブリン女王の場合は女王を倒さないと永遠にゴブリンが生み出されるから気を付けてよね」
シロヤマはこの先のダンジョンボスについての説明をするものの、誰も聞く耳を持っておらず、独り言を言っているだけとなってしまった。
「もう!そんなに落ちたミーツくんが恋しいなら皆んなで落ちたらいいんだよ!ボクは士郎くんとでも一緒に行くからね!」
「え?え?僕もミーツさんが死んでしまって悲しいんですけど…」
「士郎くんは泣いてないじゃない。ヤスドルも泣いてないけど、あの子もミーツくんの死が受け入れてないみたいで茫然としてるし、アマとアミは言うまでもないよね。シーバスも期待してたんだけど、ボクの言葉に怒ってそっぽ向いちゃったし、せめてシーバスかヤスドルが居てくれたら確実に勝てるけど、士郎くんとボクでもなんとか頑張れば勝てるでしょ。
てな訳で、フニャチンになったシーバスとヤスドルはこのままアマとアミの子守をしてなよ。
ボクは士郎くんとダンジョンボスを倒してくるからね!」
シロヤマはシーバスとヤスドルを焚き付けてヤル気になってもらえればと思って、そう言葉にしたら、シーバスは彼女が思った通りに誰がフニャチンだと怒り、階段を先に駆け上がって、俺がフニャチンじゃないところを見せてやるから早く来いと怒鳴った。 ヤスドルも自身がそう見られているのがショックだったようで、自身の頰を両手でビンタして喝を入れ、シーバス同様に階段を駆け上がって行く。
残ったアマとアミは未だに泣き続けており、彼女らの腕の中にはミーツが自ら切り落とした肘から先の腕を抱いていたが、階段から見える闇から漆黒の触手が現れて、彼女らが抱いていたミーツの腕に絡みついた。
「あ、あああー!ミーツさんの腕がああぁ」
「ちょっと待って!ねえ、おじさんの腕持ってちゃヤダヤダー!」
彼女たちは抵抗するも、虚しくも漆黒の触手はミーツの腕を持ち去って闇に消えていき、その瞬間を目にした士郎とシロヤマは茫然としていた。
「シロヤマさん、今のってなんなんですか?
ミーツさんの腕持ってっちゃいましたけど…」
「ボクも初めて見るよ。この階段にいれば安全だと思っていたんだけど、あんなのが出てきちゃうならボクたちも上にあがった方がいいね。
ボクは先にシーバスたちとダンジョンボスと戦ってくるから、士郎くんはアマたちをお願いね」
シロヤマも初めて見る漆黒の触手に驚き、士郎に彼女たちを任せると言って先に上に駆け上がって行った。残された士郎は泣きじゃくっている彼女らを引き摺りながら上にあがろうとするも、幼児を抱えてながら彼女たちを引き摺るのは難しく、大幅にレベルが上がって力が強くなったのになんで?と思っていたら、よく考えたら彼女たちも同じくらいにレベルが上がっているのだから、うまく引き摺れないのは仕方ないことだと思ったものの、目の前でミーツが死んだとはいえ自力で歩くことをせず、ただひたすらに泣きじゃくる彼女たちに段々と苛立ちを募らせていく。
「もう!アマちゃんにアミちゃん!こんなところでいつまでもミーツさんが落ちたところに居ても、死んだ人は浮かばれないよ!
きっとミーツさんはアマちゃんとアミちゃんにもっと生きて欲しいから一人で落ちたんだよ!
なのに、いつまでもこんな状態の君たちをミーツさんが知ったら、とても悲しむと思う!
