底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第35話

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第35話

「服着てないけどおじさんだよね?キューブが光ってるし間違いないよね?」
「うん。アマ、ミーツくんで間違いないよ。
でも、ミーツくん?その子はいったいなんなの?」
「まさか、ミーツさんの隠し子ですか!」
「アミ落ち着け!こんな短時間に子供は産まれんし、ミーツさんが説明してくれるはずだ!」


 光が収まると同時にアマは怪しんで俺をジロジロみてくるし、シロヤマは俺であることは間違いないけど、抱いている幼児について質問し、アミは気が動転しているようだ。

「うん。アミはちょっと落ち着こうね。
シーバスの言う通り説明したいから、落ち着いて聞いてくれるかい?」

 俺がそう言うと、一斉に口を閉ざして黙り、影がいた下の階層での出来事を説明した。
もちろん、シロヤマに貰ったキューブが早めに壊れたことも話した。


「あー、なるほどなるほど、それなら納得だね。
なんかね、案内人の間じゃ有名だったんだよ。
あの階層で時折、赤ん坊の泣き声が聴こえていたってね。だから赤ん坊に関連する人によっての、奴らの声真似じゃないかって話だったんだ。
 でも本当に赤ん坊、今はもうちょっと大きくなっちゃってるけどいたんだね。それと壊れたのは残念だったね。ミーツくんは運が悪かったね」


 シロヤマはキューブが壊れたことに関しては悪気が一切ない感じだが、影に育てられた幼児は俺の話と幼児を交互に見て信じ、他のメンバーはとてもじゃないが魔物が赤ん坊を育てるなんて信じられないと、気味悪そうに幼児を見つめている。
 だが、そんな中で士郎はいつの間にか眠ってしまっている幼児の頭を撫でながら、可愛いと言って微笑んでいる。


「ミーツさん、この子可愛いですね。名前はなんて名前なんですか?僕にも抱かせて下さい」
「いいよ。名前は無いんじゃないかな。影たちは何も言ってなかったし、養育費代わりに彼らの核となるこんな物までくれたしね」

 士郎の質問に答えつつ、彼に幼児を手渡して影に貰ったハート型の核を一つI.Bから取り出したら、シロヤマが俺の手から奪い取ってコレは…と驚いた様子で光魔法に当てて色んな角度で見つめている。

「シロヤマはこれがなんなのか知っているのかい?」
「凄いよミーツくん!これはあの階層では滅多に現れない幻の影の核じゃないか!普通のでも取るのは難しいのに、こんな物を手に取ることができるなんて…。ミーツくんって運が悪かったんじゃないの!
 ミーツくんの運の悪さって凶運だと思っていたけど、案外強運なのかもね」
「上手いこと言ってるかも知れないけど、シロヤマ以外分かってないからね。で?それって一つでいくらくらいするのかい?」
「うーん、前にオークションで見た時は黒金貨十枚だったから、最低でも黒金貨三~五枚はいくと思うよ」
「へ?そんなに?養育費代わりにそれなりの数を貰ったんだけど、全部でいったい幾らになるんだろね」
「え?ミーツくん今なんて言ったの?」
「だから養育費代わりに貰っ…」
「そこじゃなくて!それなりの数って今言ったよね!ね!」
「う、うん。全部で多分三十~四、五十はあるかな」
「あわあわあわ、凄い、凄いよ!ミーツくん!
もう、僕の報酬は全部纏めてこれ一個でいいよ!
ミーツくんが弁償しなきゃいけない猫耳の魔道具も靴も案内料も全て、これ一個でいいからね!」


 彼女は矢鱈と興奮した様子で、もう返さないと言わんばかりにハート型の核を握りしめている。
 黒金貨になる物を一個渡すのは、やや取られ過ぎだと思ったものの、彼女なしでは全員揃ってここまで来れなかっただろうと思い直した。
それに、まだまだ数はあるし、俺自身も金に困っている訳でもない。だから彼女の提案に頷いたら、やったーっと、とても喜んだ。

