召還社畜と魔法の豪邸

紫 十的

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第六章 進化する豪邸

かだい

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 ロープウエイの模型を作る。
 見た目さえ気にしなければ、一日もしないうちに出来上がった。
 ゴンドラは、カガミが調整したウッドバード創造の魔法で部品を調達した。

「なんだか着実になじんでるよなぁ」
「魔法ですか?」
「そうそう。こんな魔法で動く模型を一日足らずで作ってしまえるとは考えてもなかった」

 カガミが小さく笑って頷く。

「でも、実物を動かす仕組みについては、サムソンの協力がないと難しいと思うんです。思いません?」

 確かに、ゴーレムの高性能化を担当していたサムソンの方が、適任だろう。
 きっとカガミと同じようにノウハウの蓄積もあるに違いない。

「駄目でしたっス」

 プレインが広間へと戻ってくる。
 火山の場所について話をしたあとのことだ。温泉があるなら、その近くに火山があるかもしれないという意見がでた。
 とりあえず、オレ達の見つけた温泉周りを調べてみようということになったのだが、火山やそれに類するものは無かったようだ。残念。

「駄目元だったからな、しょうがない」
「バルカンも、火山の場所を知らなかったし、手詰まりっスね」

 バルカンにも火山の場所を聞いてみたが、こちらも空振り。
 大体の場所はわかるが、道案内できるほど正確な場所は知らないそうだ。
 行けば危険だとわかる場所に、近づく商人はいないとのこと。そりゃそうだと思う。

「当面は、別の魔導具……暖炉石で、しのぐしかないだろうな」

 代替策があるので、わりと皆のんびりと構えている。
 その後も、火山は後回し、ロープウエイに皆が注力して日々が続く。
 大工修行の休みに戻ってきたトッキーピッキーの獣人二人は、ロープウエイの模型に目を輝かせ、とても協力的だ。
 というか、ゴンドラ制作から、細かい実装まで、サムソンと強力してグイグイ進めていった。
 途中からは、プレインとオレは、彼らのバックアップが主な仕事になった。犬小屋作るときと一緒だ。あの時と同じように任せておけば大丈夫だろう。
 ところが、ロープウエイも問題にぶち当たった。

「ロープが上手く張れないな」

 温泉と屋敷の屋根、その2点に支柱を立てて、そこをロープで繋ぐ計画だった。
 ゴンドラを吊り下げるためにも必要なロープだ。
 ところが、ロープを上手く張ることができない。
 飛翔魔法でロープをもったまま飛ぶ方法を当初考えていたが、上手くいかなかった。
 オレも、ミズキもそこまで精密な飛翔ができないのだ。
 特に時間制限が厳しいなか、慣性がかかって急には止まれない飛翔魔法のデメリットが如実に表れた。

「最悪は、屋敷と温泉の間に支柱を立てるくらいか。3本くらい建てれば、カガミ氏の中級魔法で、途中途中の支柱にたどりつけるはずだ」
「支柱を立てるのは、屋敷と温泉の間にある道は足場も悪いですし、時間がかかると思います。思いません?」
「そうだけど、他には方法がないぞ」
「また、今度ピッキー達が帰ってきたときに、あの二人も交えて相談しましょう。もしかしたら別の方法を教えてくれるかもしれません」

 すでにというより、元々だけれど、トッキーとピッキーは建築関係についてオレ達より知識豊富だ。それに、側には相談できる大工の師匠であるレーハフさんもいる。

「ロープウエイも先送りかなぁ。とりあえずトッキーとピッキーにはトーク鳥で、相談だけしておこう」
「さっそくお手紙書くでち」

 チッキーがトタタっと軽快な足音を立てて部屋から出て行く。
 最近は簡単な手紙が書けるようになったので、トッキーとピッキーへの手紙を書くときはチッキーも参加する。
 そのうち、簡単な挨拶に近況を書いた手紙を持ってくるはずだ。
 それにカガミあたりが、相談事を追記して送る。
 トーク鳥を使ってのやり取りも慣れたものだ。

「私はやることなくなったから、少し遠乗りしてくるね」
「俺は、ロープウエイの挙動にかかる魔法を作るから、火山の場所は頼むぞ」
「ボクは商業ギルドへ依頼をしてみるっス」

 そんなことを話しているうちに、カガミとノアは勉強を始めてしまった。
 オレも邪魔しないようにと、影収納の魔法を常時起動させるための修行をする。
 昼寝だ。寝た場合も魔法が解除されないようにする。そのための修行には、睡眠が必要なのだ。あと、ついでにゴロゴロしながら問題の解決策も考えることにする。
 環境転移を行う先となる火山の場所。
 ロープウエイ工事にかかるロープを張る方法。
 2つの問題はあるが、じっくり腰を据えて進めていきたい。
 そんな着実に快適温泉ライフに向けて、諸々の作業を進めていたとき。
 ついに、領主から連絡が来た。
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