75 / 115
Artémis des larmes ~アルテミスの涙~
第2話
しおりを挟む
さてさてこちらはとてもよく晴れた昼下がりのこと。
色とりどりのたくさんの花が咲き乱れるここローザタニア王国の王都・パラディスの中心にある市場ではここで生活する人々の活気あふれる賑やかな行き交う声が響き渡ります。
「どいたどいたーっ!通してくれ~っ!!」
「わっ!」
「ギャッ!!」
大通りの橋を一台の馬車が猛スピードで人々の間を駆け抜けていきます。
たまたまその近くを歩いていた一人の少し年老いた女性は、その馬車のスピードに驚き転んで尻餅をついてしまいました。近くに居た数人の街の人たちがその女性に声を掛けて手を差し伸べます。
「ちょっと、大丈夫だったかい?」
「あいたたた…もう…ビックリするねぇ!こんな街中をあんな猛スピードで走るなんて!よっぽど慌ててたのかねぇ…」
「お婆さん怪我はないかい?」
「えぇ、大丈夫だよ!私は毎日走り回っているから足腰には自信があるよ!」
フワフワの白髪を白い帽子の中に綺麗にまとめ黒いシックなロングのワンピースを着たその女性はずり下がった眼鏡を掛け直しよっこいしょと立ち上がると、ホレホレと言わんばかりに体操などをして動き回り、集まっている周りの人々に自分の元気さをアピールしております。
「おばあちゃん元気だね!」
「あ、落し物だよ!」
「…っ!あ…ありがとうっ!!」
ふと、一人の少年が少し離れた場所に落ちているレースの袋に包まれた物を拾い上げました。その女性はパッとその少年に駆け寄り、アハハハハ…と笑いながら手に持っていたその袋を急いで受け取りました。
「まぁお婆ちゃん、あんまり見かけない顔だね!」
「そ…そうかい?」
「遠くから来たの?この辺はお城への品物を運んでいく馬車が良く通るから気を付けなよ!」
「おやまぁ…」
「最近特に多いんだ!なんせ半年後にあるシャルロット姫様の15歳の生誕記念式典があるからね!国内の貴族様たちはもちろん、世界各国からシャルロット様への貢物がたくさん届いているって噂だよ!」
「へ…へぇ…」
「光り輝く宝石のように美しいシャルロット姫様…っ!!ローザタニアの至宝と謳われるシャルロット様!!そりゃあ各国の王様たちはシャルロット様を射止めたいに決まってる!」
「俺昔一度だけパレードでシャルロット様をお見かけしたけれど…本当に美しいよなぁ…!あぁ…どんなお方なんだろう!きっととても知的で聡明で凛とした美しい方なんだろうなぁ…」
「微笑まれた笑顔が咲き誇る花の様でさぁ…あぁ…本当に麗しいよなぁ」
「きっととてもお淑やかで儚げで…昼間は咲き誇る花を愛でて…毎晩夜は星に祈りを捧げながらお休みになるんだろうなぁ…」
「まぁ想像したり夢見るのは自由だからね…。それにしても…本当に姫様…見事に国民を騙しておりますねぇ…」
男たちは、めったに市街に姿を現さないシャルロット様のお姿を思い思いに想像して、その虚像にうっとりしておりました。女性はあはは…と乾いた笑いを見せながら、うっとりしている男たちを横目に袋を手に持っていた手提げカバンに仕舞い込み、そっとその場を離れて行きました。
人々の賑わいを背に、その女性はどんどんと市街を離れて大きな川に架けられているこれまた大きくて立派な大理石で作られた白亜の橋を渡っていきます。
その先には同じく大理石でできた白亜のお城がそびえたっております。その女性はお城の裏手の方に回り、裏口の門からそっとお城の中へと入っていきました。
そこには先ほど市街を猛スピードで駆け抜けていった馬車が停まっており、荷台からたくさんの荷物を降ろしております。
他にもたくさんの馬車が停まっており、同じように荷台から荷物を降ろして役人によるチェックを受けておりました。
