隻腕の聖女

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王の野望編

第18話

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私達は山賊達に案内されて、小さな山小屋にたどり着いた。
小屋からは数人の男たちが盛り上がっている声が聞こえてきた。

「奴らは自分たちだけで酒も独占しているんです。
私達はまるで奴隷ですよ。」
山賊が呟くように言う。

私が小屋の扉を開けると、膝を突き合わせて酒を飲んでいた四人の男達が
こちらを一斉に振り向いた。

「なんだ?女じゃねぇか。なんでこんなところに?
まぁいいやこっちこいよ。」
男の一人がニヤニヤしながらこちらへ歩いてくる。

私達は一気にドアを開けて、一斉に入り込み、
私は、こちらに歩いてきていた男の喉元のどもとに剣を突きつけ、
ガイツとアリウスが他の男たちを牽制けんせいした。

「おい、こいつは何の真似だ?俺たちが何者なのか分かっているのか?」
喉元に剣を突きつけられながらも、余裕の表情で男は言った。

私は攻撃を逡巡しゅんじゅんしていた、
まだ、彼らが人なのか悪魔なのか分からないからだ。

「あなたたちは一体何者なの?人?それとも悪魔?」
私は率直に聞いてみた。
男たちはどっと笑いだした。

「悪魔だったらどうする?」
私の目の前の男が、右手を大きく左に振る動作をした。
攻撃が来ると思った私は、相手の動きを制止しようと、
男の喉元に少し刺さるくらいに剣を突き刺したが、
剣は皮膚すら傷つけることができなかった。
男の攻撃は止まることなく、裏拳が私の右わき腹に直撃した。

ツヴァートでもらった鎧のおかげで大したダメージはなかったが、
私は体制を崩してしまった。
男はチャンスとばかりに今度は私に肘打ちを放ってきた。
私は、剣を捨てて素早く左方に転がって回避した。

今度はその男を背後からガイツが切りつけた。
しかし、やはりビクともしない。
私達はこの時、男達が悪魔であることを確信した。

一斉に全員の硬直が溶けて動き出す。

男たちはアリウスの剣を躊躇うことなく手で払いのけて立ち上がり、
私達に襲い掛かってきた。

ガイツとアリウスが、相手の攻撃を回避しつつ、必死に攻撃するも、相手には傷一つ付けられない。

男の一人が、未だしゃがみこんだ体制の私に殴りかかってくる。
私は左手に力を込めた、
鍛錬の成果により力はすぐに溜まった。
相手の拳の圏内に入る前に、私の一撃が男の頭を砕いた。

男の体は吹き飛び、壁に激しく叩きつけられる。
しかし、何事もなかったかのようにすぐに起き上がり、私に向かってきた。

やはり、使い魔程度であっても、弱点の位置が分からないと倒せない。
なんとか知る方法はないのだろうかと思っていると、
ぼんやりと、左足の付け根辺りに赤黒い炎が見えたような気がした。

私はそれを信じて、もう一度、相手に左手の力を放ってみた。
すると、今度は完全に消滅し、小さな球に変わった。

弱点が見えた?

私は初めての経験に困惑しながらも、他三人を注意深く観察しなおした。
確かに、今なら薄っすらと見える。

私は赤黒い炎を目印に、
ガイツ越しに男の右腕の付け根辺りを狙って撃った、
すると、いとも簡単に、二人目も消滅した。

私が二人目をあっさり倒したことで、残りの二人は劣勢を察知したのか、
慌てた様に牛の頭をした悪魔の姿に変貌して、小屋の壁を突き破って逃走を図った。

私は二匹の悪魔を追撃した。
しかし、悪魔の足は思った以上に早く、
一匹は仕留めることが出来たが、
最後の一匹を撃ち損じ、逃げられてしまった。

「どうなってるんだ?まるで今までとは別人だな。」
私の成長を見たガイツが嬉しそうに言った。

「鍛錬のおかげね。それに、もしかしたら、
人間の姿の時でも、悪魔の弱点がうっすらとだけど見えるようになっているの。」
私も悪魔を退治する力が着実についてきていることはうれしかった。
また暴走してしまうかもしれないことは怖かったが、
それ以上に、前のように自分の力を皆の役に立てることが誇らしく、
生きがいにもなっていたからだ。

「イヴ、左目が赤い・・・いや気のせいか?」
ガイツが不思議そうに私の顔を見ながら呟いたが、何事もなかった様だ。

私達は悪魔が残していった球から力を吸収した後、ドラジアへと向かった。
ザヴァンに報せが行ってしまったかもしれない。
街に入ってからが、本当の闘いだと、腹をくくった。
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