だから上で皆んなで協力してダンジョンボスを倒そう!」
士郎は自身の思っている気持ちを泣きじゃくる彼女たちにぶつけたら、二人揃って士郎をビンタし殴りだすも、士郎の胸に抱いている幼児が泣き出したことで、二人はハッと正気に戻った。
「私は今の士郎さんの言動は許せませんけど、確かにミーツさんのためにも頑張って、このダンジョンをクリアするのがミーツさんの願いでもありますから協力しますけど、クリアしたら士郎さんはパーティから脱退して下さい」
「うん。アミの言う通りだよ。今の士郎さんは許せない。でもねアミ、あたしも目の前で落ちて闇に呑まれたおじさんが、あれしきのことで死んじゃうかなって、心の何処かで思っちゃってんだよ。もちろん士郎さんには無事に地上に出たら、パーティから抜けて貰うけどね」
士郎はやっと二人の目に光が宿った気がしてホッとした。彼女たちがパーティからの脱退を条件に頑張ると言うならば、それに従おうと思い、二人が駆け上がる後ろを付いて行きながら、先程アマが言ったミーツがあれしきのことで死んだとは思えないとの言葉が気になって、後ろを気にして振り返るも、ただひたすらに闇があるだけで何も変化はない状況に心の中で士郎は(もし生きているなら、絶対無事な姿で帰って来て下さいね)と願い、彼女たちを追って階段の行き着く先に行ったら、既にシロヤマたちが見覚えのある大きなゴブリンと戦っていた。
「あ、やっとアマとアミが来た。元気を取り戻したんなら手伝ってよ!運良くゴブリン王でもゴブリン女王でもなく、ジャイアントゴブリンだったんだけど、滅茶苦茶凶暴でさ、魔法で足止めしてよ!」
シロヤマは駆け上がってきて目に光を取り戻した彼女たちに足止めの魔法の要請をしたら、すぐに状況を理解した彼女たちは魔法の詠唱を始める。 士郎はこの状況と見覚えのあるジャイアントゴブリンに身震いをするも、前よりも強くなった自身の素早さと強さを確認したくて、胸に抱いた幼児を後方支援のシロヤマに託して、真っ赤に燃え盛るような肌のジャイアントゴブリンに飛び掛かり、背中から頭部に掛けて駆け上がって頭を殴るも、随分と前にミーツに連れて行かれたダンジョンボスのジャイアントゴブリンより硬くて、頭に与えたダメージはあまり効いていないのだろうか、頭部の士郎をジャイアントゴブリンは捕まえて壁に投げて叩きつけた。
「士郎!そこはさっきヤスドルも殴って同じ目に遭った箇所だ!一気にトドメを刺そうとするんじゃねえ!地道だが確実に倒すぞ!」
壁に叩きつけられた士郎は意識が飛びそうになりながらも、舌を噛んで意識を失うのを止めたあと、シーバスが声を張り上げてそう言った。
「そう言うことは僕が攻撃する前に言って欲しかったですね!」
「悪りいな。あまりに急に走って行くからよ。驚いたんだ」
「再度また俺がやる」
士郎はシーバスに文句を言いながらもシーバスたちの元に駆け寄り、ジャイアントゴブリンの足元でステップを取りながら翻弄しつつ、ジャイアントゴブリンの脛を攻撃して地味にダメージを与えて行く。
シーバスはそんな彼に軽く謝りつつも、ジャイアントゴブリンによる攻撃が他の者に向かないように、剣を地面に叩きつけてお前の相手は俺だと注意を逸らす役目に出た。
ヤスドルはそんな彼の横を通り過ぎざまに再度頭部に攻撃を仕掛けると言って通り過ぎ、先程の士郎と同様に背中を駆け上がり、背骨や首の後ろの骨を重点的に攻撃を仕掛ける。
そんな彼らの行動によって、アマとアミの魔法の詠唱を気付かないジャイアントゴブリンは、彼女たちの詠唱が終わりと同時にシロヤマが一斉に離れてと声を叫ぶと、巨大な氷の槍一本宙に浮いており、ジャイアントゴブリンの頭部目掛けて飛んでいくも、難なくジャイアントゴブリンは避けた。
「あちゃ~、避けられちゃったよ。
アマとアミ!今の魔法をもう一回使って!」
「シロヤマ姉ちゃん、大丈夫だよ。操作はアミがやってれるからさ」
シロヤマは避けられた氷の魔法を彼女たちにまた唱えてと言ったが、アマが操作はアミがやると言ったことに首を傾げてアミを見ると、重そうに両手で杖を振り回して、勢いをつけてジャイアントゴブリンの頭を貫いた。