「って、悠長に話している場合じゃなかった!
皆んなごめんね!もう移動しながら話すから、ボクの踏んだ所のしか踏まないで付いて来てね」

 シロヤマは突然そう言って歩きだし、時折ジャンプしたりして、この階層についての説明をしだした。この階層はサキュバスの階層と同様に一本道だが、エゲツない罠が多数あるそうで、シロヤマが歩いた所以外全部に罠が仕掛けられているらしい。
 もっとも最悪なのは落とし穴で、一度落ちると生きて帰ることが出来ないという言葉に、一同息を呑んでからシロヤマに続いて背の高さ順にアマとアミが慎重に行き、次に士郎、シーバス、俺、ヤスドルの順に慎重かつ、素早く行かなければいけないらしい。

 何故ならば、定期的に罠の位置が変化して移動中にでも変わったら、彼女でも口で何処を踏めばいいかを説明出来ないとか。
 そして、この階層も明かりの魔法を使わなくてもある程度は明るいが、だからといって新たに明かりの魔法を使うならば罠が作動するとかで、下手に魔法は使えないらしい。
 急ぎめでシロヤマが先を行って、彼女の後ろを必死に付いていくアマとアミだが、途中から足元しか見えなくなっていくも、そこはシロヤマもゆっくりと移動してくれて、彼女に付いて行けば難なく突破出来そうだと思った矢先、ダンジョン内で地震が発生して身動きが取れなくなってしまった。

「あ、あともうちょっとだったのに皆んなごめん。罠の位置が変わっちゃったみたい。この階層に来た時に罠の位置が分かる道具を使ったんだけど、一回使ったらダメになる道具だから急ぎたかったんだけど、今の地震で完全に分からなくなっちゃった。ボク自身も見分けられる罠はいくつかあるけど、それが大きく変わっちゃったから、嫌な罠も変わったと思う」

 薄暗くてシロヤマの姿がよく見えないが、彼女の声の落ち込みようは聴き取れるため、本当に悪いと思っているのが分かった。

「今、俺たちの足元にも罠があったりするのかい?」
「それは多分大丈夫だと思う。元々そこに人間の体重の圧がかかっている箇所には、罠も変化しても既に踏んでいる箇所は大丈夫だって他の案内人の人たちが言っていたから、ただあまりこの状態で立ち尽くしていたら、後方から闇が迫ってくるんだ。闇に呑まれたらどうなっちゃうかボクにも分からない」
「シロヤマから終わりの場所までどのくらいの距離なんだ?」
「あともう少しだよ。多分五十メートルから百メートルくらいだと思う」

 俺は彼女に罠の位置について質問したあと、どうすれば突破できるか考え、先頭にいる彼女の位置からこの階層の終わりまでの距離を聞き、その程度の距離しかないなら俺が彼女の元に行って、投げ飛ばしたら行けそうだと思って、俺のすぐ後ろにいるヤスドルに俺の足の踏み場に来て貰った。

「俺が今からシロヤマの元に行って出口まで投げ飛ばす。だからそこまでの間、皆んなの肩や背中に乗るから我慢してくれ!そして彼女を投げ飛ばしたら、後ろからの順番でヤスドル、シーバス、士郎でアミに最後にアマの順で投げ飛ばすけどいいかな?一人でも嫌だと思うなら違う案を出して欲しい」


 俺がそう言うと、仕方なく全員が俺の提案を受け入れた。そして俺がいざ行こうとした時、シロヤマが天井や壁にも罠があるから気を付けてと言ってくれた。

 俺の目の前にいるシーバスの肩に飛び移るのは難なくできた。でも次の幼児を抱きかかえている士郎の何処に移動しようか考えたものの、それについては彼が背中に飛び移って下さいと、前屈みになって幼児を自分の足の上に立たせて背中に飛び移れるようにしてくれて、シーバスの肩から素早く士郎の背中に飛び移り、すぐさま次のアミの肩に飛び移ったら、小柄な彼女の身体がゆらりと揺れてバランスを崩しそうになるも、レベルが大幅に上がったからか、バランスを崩すこともなく踏み止まった。

「ごめんな。重いだろ、すぐに移動するから、少し我慢してくれよ」
「いえ、このままミーツさんに乗って貰っても構いません。ってキャーーー!」

 俺が彼女の肩に乗ったことで、何故か嬉しそうにしていたが急に悲鳴をあげた。

「なんだなんだ!ミーツさんまさか、動けないアミに不埒なことをやってんじゃないだろうな!」
「兄様違います!ミーツさんの股間が私のおでこに当たって驚いただけです」

 彼女の悲鳴でシーバスが怒るも、彼女はすぐに弁明をして悲鳴の原因を教えてくれて、彼女の悲鳴の原因はこれだったのかと自身の股間を見たら、腰巻きの所為で彼女の顔が見えない。
 恐らく額にペタリとくっ付いているのだろう。
 彼女にとって気持ち悪いだろうからと、次のアマまで素早く飛び移ると、アマも油断していたのか、片方の足が僅かに動いてカチッと何かスイッチを押した音が聞こえた。