「…今日も賑やかだねぇ…」
その様子を見ながらばあやはその中を歩いていると、遠くから自分を呼ぶ声が聞こえてきました。ふと振り返ると、メイド服を着た赤毛よりの栗毛を編み込んだ女性が一人息を弾ませて駆け寄ってきたのです。
「ばあやさんやっと帰ってきてくれた…っ!!」
「なんだいセシル、そんなに慌てて!何かあったのかい?」
「もぅ!早く来てくださいよ!まーたシャルロット様が数学の授業をサボってどっか行っちゃったんですよ~!!もう家庭教師のサリバン先生が鬼のように激おこで大変なんです~!!」
「おやまぁ…また今日も…」
「早く見つけ出さないと!このことがヴィンセント様のお耳にでも入ったりしたらまーた雷が―――…」
「生憎もう耳に入ってますよ」
慌てふためくセシルの横を、爽やかな石鹸の香りと仄かに香る麝香のような大人びた香りが通り抜けて行きました。
白い制服に身を包み、陶器のような白い肌にアメジストのような紫色の瞳、銀色に輝く髪をたなびかせた一人の男性が白いマントを翻し、颯爽と現れました。
しかし眉間には深い皺が刻まれており、しかも思いっきり大きく溜息をついてセシルの方を冷たい視線で見つめます。
「…ったく。いつも口酸っぱく申し上げておりますが、私姫様のお世話係ではないんですけど…」
「ヴィンセント様…っ!大変申し訳ございません…」
「何で皆姫様が居なくなったとか私に泣きついてくるんですか。本当にどうでもいいんですけど。私この後会議立て込んでいるんですけど?」
「申し訳ございません…」
「ったく…。で?どの辺りを探しました?」
「お城の中は隈なく…。ですがお姿が見えないのです」
「屋根の上は?」
「精鋭部隊が見回りましたがいらっしゃらないようです」
「となると庭ですかね…」
「大噴水の先の方まで行かれたかも知れません」
「あの先は森と繋がっていますからね…あまり奥に行かれると危険です。すぐに見て来ましょう」
「ありがとうございます…っ!!」
はぁ…っと大きな溜息をつき、ヴィンセントは足早にその場を去って行きました。取り残されたセシルとばあやはヴィンセントの氷のような冷たい視線と不機嫌さが満開のオーラを感じて小さくなって震えております。
「…今日のヴィンセント様、不機嫌オーラマックスですね」
「今朝もなかなか起きない姫様を起こしていただいたばっかりですからね…」
「…ヴィンセント様、本当は国王補佐長官兼執務官長っていう立派なお役職の方なのにね」
「まぁ…陛下と姫様と遠縁とは言えご親戚ですし、それに幼馴染ですからねぇ…。何と言うかもう…こうなってしまうのは当たり前のセオリーと言いますか何と言いますか…」
「めんどくさがってますけど、本当は多分そこまで嫌じゃないですよねきっと」
「なんやかんやで面倒見の良い方ですからね」
「きっとシャルロット様がお嫁に行く際は一番落ち込むタイプですよ」
「ヤケ酒とかしてね、きっと泣くんですよ」
「何かもう目に見えてますよね」
「…とりあえず我々も後追いましょうか…」
「そうだねぇ…」
二人はひとしきり喋り倒した後、もう姿の見えないヴィンセントの後を追って歩き出しました。
その様子を遠巻きに仕事をしながら見ていた裏口の門の役人や兵士たちは、嵐が去って行ったのに安堵し、再び手を動かし始めました。
「…やっぱりヴィンセント様…超怖かったな」
「あぁ…。俺一瞬真冬の北極圏に居るのかと思ったぜ」
「セシルとばあや、さすが慣れてらっしゃるな」
「さすがだよな…」
「さぁ俺たちもヴィンセント様に怒られないように早い所仕事終わらせようぜ!」
「そうだな!」
「おっと!この箱はサルマ公国から姫様へのプレゼントらしいぜ!丁重に扱えよ!!」