「はあはあはあ、やった!やったよアミ」
「うんうん。やったねアマ」
「やったな!お前たち、でも今のをミーツさんに見せたかったな」
「もう!兄ちゃんの馬鹿!今そんなこと言ったら、あたしもアミも泣いちゃうじゃん!」
彼女たちは頭を氷の魔法によって倒れたジャイアントゴブリンを倒したと思って、喜びあうアマとアミの頭を撫でながら兄のシーバスがそう言うと、アマがシーバスの腹を殴って怒った。
「ちょっと待って!倒したのにまだ消えないってことは生きてるよ!」
シロヤマがそう声を張り上げて言ったのと同時に士郎がシーバスの持っていた剣を奪い取って、ジャイアントゴブリンの首を、思いっきり斬り付けて首をへし折った。念のため何度も斬り付けて完全に首が切れるまで斬りつけたことによって、ようやくジャイアントゴブリンが消えて士郎はその場に座り込んだ。
「士郎くん、よくまだ生きてるって分かったね」
「うん。僕が一番最初にミーツさんに連れられて入ったダンジョンに、さっきのと同じヤツがいたんですよ。で、あの時も倒したと思ったとき、急に動き出して危険な目に遭ったんで、今回もそうかなって思ってトドメを刺したんです。ただ、今回のヤツの方が強かった気がします」
士郎の行動に引け目に見ていたパーティメンバーたちだったが、シロヤマが座り込んでいる士郎に話しかけると、スッキリした顔でそう答えた。
「へー、じゃあ、今回勝てたのは士郎くんをダンジョンに連れて行ったことのあるミーツくんのお陰でもあるんだね」
「アマちゃんにアミちゃん、さっきはあんなこと言ってごめんね。でも約束通り、ちゃんと抜けるからね。シロヤマさん、子供は僕が育てます。
こう見えて僕、子供が好きなんですよね。なれませんでしたけど、保育士になるのが夢だったし」
「士郎くん、抜けるってどういうこと?」
「パーティを抜けるのか?何でだ?アマとアミが何か言ったのか?俺の剣を勝手に使ったからか?
俺はそんなことで怒ったりしないぞ」
「士郎さんがいなくなるのは俺も寂しい」
士郎は座り込んだまま、アマとアミに向かって、先程の階段で言ったことを謝って脱退についてと幼児を育てることを言うと、脱退についてを知らないパーティの面々はアマとアミに、士郎の脱退について問われ、彼女らが先程の出来事を渋々話すと、彼女たちはシーバスに拳骨をされて士郎に謝れと怒った。
「うーん、これはアマとアミが悪いよねえ。
確かに奮い立たせるためにそんなこと言った士郎くんも悪いけど、この場にミーツくんが居たらなんて言うかねえ」
「士郎さんは悪くない。俺だったら、殴ってでも連れて行く」
「ヤスドル、俺もだ!士郎よう、俺の妹たちが悪かったな。パーティは抜けなくていいし、その子供はパーティで育てよう。最初は気味が悪かったけどよ、シロヤマに抱かれて眠っている顔は可愛いじゃねえかよ。ってことで、アマとアミ、お前たちは士郎に謝れ!」
「い、嫌だ!あたしは悪くないもん」
「私もです!ミーツさんが目の前で居なくなったのにあんな酷いこと言わなくてもよかったじゃないですか!」
彼女たちはシーバスの拳骨されて涙目になったものの、士郎に謝ることを拒否して再度シーバスに拳骨されてしまったが、士郎がもう許してやって下さいと言ったことで脱退の話も、士郎に対しての謝罪も無しになった。
「ま、色々あったけどさ、この先の魔法陣に乗ったら、いよいよヤマトだよ!」
「俺たちは別に此処に来たくて来たんじゃねえんだけどな。元々ミーツさんが来たがっていたから一緒に付いてきたんだよな」
シロヤマはジャイアントゴブリンの血によって血塗れになった士郎に水筒で頭から掛けて流したあと、ヤマトへの魔法陣がこの先にあると指を差しながら言ったら、シーバスがしみじみとミーツが来たがっていたから一緒に来たのだと言ったあと、しまったと思ったのだろうか、ハッとして周りを見たらシロヤマを除く皆が彼の言葉に表情が沈んでいる。
「はいはいはい!落ち込むのは上に着いてからでもできるんだから、今は先に行くよ!