「シロヤマ姉ちゃん、あたしどうしたらいいのお?」
「あ、アマは今何か押したね。
今押したのがすぐに作動しないってことは、そのスイッチから絶対に足を離しちゃだめだからね!
きっとミーツくんがなんとかしてくれるから、アマは絶対動かないでね」

 彼女は泣きそうな声でシロヤマに聞くも、シロヤマは俺がなんとかするの一点張りで動くなと言って踏み止まらせた。

「アマごめんな。俺が声も掛けずに飛び移ったからこんなことになって、まだどうすればいいかなんて考えられないけど、絶対に助けるからな」
「うん。絶対に助けてよ、おじさん!」

 俺は彼女をなるべく安心させるように優しく穏やかに話しかけたら、彼女も俺の気持ちを察知したのだろうか、泣きながら返事をした。

「最後にシロヤマ、今から行くから踏ん張ってくれよ」
「ボクはミーツくんの体重を支えきれないと思うから、ボクの足の上に飛び乗ってよ!
怪我するかもだけど、怪我したらミーツくんが治してよね」


 シロヤマの気持ちも大丈夫なようで、アマからシロヤマに飛び移ろうとしたとき、アマは小声で絶対に助けてねと言っていた。
 そしてシロヤマの足の上に無事に飛び移ったとき、彼女もフラついたものの、足を踏んでいる俺が彼女を支えてバランスが崩れるのを止めた。

「ミーツくんありがとね。で、これから投げ飛ばすとか言ったたけど、この状態でどうするの?」

彼女の足を踏んだまま、抱き着く形になっていたのだが、片足づつ上げてもらって、上げた足の所に俺の足を置いて今度は俺の足の上に乗ってもらうことになり、両足揃ったことで彼女の両脇を抱え、この位置から階段までの距離を聞いていたため、大体の力加減で投げ飛ばしたら、彼女の悲鳴と共に暗闇に消えてゴツンと何かに当たる音が聞こえた。

「ミーツく~ん、届いたけどめっちゃ痛かった!
アマとアミのときは、もうちょっと力加減を調整しないと大怪我するよ!」

 彼女の声がこだまして響いて聴こえてくる。
 その後に背後からシーバスの声で、闇が迫ってくるとヤスドルが言っていると聴こえ、これからヤスドルとシーバスが急いで前に行くからアマとアミに踏ん張れと声が掛かった。
 その声と共に士郎の呻き声が聴こえ、アミの兄様重たいと声が聴こえたとき、もう既に目の前にヤスドルがアマから飛び移って飛んできていた。

「うおっと、こんな急にくるとは思わなかった。
そんなに闇が近くに来ていたのかい?」
「はい。よく見えませんでしたけど、確実に迫ってきてます」

 ヤスドルの言葉を信じ、俺の両手に足を乗せてもらって、思いっきりシロヤマがいる方向に放り投げた。
 放り投げてすぐにカエルが潰れたような声が聞こえたものの、すぐにミーツくん危ないじゃないかー!と声が聴こえてきたことで、ヤスドルは無事に届いたようだ。

「うわわわわあ、ミーツさん受け止めてくれえ」

 階段があるであろうヤスドルの方ばかりを見ていたから反応が遅れたが、後方からシーバスが飛び上がって向かって来ており、慌てて彼の腕を掴んで引き寄せて俺の両足に一旦立って貰ってから、ヤスドルのとき同様に階段の方に投げた。
 投げる直前に今からシーバスを投げると言ったのだが、言うのが遅いと、またシロヤマの怒る声が響いて聴こえてくる。

「ミーツさん、次は士郎さんだから丁寧に投げて下さい」

 アミの声が聴こえ、士郎が飛んできて、そのまま両手をヘソ当たりに構えて足場になって、着地したのと同時に放り投げて子供を抱いているから確実に捕まえなよっと声を張り上げると、階層の方からヤスドルがキャッチしてくれたと士郎の声が聴こえてきた。