「分かってるって!」
一人の若い役人が、馬車の荷台から何重にも鍵がかけられ、厳重に封がされている箱を取出してもう一人の役人に手渡します。
「凄い頑丈に梱包しているな」
「だな。一体中に何が入ってるんだろうなぁ」
「きっとすげぇ高い宝石とか何だろうなぁ」
「しかしここ最近シャルロット様への贈り物多いよなぁ」
「生誕記念式典が半年後だからなぁ。シャルロット様の気を引いてパーティーで一緒に踊りたいって言う各国の王様達がたーくさん宝石とか絹とかプレゼントで贈ってくるよなぁ」
「まぁ…シャルロット様、そんなんよりもお菓子の方がまだ好きみたいだけどな」
「…子供みたいだな。でもそう言うところが可愛いよなぁ」
「あぁ、このまま変わらずにいて欲しいよなぁ…」
「だな…」
その場にいた若い役人や兵士たちは、満面の笑みで一生懸命お菓子をたくさん頬張っているシャルロット様を想像されたのでしょうか、皆ほっこりと微笑んでおります。
先ほどの氷のような空気から一転し、少し長閑に皆仕事の手を再び動かし始めたのでした。
色とりどりのたくさんの花が咲き乱れるここローザタニア王国の王都・パラディスの中心にある市場ではここで生活する人々の活気あふれる賑やかな行き交う声が響き渡ります。
「どいたどいたーっ!通してくれ~っ!!」
「わっ!」
「ギャッ!!」
大通りの橋を一台の馬車が猛スピードで人々の間を駆け抜けていきます。
たまたまその近くを歩いていた一人の少し年老いた女性は、その馬車のスピードに驚き転んで尻餅をついてしまいました。近くに居た数人の街の人たちがその女性に声を掛けて手を差し伸べます。
「ちょっと、大丈夫だったかい?」
「あいたたた…もう…ビックリするねぇ!こんな街中をあんな猛スピードで走るなんて!よっぽど慌ててたのかねぇ…」
「お婆さん怪我はないかい?」
「えぇ、大丈夫だよ!私は毎日走り回っているから足腰には自信があるよ!」
フワフワの白髪を白い帽子の中に綺麗にまとめ黒いシックなロングのワンピースを着たその女性はずり下がった眼鏡を掛け直しよっこいしょと立ち上がると、ホレホレと言わんばかりに体操などをして動き回り、集まっている周りの人々に自分の元気さをアピールしております。
「おばあちゃん元気だね!」
「あ、落し物だよ!」
「…っ!あ…ありがとうっ!!」
ふと、一人の少年が少し離れた場所に落ちているレースの袋に包まれた物を拾い上げました。その女性はパッとその少年に駆け寄り、アハハハハ…と笑いながら手に持っていたその袋を急いで受け取りました。
「まぁお婆ちゃん、あんまり見かけない顔だね!」
「そ…そうかい?」
「遠くから来たの?この辺はお城への品物を運んでいく馬車が良く通るから気を付けなよ!」
「おやまぁ…」
「最近特に多いんだ!なんせ半年後にあるシャルロット姫様の15歳の生誕記念式典があるからね!国内の貴族様たちはもちろん、世界各国からシャルロット様への貢物がたくさん届いているって噂だよ!」
「へ…へぇ…」
「光り輝く宝石のように美しいシャルロット姫様…っ!!ローザタニアの至宝と謳われるシャルロット様!!そりゃあ各国の王様たちはシャルロット様を射止めたいに決まってる!」
「俺昔一度だけパレードでシャルロット様をお見かけしたけれど…本当に美しいよなぁ…!あぁ…どんなお方なんだろう!きっととても知的で聡明で凛とした美しい方なんだろうなぁ…」
「微笑まれた笑顔が咲き誇る花の様でさぁ…あぁ…本当に麗しいよなぁ」
「きっととてもお淑やかで儚げで…昼間は咲き誇る花を愛でて…毎晩夜は星に祈りを捧げながらお休みになるんだろうなぁ…」
「まぁ想像したり夢見るのは自由だからね…。それにしても…本当に姫様…見事に国民を騙しておりますねぇ…」