ダンジョンからヤマト入りしたら、色んな検査を受けなきゃいけないんだからね」
この場をシロヤマが手を何度も叩いたあと、幼児を士郎に手渡してアマとアミの手を引っ張りながら、そう言って魔法陣のある所まで歩いて行き、魔法陣に乗ったことで消えた。
「じゃあ、俺たちも行こうぜ」
「そうですね。ヤスドルくん、一緒に行こう」
「ああ」
男性陣も彼女たちを追うように魔法陣に乗って、ダンジョンを無事クリアした。
「そんな馬鹿な!ミーツさんをこんなところで失うなんて…」
「嫌ああああ、おじさんがおじさんがあああ」
「うええええん、ミーツさんがあああ」
「そんな、父さんより強い人が、こんな死に方をするなんて考えられない」
「僕たちはこれからミーツさん無しでダンジョンを攻略できるんでしょうかね」
「ほらほらほら、いつまでも闇に呑まれたミーツくんを見ててもしょうがないでしょ!
この階段は安全だけど、このままミーツくんを想って立ち止まっても、死んだミーツくんは喜ばないよ!」
ミーツが闇に呑まれて消えたあと、シーバス兄妹とヤスドルはミーツが落ちて闇に呑まれた所を茫然と見つめていたが、シロヤマが彼らを励ますつもりで掛けた言葉に、シーバスは彼女にお前には心がないのかと激怒した。
しかし、彼女も本当のことを仲間たちに言いたい気持ちを我慢し、わざと皆んなを怒らせることを言って元気づかせようとしたのだが、返って雰囲気が悪くなって、今はどうしようもないのかと、思いつつもこの上にいるであろうダンジョンボスの説明に取り掛かった。
「この先は最後となるダンジョンボスのゴブリン王かゴブリン女王だから楽勝だろうけど、気を付けていこうね。ゴブリン王の場合は数匹のゴブリン騎士を従えての戦闘になるけど、ゴブリン女王の場合は女王を倒さないと永遠にゴブリンが生み出されるから気を付けてよね」
シロヤマはこの先のダンジョンボスについての説明をするものの、誰も聞く耳を持っておらず、独り言を言っているだけとなってしまった。
「もう!そんなに落ちたミーツくんが恋しいなら皆んなで落ちたらいいんだよ!ボクは士郎くんとでも一緒に行くからね!」
「え?え?僕もミーツさんが死んでしまって悲しいんですけど…」
「士郎くんは泣いてないじゃない。ヤスドルも泣いてないけど、あの子もミーツくんの死が受け入れてないみたいで茫然としてるし、アマとアミは言うまでもないよね。シーバスも期待してたんだけど、ボクの言葉に怒ってそっぽ向いちゃったし、せめてシーバスかヤスドルが居てくれたら確実に勝てるけど、士郎くんとボクでもなんとか頑張れば勝てるでしょ。
てな訳で、フニャチンになったシーバスとヤスドルはこのままアマとアミの子守をしてなよ。
ボクは士郎くんとダンジョンボスを倒してくるからね!」
シロヤマはシーバスとヤスドルを焚き付けてヤル気になってもらえればと思って、そう言葉にしたら、シーバスは彼女が思った通りに誰がフニャチンだと怒り、階段を先に駆け上がって、俺がフニャチンじゃないところを見せてやるから早く来いと怒鳴った。 ヤスドルも自身がそう見られているのがショックだったようで、自身の頰を両手でビンタして喝を入れ、シーバス同様に階段を駆け上がって行く。
残ったアマとアミは未だに泣き続けており、彼女らの腕の中にはミーツが自ら切り落とした肘から先の腕を抱いていたが、階段から見える闇から漆黒の触手が現れて、彼女らが抱いていたミーツの腕に絡みついた。
「あ、あああー!ミーツさんの腕がああぁ」
「ちょっと待って!ねえ、おじさんの腕持ってちゃヤダヤダー!」
彼女たちは抵抗するも、虚しくも漆黒の触手はミーツの腕を持ち去って闇に消えていき、その瞬間を目にした士郎とシロヤマは茫然としていた。
「シロヤマさん、今のってなんなんですか?