「次は私が行きます!ミーツさんよろしくお願いします」

 アミの声が聴こえ飛んでくると身構えるも、アマの所で立ち止まって中々飛んでくる気配がないため、どうしたのかを聞くと、アマが泣きじゃくって離してくれないと困った様子でアミはそう言った。

「アマは必ず助ける!だから、今はアミを離して飛ばすんだ」

 俺の言葉にアマは渋々アミから手を離してくれて、アミが飛んできたものの、彼女は複雑な表情をして私やっぱりアマと一緒に…。
 などと、アマの所に行きそうになったところを無理矢理仲間たちの元に放り投げた。
放り投げたとき、アマ~!と叫ぶ声が聴こえたが、俺はアマに絶対助けると約束したからには何がなんでも助けようと、彼女の元に飛んで彼女の両足に足を乗せたら、他の地面より少し下がっていた。


「ほら、俺が来たからにはもう助かるよ。
アマはその踏んでる地面をつま先だけ残して空けてごらん、俺が空いた箇所に足を滑らして入れるからさ」
「おじさ~ん、あたし死にたくないよ~」

 俺の提案に彼女は泣きじゃくって言うことを聞いてくれない。どうしたらいいのだろうかと考えて、デコピンかビンタでもするかと思ったが、今の状況では逆効果になってしまうと考え、彼女の前髪を掻き上げて額に軽くキスをした。

「え?え?おじさん!なんで?今キスしたのってなんで?」
「やっと正気に戻ったようだね」

 まだ少し混乱しているようだが、先程よりは話しを聞いてくれると思い、先程の足の提案を言ったら、すんなり聞いてくれて、彼女を俺の両足に乗って貰った状態から階段の方に向かって思いっきり投げるから皆んなで受け止めてくれと、声を張り上げて言ったら向こうでいつでもOKだよっと返ってきて、未だに驚いた表情をしている彼女の両脇を抱えて投げたら、無事に捕まえたよーっとシロヤマの声が聴こえ、最後に俺がこの場で思いっきりジャンプすれば、どんな罠だろうが念のために想像魔法で身体を覆うシールドを張った。これで大丈夫だろうと思いっきり前方に向かって跳び上がったら、地面全部が無くなって慌てて空中でバランスを崩した。
 このままでは皆んなの元に辿り着けないと思って、急遽罠だらけだとしても横壁を走ることに切り替えて横壁に足を付けて走り出しながら、目標である階段に向かって走ると、シロヤマが口をパクパクとして合掌している姿が目に入ったところで、両壁すらも急に無くなって、目の前でシーバスやヤスドルが手を伸ばすなか俺も手を伸ばすが届かず、俺の冒険はここまでかと目をつぶって諦めかけたそのとき、俺の手首を小さな手が掴んだ感覚があり、目を開けると、シーバスとヤスドルに支えられたアマとアミが俺の手首を掴んでいた。

「おじさん何諦めてんの!早く上がってきてよ!」
「そうですそうです!私はまだミーツさんに言いたいことがあるんですから、こんな所で死なれたら困ります!」
「ああ、助かったよ。ありがとう」

 必死の表情の彼女らにお礼を言って引き上げてもらっているとき、足に何かが絡みついてきて、グンっと引っ張られる感じに陥った。

「やばい!このままじゃ、アマとアミも落ちてしまう。俺は見捨てて先に行って欲しい!」
「ちょっと!おじさん、急になに言ってんの!」
「ミーツさん、早く上がってください!急に重くなってきました」
「悪いね。俺は今、足に何かが絡みついて引っ張られているんだ。だからこのままじゃ、君たちも落ちてしまうから、先に行って欲しい」

 俺がそう彼女たちに言って、掴まれてないもう片方の手で掴んでいる彼女らの手の皮を抓るも、涙をポロポロと流しながらも決して離そうとしない彼女らに微笑んでI.Bから焦熱剣を取り出して、自身の肘を斬り落とした。

「「嫌あああああーーーー!おじさーーーんミーーーツさーーん」」

 彼女らの叫ぶ声がこだましながら俺は闇に呑まれて、沢山の触手に身体中にまとわりつかれながら目を閉じた。




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