男たちは、めったに市街に姿を現さないシャルロット様のお姿を思い思いに想像して、その虚像にうっとりしておりました。女性はあはは…と乾いた笑いを見せながら、うっとりしている男たちを横目に袋を手に持っていた手提げカバンに仕舞い込み、そっとその場を離れて行きました。
人々の賑わいを背に、その女性はどんどんと市街を離れて大きな川に架けられているこれまた大きくて立派な大理石で作られた白亜の橋を渡っていきます。
その先には同じく大理石でできた白亜のお城がそびえたっております。その女性はお城の裏手の方に回り、裏口の門からそっとお城の中へと入っていきました。
そこには先ほど市街を猛スピードで駆け抜けていった馬車が停まっており、荷台からたくさんの荷物を降ろしております。
他にもたくさんの馬車が停まっており、同じように荷台から荷物を降ろして役人によるチェックを受けておりました。
「…今日も賑やかだねぇ…」
その様子を見ながらばあやはその中を歩いていると、遠くから自分を呼ぶ声が聞こえてきました。ふと振り返ると、メイド服を着た赤毛よりの栗毛を編み込んだ女性が一人息を弾ませて駆け寄ってきたのです。
「ばあやさんやっと帰ってきてくれた…っ!!」
「なんだいセシル、そんなに慌てて!何かあったのかい?」
「もぅ!早く来てくださいよ!まーたシャルロット様が数学の授業をサボってどっか行っちゃったんですよ~!!もう家庭教師のサリバン先生が鬼のように激おこで大変なんです~!!」
「おやまぁ…また今日も…」
「早く見つけ出さないと!このことがヴィンセント様のお耳にでも入ったりしたらまーた雷が―――…」
「生憎もう耳に入ってますよ」
慌てふためくセシルの横を、爽やかな石鹸の香りと仄かに香る麝香のような大人びた香りが通り抜けて行きました。
白い制服に身を包み、陶器のような白い肌にアメジストのような紫色の瞳、銀色に輝く髪をたなびかせた一人の男性が白いマントを翻し、颯爽と現れました。
しかし眉間には深い皺が刻まれており、しかも思いっきり大きく溜息をついてセシルの方を冷たい視線で見つめます。
「…ったく。いつも口酸っぱく申し上げておりますが、私姫様のお世話係ではないんですけど…」
「ヴィンセント様…っ!大変申し訳ございません…」
「何で皆姫様が居なくなったとか私に泣きついてくるんですか。本当にどうでもいいんですけど。私この後会議立て込んでいるんですけど?」
「申し訳ございません…」
「ったく…。で?どの辺りを探しました?」
「お城の中は隈なく…。ですがお姿が見えないのです」
「屋根の上は?」
「精鋭部隊が見回りましたがいらっしゃらないようです」
「となると庭ですかね…」
「大噴水の先の方まで行かれたかも知れません」
「あの先は森と繋がっていますからね…あまり奥に行かれると危険です。すぐに見て来ましょう」
「ありがとうございます…っ!!」
はぁ…っと大きな溜息をつき、ヴィンセントは足早にその場を去って行きました。取り残されたセシルとばあやはヴィンセントの氷のような冷たい視線と不機嫌さが満開のオーラを感じて小さくなって震えております。
「…今日のヴィンセント様、不機嫌オーラマックスですね」
「今朝もなかなか起きない姫様を起こしていただいたばっかりですからね…」
「…ヴィンセント様、本当は国王補佐長官兼執務官長っていう立派なお役職の方なのにね」
「まぁ…陛下と姫様と遠縁とは言えご親戚ですし、それに幼馴染ですからねぇ…。何と言うかもう…こうなってしまうのは当たり前のセオリーと言いますか何と言いますか…」
「めんどくさがってますけど、本当は多分そこまで嫌じゃないですよねきっと」
「なんやかんやで面倒見の良い方ですからね」