ミーツさんの腕持ってっちゃいましたけど…」
「ボクも初めて見るよ。この階段にいれば安全だと思っていたんだけど、あんなのが出てきちゃうならボクたちも上にあがった方がいいね。
ボクは先にシーバスたちとダンジョンボスと戦ってくるから、士郎くんはアマたちをお願いね」
シロヤマも初めて見る漆黒の触手に驚き、士郎に彼女たちを任せると言って先に上に駆け上がって行った。残された士郎は泣きじゃくっている彼女らを引き摺りながら上にあがろうとするも、幼児を抱えてながら彼女たちを引き摺るのは難しく、大幅にレベルが上がって力が強くなったのになんで?と思っていたら、よく考えたら彼女たちも同じくらいにレベルが上がっているのだから、うまく引き摺れないのは仕方ないことだと思ったものの、目の前でミーツが死んだとはいえ自力で歩くことをせず、ただひたすらに泣きじゃくる彼女たちに段々と苛立ちを募らせていく。
「もう!アマちゃんにアミちゃん!こんなところでいつまでもミーツさんが落ちたところに居ても、死んだ人は浮かばれないよ!
きっとミーツさんはアマちゃんとアミちゃんにもっと生きて欲しいから一人で落ちたんだよ!
なのに、いつまでもこんな状態の君たちをミーツさんが知ったら、とても悲しむと思う!
だから上で皆んなで協力してダンジョンボスを倒そう!」
士郎は自身の思っている気持ちを泣きじゃくる彼女たちにぶつけたら、二人揃って士郎をビンタし殴りだすも、士郎の胸に抱いている幼児が泣き出したことで、二人はハッと正気に戻った。
「私は今の士郎さんの言動は許せませんけど、確かにミーツさんのためにも頑張って、このダンジョンをクリアするのがミーツさんの願いでもありますから協力しますけど、クリアしたら士郎さんはパーティから脱退して下さい」
「うん。アミの言う通りだよ。今の士郎さんは許せない。でもねアミ、あたしも目の前で落ちて闇に呑まれたおじさんが、あれしきのことで死んじゃうかなって、心の何処かで思っちゃってんだよ。もちろん士郎さんには無事に地上に出たら、パーティから抜けて貰うけどね」
士郎はやっと二人の目に光が宿った気がしてホッとした。彼女たちがパーティからの脱退を条件に頑張ると言うならば、それに従おうと思い、二人が駆け上がる後ろを付いて行きながら、先程アマが言ったミーツがあれしきのことで死んだとは思えないとの言葉が気になって、後ろを気にして振り返るも、ただひたすらに闇があるだけで何も変化はない状況に心の中で士郎は(もし生きているなら、絶対無事な姿で帰って来て下さいね)と願い、彼女たちを追って階段の行き着く先に行ったら、既にシロヤマたちが見覚えのある大きなゴブリンと戦っていた。
「あ、やっとアマとアミが来た。元気を取り戻したんなら手伝ってよ!運良くゴブリン王でもゴブリン女王でもなく、ジャイアントゴブリンだったんだけど、滅茶苦茶凶暴でさ、魔法で足止めしてよ!」
シロヤマは駆け上がってきて目に光を取り戻した彼女たちに足止めの魔法の要請をしたら、すぐに状況を理解した彼女たちは魔法の詠唱を始める。 士郎はこの状況と見覚えのあるジャイアントゴブリンに身震いをするも、前よりも強くなった自身の素早さと強さを確認したくて、胸に抱いた幼児を後方支援のシロヤマに託して、真っ赤に燃え盛るような肌のジャイアントゴブリンに飛び掛かり、背中から頭部に掛けて駆け上がって頭を殴るも、随分と前にミーツに連れて行かれたダンジョンボスのジャイアントゴブリンより硬くて、頭に与えたダメージはあまり効いていないのだろうか、頭部の士郎をジャイアントゴブリンは捕まえて壁に投げて叩きつけた。
「士郎!そこはさっきヤスドルも殴って同じ目に遭った箇所だ!一気にトドメを刺そうとするんじゃねえ!地道だが確実に倒すぞ!」
壁に叩きつけられた士郎は意識が飛びそうになりながらも、舌を噛んで意識を失うのを止めたあと、シーバスが声を張り上げてそう言った。
「そう言うことは僕が攻撃する前に言って欲しかったですね!」
「悪りいな。あまりに急に走って行くからよ。驚いたんだ」
「再度また俺がやる」
士郎はシーバスに文句を言いながらもシーバスたちの元に駆け寄り、ジャイアントゴブリンの足元でステップを取りながら翻弄しつつ、ジャイアントゴブリンの脛を攻撃して地味にダメージを与えて行く。
シーバスはそんな彼に軽く謝りつつも、ジャイアントゴブリンによる攻撃が他の者に向かないように、剣を地面に叩きつけてお前の相手は俺だと注意を逸らす役目に出た。
ヤスドルはそんな彼の横を通り過ぎざまに再度頭部に攻撃を仕掛けると言って通り過ぎ、先程の士郎と同様に背中を駆け上がり、背骨や首の後ろの骨を重点的に攻撃を仕掛ける。
そんな彼らの行動によって、アマとアミの魔法の詠唱を気付かないジャイアントゴブリンは、彼女たちの詠唱が終わりと同時にシロヤマが一斉に離れてと声を叫ぶと、巨大な氷の槍一本宙に浮いており、ジャイアントゴブリンの頭部目掛けて飛んでいくも、難なくジャイアントゴブリンは避けた。
「あちゃ~、避けられちゃったよ。
アマとアミ!今の魔法をもう一回使って!」
「シロヤマ姉ちゃん、大丈夫だよ。操作はアミがやってれるからさ」
シロヤマは避けられた氷の魔法を彼女たちにまた唱えてと言ったが、アマが操作はアミがやると言ったことに首を傾げてアミを見ると、重そうに両手で杖を振り回して、勢いをつけてジャイアントゴブリンの頭を貫いた。
「はあはあはあ、やった!やったよアミ」
「うんうん。やったねアマ」
「やったな!お前たち、でも今のをミーツさんに見せたかったな」
「もう!兄ちゃんの馬鹿!今そんなこと言ったら、あたしもアミも泣いちゃうじゃん!」
彼女たちは頭を氷の魔法によって倒れたジャイアントゴブリンを倒したと思って、喜びあうアマとアミの頭を撫でながら兄のシーバスがそう言うと、アマがシーバスの腹を殴って怒った。
「ちょっと待って!倒したのにまだ消えないってことは生きてるよ!」
シロヤマがそう声を張り上げて言ったのと同時に士郎がシーバスの持っていた剣を奪い取って、ジャイアントゴブリンの首を、思いっきり斬り付けて首をへし折った。念のため何度も斬り付けて完全に首が切れるまで斬りつけたことによって、ようやくジャイアントゴブリンが消えて士郎はその場に座り込んだ。
「士郎くん、よくまだ生きてるって分かったね」
「うん。僕が一番最初にミーツさんに連れられて入ったダンジョンに、さっきのと同じヤツがいたんですよ。で、あの時も倒したと思ったとき、急に動き出して危険な目に遭ったんで、今回もそうかなって思ってトドメを刺したんです。ただ、今回のヤツの方が強かった気がします」
士郎の行動に引け目に見ていたパーティメンバーたちだったが、シロヤマが座り込んでいる士郎に話しかけると、スッキリした顔でそう答えた。
「へー、じゃあ、今回勝てたのは士郎くんをダンジョンに連れて行ったことのあるミーツくんのお陰でもあるんだね」
「アマちゃんにアミちゃん、さっきはあんなこと言ってごめんね。でも約束通り、ちゃんと抜けるからね。シロヤマさん、子供は僕が育てます。
こう見えて僕、子供が好きなんですよね。なれませんでしたけど、保育士になるのが夢だったし」
「士郎くん、抜けるってどういうこと?」
「パーティを抜けるのか?何でだ?アマとアミが何か言ったのか?俺の剣を勝手に使ったからか?
