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第三十章 過去は今に絡まって
にげろ!
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「カチナキ……カチク……」
スカポディーロに響く、機械音声のような不気味な声。
声に続き、地図にも異変が起きる。突如、沢山の赤い円が出現したのだ。
それらは、オレ達を取り囲んでいる。
さらに、一際大きな円がやや離れた場所に出現する。
「にげろ!」
反射的にオレは叫んだ。
「にげるって、どこに?」
「何処でも良い。とりあえず、今見えている赤い円から離れるんだ」
周囲の状況を示す地図の中央にあった小さな円が、大きく膨らむ。
そして巨大な青い円で表示されたそれは動き出す。
オレ達の乗っているモグラ型ゴーレム……スカポディーロが再始動したのだ。
「ワタシノ、カタテハ……アナタノセナカニ」
そんな中にも、静かに響く声は続く。
「ニガシハ、シマセン……トモニクチルマデ……トモニ」
巨大な円が一直線にこちらへと動き出す。
「どういう事っスか?」
「偽装だ。地竜だと思っていたがノイタイエルだったんだ」
オレは、オレ達は思い違いをしていた。
追ってきているノイタイエルは、条件反射で動くミサイルではない。
知能がない地竜でもない。
考えて、動き、時にはだまし合いだって厭わない。
そんな意志を持つ敵だったのだ。
相手に思考力があれば、偽装だってするだろう。
自分の索敵方法がオレ達にバレていると知って……逆手に取った。
頭の回る敵だ。
その上で先ほどの言葉。
片手が背中にどうとか言っていた。
楽観視はできない。もう追いつかれるのは時間の問題だと考え行動すべきだ。
「でも、どうして分かったんですか?」
「分かったというより、ただの勘だ。でも、間違っていない気はする。おそらく敵は地竜を操れるんだ。最初たくさんいた地竜は、追われていたわけじゃない。オレ達を探すために操っていたんだ」
逃げていたなら、あんなに都合良くいきなり出現しない。
眠らせたか何かして、活動を停止して潜ませていたのだ。だから、居なくなったはずの地竜が、ふたたび一度に出現した。
「じゃあ、最初にヤツが地竜を間違えて狙ったのは?」
「偽装か、勢いあまってぶつかった……そんなところだろう」
その後の動きから、地竜を精密には操れない。もしくは複数をともかく操ることができないが、数匹であれば自由に操れる……考えたらいくらでも辻褄の合う話はできる。
そして動きを止めていたオレ達の場所を探し当てたのは、おそらくデコイの動きからだ。
迂闊にも、デコイの魚雷も俺たちから一直線に離れていった。
逆算してゆっくり近づいて、射程範囲に入ったから声をかけてきたのだ。
ヤツはオレ達に自分をぶつけることができるという確信があるのだろう。
もうデコイは通じない。
他の方法を考えなくてはいけない。
そう思っていた直後、スカポディーロが揺れる。
地図を見ると、いくつかの赤い円がこちらへと向かってきていた。
「地竜がぶつかってきてるだなァ。でも、大丈夫だよ」
「だが、迷いの無い動きだぞ。リーダの言う通り、地竜を操れるようだ」
サムソンが地図を見て、振り絞るように声をあげる。
さらにこちらに2つの赤い円が、勢いを増して向かってきているのが見える。
一つは地竜。そして、もう一つはノイタイエルだ。
しかもノイタイエル……先ほどより若干早い。
場所が捕捉されているとすれば、もう逃げられない。
「まずいな」
最初に出た言葉がそれだった。
さてどうするか……だ。
「体当たりを喰らうとしたら、あとは防御力の勝負だと思うぞ」
「それなら、どうにかして、防御力をあげるしかないと思います」
「でも、どうやって?」
それが大事だ。
ゴーレムを強化する魔法……そんなものがあれば、ゲオルニクスがとっくの昔に言っているだろう。
「カガミ。ほら、魔法で壁をつくるのは?」
「地中では魔法法則が違うだよ。防御障壁は、地中では展開できねぇだ」
ここにきて新事実か。
「地上には?」
「上を敵に抑えられてるだ。浮上しようとすると一気に追いつかれるだ」
「でも、地中にも空洞あるっスよね」
そういや、そうだ。
「プレインの言う通りだ。地中で壁が張れないなら、地下空洞にでて壁を張れば良い」
「でも、魔法で壁をどうやって張るんだ? 見えていない場所に、都合良く壁を展開できるのか?」
「地下空洞にでて、スカポディーロから一旦出て……時間がないか」
「中から遠隔で張れない?」
「ごめんなさい。魔法陣を中心にするか、見えているところだけです」
「そうしたら、壁が破られたら直撃を受けることになる」
サムソンが忌ま忌ましげに言う。そうだな。カガミの作る壁だけで耐えられるなんて思えない。
壁と、このスカポディーロで耐えるのが最低条件なのだ。
話し合いしている途中も、小刻みにスカポディーロが揺れる。
地竜だ。数が多くてさけきれない。
だが、ノイタイエルがぶつかれば、こんなものじゃすまない。
なんとか、防御力をあげる方法を……。
「アアア……アトワズカ……」
そう思っていた直後、再び機械的な声が響く。
そして、直後スカポディーロが大きく揺れた。
『ズズ……ン』
地鳴りがして、空からパラパラと小さな石が落ちてきた。
今までとは違うタイプの揺れ。直感的に、危険な揺れだと感じた。
地竜では無い何かがぶつかった?
敵は遠距離攻撃ができるのか?
