華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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悪の行方

捜査の鉄則

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「出動依頼があった。ついてこい!」



まともに自己紹介をする暇もなく、前田は二人を連れて現場へ向かった。

現場は桜木の隣町。そう遠くはない。



隣町に着くと、現場は騒然としていた。

たった今、少女が拐われそうになり、少女は無事だったが犯人を捕り逃がしたらしい。



「華罪捜査官の前田です。
 犯人はどの方角へ向かいました?」

「東の方へ行ったと思います…!」

「了解、行くぞ」



梅乃たちは前田の後ろにつき、東へ向かう。

三人が全速力で追いかけると、男の背中が見えてきた。
袴を履いた若い男だ。


男は後ろを振り向き、こちらに気づいた。
左瞼にはバツ印。華狩だ。



「こっちに気づきやがったな…
 まわり道するぞ」



前田は直進するのを辞め、建物の影に入る。
細い路地からまわって正面から攻める作戦だ。

男も必死に逃げまわるが、こちらの方が上手だったようだ。



「おい、華狩だな。
 逃げられると思ったか?」

「くそ……!」



前田が片手で素早く男の両腕を縛った。

その早業に二人はぼう然とするしかなかった。



「なぜお前らは若い女を狙う?」

「知らねえよ!俺はムラサキから指示されただけだ」

「また紫か……
 早河、佐佐木。こいつを車に乗せておけ」

「はい…!」



梅乃と銀壱で男を運び、応援に来ていた本部車両に乗せる。
前田は無線機のようなものを取り出し、何やら連絡をしていた。

前田の持ち物は銀壱も梅乃も知らないような最新のものばかりだった。



「こんなに頻繁に事件が起こるのか…」

「そうだ。実感するだろう、仕事をすると」

「あ、はい……悲しい気持ちになります」

「悲しんでいる暇はない。
 次は紫について調べるぞ」



銀壱は気持ちを切り替えるのに必死だった。
まだ少女が無事だったのがせめてもの救いだ。

しかし毎日のように事件が起きることにとても驚いていた。


一方梅乃は、聞き覚えのない「紫」というものが何なのか、とても気になっていた。

もしかしたら、自分の両親を救い出す手がかりになるかもしれない、と。



三人で本部へ戻り、最近の事件の傾向や犯人からの情報を元に「紫」ついて調べ始める。



「紫というのは…一体何のことなのですか?」

「華狩の親分みたいなものだ。要は一番上。
 だいたい紫の指示で下が動くからな」

「紫を捕まえれば、事件の真相が分かるのですね」

「ああ、そうだな。
 ただあいつはそう簡単に見つからん。
 だから、なるべく下っ端を生かしつつ確保して、
 そいつらから情報を聞き出すんだよ」



この仕事では捜査の鉄則として、どんな現行犯でも捕まえる際に殺してはならない、という決まりがある。


武器の使用は許可されているが、犯罪者たちの更生のためにも生かしておくのが理想なのだ。
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