俺はそんなことで怒ったりしないぞ」
「士郎さんがいなくなるのは俺も寂しい」
士郎は座り込んだまま、アマとアミに向かって、先程の階段で言ったことを謝って脱退についてと幼児を育てることを言うと、脱退についてを知らないパーティの面々はアマとアミに、士郎の脱退について問われ、彼女らが先程の出来事を渋々話すと、彼女たちはシーバスに拳骨をされて士郎に謝れと怒った。
「うーん、これはアマとアミが悪いよねえ。
確かに奮い立たせるためにそんなこと言った士郎くんも悪いけど、この場にミーツくんが居たらなんて言うかねえ」
「士郎さんは悪くない。俺だったら、殴ってでも連れて行く」
「ヤスドル、俺もだ!士郎よう、俺の妹たちが悪かったな。パーティは抜けなくていいし、その子供はパーティで育てよう。最初は気味が悪かったけどよ、シロヤマに抱かれて眠っている顔は可愛いじゃねえかよ。ってことで、アマとアミ、お前たちは士郎に謝れ!」
「い、嫌だ!あたしは悪くないもん」
「私もです!ミーツさんが目の前で居なくなったのにあんな酷いこと言わなくてもよかったじゃないですか!」
彼女たちはシーバスの拳骨されて涙目になったものの、士郎に謝ることを拒否して再度シーバスに拳骨されてしまったが、士郎がもう許してやって下さいと言ったことで脱退の話も、士郎に対しての謝罪も無しになった。
「ま、色々あったけどさ、この先の魔法陣に乗ったら、いよいよヤマトだよ!」
「俺たちは別に此処に来たくて来たんじゃねえんだけどな。元々ミーツさんが来たがっていたから一緒に付いてきたんだよな」
シロヤマはジャイアントゴブリンの血によって血塗れになった士郎に水筒で頭から掛けて流したあと、ヤマトへの魔法陣がこの先にあると指を差しながら言ったら、シーバスがしみじみとミーツが来たがっていたから一緒に来たのだと言ったあと、しまったと思ったのだろうか、ハッとして周りを見たらシロヤマを除く皆が彼の言葉に表情が沈んでいる。
「はいはいはい!落ち込むのは上に着いてからでもできるんだから、今は先に行くよ!
ダンジョンからヤマト入りしたら、色んな検査を受けなきゃいけないんだからね」
この場をシロヤマが手を何度も叩いたあと、幼児を士郎に手渡してアマとアミの手を引っ張りながら、そう言って魔法陣のある所まで歩いて行き、魔法陣に乗ったことで消えた。
「じゃあ、俺たちも行こうぜ」
「そうですね。ヤスドルくん、一緒に行こう」
「ああ」
男性陣も彼女たちを追うように魔法陣に乗って、ダンジョンを無事クリアした。
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