答えのない問いばかりが浮かぶ。
「あん」
そんななか、いままでになく厳しい顔をしたゲオルニクスが上を見て唸った。
スカポディーロに響く、機械音声のような不気味な声。
声に続き、地図にも異変が起きる。突如、沢山の赤い円が出現したのだ。
それらは、オレ達を取り囲んでいる。
さらに、一際大きな円がやや離れた場所に出現する。
「にげろ!」
反射的にオレは叫んだ。
「にげるって、どこに?」
「何処でも良い。とりあえず、今見えている赤い円から離れるんだ」
周囲の状況を示す地図の中央にあった小さな円が、大きく膨らむ。
そして巨大な青い円で表示されたそれは動き出す。
オレ達の乗っているモグラ型ゴーレム……スカポディーロが再始動したのだ。
「ワタシノ、カタテハ……アナタノセナカニ」
そんな中にも、静かに響く声は続く。
「ニガシハ、シマセン……トモニクチルマデ……トモニ」
巨大な円が一直線にこちらへと動き出す。
「どういう事っスか?」
「偽装だ。地竜だと思っていたがノイタイエルだったんだ」
オレは、オレ達は思い違いをしていた。
追ってきているノイタイエルは、条件反射で動くミサイルではない。
知能がない地竜でもない。
考えて、動き、時にはだまし合いだって厭わない。
そんな意志を持つ敵だったのだ。
相手に思考力があれば、偽装だってするだろう。
自分の索敵方法がオレ達にバレていると知って……逆手に取った。
頭の回る敵だ。
その上で先ほどの言葉。
片手が背中にどうとか言っていた。
楽観視はできない。もう追いつかれるのは時間の問題だと考え行動すべきだ。
「でも、どうして分かったんですか?」
「分かったというより、ただの勘だ。でも、間違っていない気はする。おそらく敵は地竜を操れるんだ。最初たくさんいた地竜は、追われていたわけじゃない。オレ達を探すために操っていたんだ」
逃げていたなら、あんなに都合良くいきなり出現しない。
眠らせたか何かして、活動を停止して潜ませていたのだ。だから、居なくなったはずの地竜が、ふたたび一度に出現した。
「じゃあ、最初にヤツが地竜を間違えて狙ったのは?」
「偽装か、勢いあまってぶつかった……そんなところだろう」
その後の動きから、地竜を精密には操れない。もしくは複数をともかく操ることができないが、数匹であれば自由に操れる……考えたらいくらでも辻褄の合う話はできる。
そして動きを止めていたオレ達の場所を探し当てたのは、おそらくデコイの動きからだ。
迂闊にも、デコイの魚雷も俺たちから一直線に離れていった。
逆算してゆっくり近づいて、射程範囲に入ったから声をかけてきたのだ。
ヤツはオレ達に自分をぶつけることができるという確信があるのだろう。
もうデコイは通じない。
他の方法を考えなくてはいけない。
そう思っていた直後、スカポディーロが揺れる。
地図を見ると、いくつかの赤い円がこちらへと向かってきていた。
「地竜がぶつかってきてるだなァ。でも、大丈夫だよ」
「だが、迷いの無い動きだぞ。リーダの言う通り、地竜を操れるようだ」
サムソンが地図を見て、振り絞るように声をあげる。
さらにこちらに2つの赤い円が、勢いを増して向かってきているのが見える。
一つは地竜。そして、もう一つはノイタイエルだ。
しかもノイタイエル……先ほどより若干早い。
場所が捕捉されているとすれば、もう逃げられない。
「まずいな」
最初に出た言葉がそれだった。
さてどうするか……だ。
「体当たりを喰らうとしたら、あとは防御力の勝負だと思うぞ」
「それなら、どうにかして、防御力をあげるしかないと思います」
「でも、どうやって?」
それが大事だ。
ゴーレムを強化する魔法……そんなものがあれば、ゲオルニクスがとっくの昔に言っているだろう。
「カガミ。ほら、魔法で壁をつくるのは?」
「地中では魔法法則が違うだよ。防御障壁は、地中では展開できねぇだ」
ここにきて新事実か。
「地上には?」
「上を敵に抑えられてるだ。浮上しようとすると一気に追いつかれるだ」
「でも、地中にも空洞あるっスよね」
そういや、そうだ。
「プレインの言う通りだ。地中で壁が張れないなら、地下空洞にでて壁を張れば良い」
「でも、魔法で壁をどうやって張るんだ? 見えていない場所に、都合良く壁を展開できるのか?」
「地下空洞にでて、スカポディーロから一旦出て……時間がないか」
「中から遠隔で張れない?」
「ごめんなさい。魔法陣を中心にするか、見えているところだけです」
「そうしたら、壁が破られたら直撃を受けることになる」
サムソンが忌ま忌ましげに言う。そうだな。カガミの作る壁だけで耐えられるなんて思えない。
壁と、このスカポディーロで耐えるのが最低条件なのだ。
話し合いしている途中も、小刻みにスカポディーロが揺れる。
地竜だ。数が多くてさけきれない。
だが、ノイタイエルがぶつかれば、こんなものじゃすまない。
なんとか、防御力をあげる方法を……。
「アアア……アトワズカ……」
そう思っていた直後、再び機械的な声が響く。
そして、直後スカポディーロが大きく揺れた。
『ズズ……ン』
地鳴りがして、空からパラパラと小さな石が落ちてきた。
今までとは違うタイプの揺れ。直感的に、危険な揺れだと感じた。
地竜では無い何かがぶつかった?
敵は遠距離攻撃ができるのか?
答えのない問いばかりが浮かぶ。
「あん」
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