「きっとシャルロット様がお嫁に行く際は一番落ち込むタイプですよ」
「ヤケ酒とかしてね、きっと泣くんですよ」
「何かもう目に見えてますよね」
「…とりあえず我々も後追いましょうか…」
「そうだねぇ…」
二人はひとしきり喋り倒した後、もう姿の見えないヴィンセントの後を追って歩き出しました。
その様子を遠巻きに仕事をしながら見ていた裏口の門の役人や兵士たちは、嵐が去って行ったのに安堵し、再び手を動かし始めました。
「…やっぱりヴィンセント様…超怖かったな」
「あぁ…。俺一瞬真冬の北極圏に居るのかと思ったぜ」
「セシルとばあや、さすが慣れてらっしゃるな」
「さすがだよな…」
「さぁ俺たちもヴィンセント様に怒られないように早い所仕事終わらせようぜ!」
「そうだな!」
「おっと!この箱はサルマ公国から姫様へのプレゼントらしいぜ!丁重に扱えよ!!」
「分かってるって!」
一人の若い役人が、馬車の荷台から何重にも鍵がかけられ、厳重に封がされている箱を取出してもう一人の役人に手渡します。
「凄い頑丈に梱包しているな」
「だな。一体中に何が入ってるんだろうなぁ」
「きっとすげぇ高い宝石とか何だろうなぁ」
「しかしここ最近シャルロット様への贈り物多いよなぁ」
「生誕記念式典が半年後だからなぁ。シャルロット様の気を引いてパーティーで一緒に踊りたいって言う各国の王様達がたーくさん宝石とか絹とかプレゼントで贈ってくるよなぁ」
「まぁ…シャルロット様、そんなんよりもお菓子の方がまだ好きみたいだけどな」
「…子供みたいだな。でもそう言うところが可愛いよなぁ」
「あぁ、このまま変わらずにいて欲しいよなぁ…」
「だな…」
その場にいた若い役人や兵士たちは、満面の笑みで一生懸命お菓子をたくさん頬張っているシャルロット様を想像されたのでしょうか、皆ほっこりと微笑んでおります。
先ほどの氷のような空気から一転し、少し長閑に皆仕事の手を再び動かし始めたのでした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
溺愛兄様との死亡ルート回避録
初昔 茶ノ介
ファンタジー
魔術と独自の技術を組み合わせることで各国が発展する中、純粋な魔法技術で国を繁栄させてきた魔術大国『アリスティア王国』。魔術の実力で貴族位が与えられるこの国で五つの公爵家のうちの一つ、ヴァルモンド公爵家の長女ウィスティリアは世界でも稀有な治癒魔法適正を持っていた。
そのため、国からは特別扱いを受け、学園のクラスメイトも、唯一の兄妹である兄も、ウィステリアに近づくことはなかった。
そして、二十歳の冬。アリスティア王国をエウラノス帝国が襲撃。
大量の怪我人が出たが、ウィステリアの治癒の魔法のおかげで被害は抑えられていた。
戦争が始まり、連日治療院で人々を救うウィステリアの元に連れてこられたのは、話すことも少なくなった兄ユーリであった。
血に染まるユーリを治療している時、久しぶりに会話を交わす兄妹の元に帝国の魔術が被弾し、二人は命の危機に陥った。
「ウィス……俺の最愛の……妹。どうか……来世は幸せに……」
命を落とす直前、ユーリの本心を知ったウィステリアはたくさんの人と、そして小さな頃に仲が良かったはずの兄と交流をして、楽しい日々を送りたかったと後悔した。
体が冷たくなり、目をゆっくり閉じたウィステリアが次に目を開けた時、見覚えのある部屋の中で体が幼くなっていた。
ウィステリアは幼い過去に時間が戻ってしまったと気がつき、できなかったことを思いっきりやり、あの最悪の未来を回避するために奮闘するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる