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第十五章 おとぎ話にふれて
ぎゃくもぐらたたき
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「5つだ。それであれば、わしがなんとかしてやる」
ヒューレイストの声が聞こえる。
何を言っているのかはわからない。
オレはオレのできることをする。
古代兵器である魔壁フエンバレアテ。
魔力で動き、複数枚から成り立つ、防御の力をもった分厚い魔法の鉄板。
これを使って、地竜の逃げ道を塞ぐ。
地竜は、魔法の力で土に潜っていることが見ていて分かった。
まるで土の方から避けていくのだ。
物理的な現象とは思えない。
よくわからないから、あれは魔法だ。多分。
そうであれば、逃げ道に魔壁フエンバレアテを置いてやれば良い。
逃げようと思って、地面に突っ込んだつもりが鉄板に激突だ。
いうなれば、逆モグラ叩き。
地中から飛び出ないように、モグラを叩くのがモグラ叩きなら、地中に逃がさないのは逆モグラ叩きってことだ。
「魔壁フエンバレアテを使って、逃げ道を塞ぐ」
これを使えるようにするため、月の光をあてて魔力を補充した。その過程で、随分と使えるようになった。
キーワードを言って起動し、地面に敷き詰めるように展開する。
地竜は今、頭上にある地中を動いている。
次に飛び出して地面に潜ろうとしたときが勝負だ。
「ミズキ様!」
アンクホルタが警告の声をあげる。
次のターゲットはミズキか。
すぐにミズキの足下に魔壁フエンバレアテを滑り込ませるように動かす。
足下へタイルのように複数の鉄板が敷き詰められた。
「ギャッギャ!」
そこへ予定通りに、ミズキを狙った地竜が落下する。
『ゴォォン』
地竜が鉄板にぶつかった音が、辺り一面へけたたましく鳴り響き、地中の空間にこだましていつまでも音が続く。
当の地竜は仰向けになり、バタバタともがいていた。
「ラッキー!」
ミズキが楽しげな声をあげて、地竜を切りつける。
『ガァン』
だが、その厚い体表に攻撃ははじかれてしまった。
「効かずとも集中して叩くでござる! こやつに毒液をはかせてはならぬ!」
ハロルドが大声あげつつ、地竜に切りつける。
赤く色を変えた彼の剣は、地竜の分厚い体表を切り裂きダメージを与える。
サムソンはゴーレムの手を作り出して地竜を上から押さえつけた。
『キィィィン』
そんな中、不気味な機械音が響きだした。
いうなれば歯医者で聞くようなドリルの音。
すぐに発生源がわかる。
ミズキだ。
あいつが持っていた魔法の剣。多数の菱形が連なった形状をした剣。
その菱形が高速に回転して音を出していた。
『チュィィィン』
大量の火花を散らし、地竜の体を引き裂いていく。
「あっつ。火花やばい」
剣を一閃したあと、ミズキが跳ねるように後へと下がった。
「かような使い方があったとは!」
ハロルドが驚愕した様子で感想をもらす。
ミズキは、剣を構成する菱形をした刃物を高速回転させて、切りつけたのだ。
刃物が回転する様子は、まるで回転ノコギリのようだ。
このままいけば倒せる!
地竜は、ゴーレムの手で押さえられ身動きがとれない。
「まだでござる! 毒液を吐く前に! 毒液はさらに辺り一帯に毒の霧を作る! その前に始末せねば!」
そんなオレの思考にカツを入れるように、ハロルドの警告が飛ぶ。
油断は禁物だ。
「まずい!」
さらにヒューレイストの声が響く。
彼の視線、その先をみると今まさに地竜が大きく口をあけてビクビクと震えていた。
毒液を吐くというのか。
だが、すでに対策はできていたようだ。
カガミが口を開いた地竜の全面に立って、火柱の魔法陣が描かれた板を立てていた。
その先には地竜の口。
地竜が毒液を吐くよりも早く、真横に火柱が立ち、業火が地竜の口へとたたき込まれる。
声にならない地竜の呻きが聞こえ、ヤツは狂ったように暴れ出した。
あと少しだ!
「抑えが!」
地竜はゴーレムの手を破壊し、その拘束から逃れ、滑るようにカガミへと突き進む。
直撃?
一瞬あせったが、間一髪のところでウートカルデがカガミを抱えて体当たりをかわす。
本当に間一髪だった。カガミが先ほどまで持っていた火柱の魔法陣が描かれた板が、地竜の体当たりで吹き飛んだのをみて、背筋が凍る。
「もう一度! 魔壁フエンバレアテを使う! 繰り返しだ!」
だが、攻略法は分かった。地竜は弱っている。
「必要はない。終わりだ」
そんなオレの言葉に、落ち着いた調子でウートカルデが答えた。
『パァン』
次の瞬間、突如巨大な剣が出現し、地竜の体を真っ二つに引き裂いた。
巨大な剣だ。ハロルドの大剣など目じゃない。地竜の体とほぼ同じ長さの刀身。
それが地竜の脇腹に突如出現して、打ち込まれたくさびが巨大化したような様子で、地竜を引き裂いた。
「なんと」
一瞬の出来事。
何があったのかは見た以上のことはわからない。
しかし、誰がやったのかはなんとなくわかった。ウートカルデがやったのだ。
ともかく、地竜はなんとか倒せた。
もう戦いたくない。
こりごりだ。
ともかく、強敵は倒した。先にすすもう。
ヒューレイストの声が聞こえる。
何を言っているのかはわからない。
オレはオレのできることをする。
古代兵器である魔壁フエンバレアテ。
魔力で動き、複数枚から成り立つ、防御の力をもった分厚い魔法の鉄板。
これを使って、地竜の逃げ道を塞ぐ。
地竜は、魔法の力で土に潜っていることが見ていて分かった。
まるで土の方から避けていくのだ。
物理的な現象とは思えない。
よくわからないから、あれは魔法だ。多分。
そうであれば、逃げ道に魔壁フエンバレアテを置いてやれば良い。
逃げようと思って、地面に突っ込んだつもりが鉄板に激突だ。
いうなれば、逆モグラ叩き。
地中から飛び出ないように、モグラを叩くのがモグラ叩きなら、地中に逃がさないのは逆モグラ叩きってことだ。
「魔壁フエンバレアテを使って、逃げ道を塞ぐ」
これを使えるようにするため、月の光をあてて魔力を補充した。その過程で、随分と使えるようになった。
キーワードを言って起動し、地面に敷き詰めるように展開する。
地竜は今、頭上にある地中を動いている。
次に飛び出して地面に潜ろうとしたときが勝負だ。
「ミズキ様!」
アンクホルタが警告の声をあげる。
次のターゲットはミズキか。
すぐにミズキの足下に魔壁フエンバレアテを滑り込ませるように動かす。
足下へタイルのように複数の鉄板が敷き詰められた。
「ギャッギャ!」
そこへ予定通りに、ミズキを狙った地竜が落下する。
『ゴォォン』
地竜が鉄板にぶつかった音が、辺り一面へけたたましく鳴り響き、地中の空間にこだましていつまでも音が続く。
当の地竜は仰向けになり、バタバタともがいていた。
「ラッキー!」
ミズキが楽しげな声をあげて、地竜を切りつける。
『ガァン』
だが、その厚い体表に攻撃ははじかれてしまった。
「効かずとも集中して叩くでござる! こやつに毒液をはかせてはならぬ!」
ハロルドが大声あげつつ、地竜に切りつける。
赤く色を変えた彼の剣は、地竜の分厚い体表を切り裂きダメージを与える。
サムソンはゴーレムの手を作り出して地竜を上から押さえつけた。
『キィィィン』
そんな中、不気味な機械音が響きだした。
いうなれば歯医者で聞くようなドリルの音。
すぐに発生源がわかる。
ミズキだ。
あいつが持っていた魔法の剣。多数の菱形が連なった形状をした剣。
その菱形が高速に回転して音を出していた。
『チュィィィン』
大量の火花を散らし、地竜の体を引き裂いていく。
「あっつ。火花やばい」
剣を一閃したあと、ミズキが跳ねるように後へと下がった。
「かような使い方があったとは!」
ハロルドが驚愕した様子で感想をもらす。
ミズキは、剣を構成する菱形をした刃物を高速回転させて、切りつけたのだ。
刃物が回転する様子は、まるで回転ノコギリのようだ。
このままいけば倒せる!
地竜は、ゴーレムの手で押さえられ身動きがとれない。
「まだでござる! 毒液を吐く前に! 毒液はさらに辺り一帯に毒の霧を作る! その前に始末せねば!」
そんなオレの思考にカツを入れるように、ハロルドの警告が飛ぶ。
油断は禁物だ。
「まずい!」
さらにヒューレイストの声が響く。
彼の視線、その先をみると今まさに地竜が大きく口をあけてビクビクと震えていた。
毒液を吐くというのか。
だが、すでに対策はできていたようだ。
カガミが口を開いた地竜の全面に立って、火柱の魔法陣が描かれた板を立てていた。
その先には地竜の口。
地竜が毒液を吐くよりも早く、真横に火柱が立ち、業火が地竜の口へとたたき込まれる。
声にならない地竜の呻きが聞こえ、ヤツは狂ったように暴れ出した。
あと少しだ!
「抑えが!」
地竜はゴーレムの手を破壊し、その拘束から逃れ、滑るようにカガミへと突き進む。
直撃?
一瞬あせったが、間一髪のところでウートカルデがカガミを抱えて体当たりをかわす。
本当に間一髪だった。カガミが先ほどまで持っていた火柱の魔法陣が描かれた板が、地竜の体当たりで吹き飛んだのをみて、背筋が凍る。
「もう一度! 魔壁フエンバレアテを使う! 繰り返しだ!」
だが、攻略法は分かった。地竜は弱っている。
「必要はない。終わりだ」
そんなオレの言葉に、落ち着いた調子でウートカルデが答えた。
『パァン』
次の瞬間、突如巨大な剣が出現し、地竜の体を真っ二つに引き裂いた。
巨大な剣だ。ハロルドの大剣など目じゃない。地竜の体とほぼ同じ長さの刀身。
それが地竜の脇腹に突如出現して、打ち込まれたくさびが巨大化したような様子で、地竜を引き裂いた。
「なんと」
一瞬の出来事。
何があったのかは見た以上のことはわからない。
しかし、誰がやったのかはなんとなくわかった。ウートカルデがやったのだ。
ともかく、地竜はなんとか倒せた。
もう戦いたくない。
こりごりだ。
ともかく、強敵は倒した。先にすすもう。
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