22 / 121
王の野望編
第22話
しおりを挟む
「たかが人間と見縊っていた。
これほどの魔力を使う人間がいるとはな。」
ザヴァンはそう言いながらも余裕の笑みを浮かべた。
きっと何度やっても同じだろう。
先ほどの一撃で仕留めるつもりだったので、かなり力を使ってしまった。
何か突破口を見つけないと、すぐにこちらの魔力は尽きてしまうだろう。
私は、とりあえず魔力を温存するために剣を抜いた。
ガイツとアリウスも、私のそれに合わせて剣を抜く。
「聖女様、どうした?攻撃を外したのか?」
状況を理解できないガイツが私に聞いてきた。
「いえ、奴の弱点は心臓の辺りのはず。
ちゃんと命中したのに、また復活してきたの。
奴にはきっと何かほかの悪魔と違う力がある。」
私はガイツとアリウスに私が考察したことを述べた。
「分かった。俺たちで時間稼ぎするから、
なんとかならないか考えてみよう。」
そう言って、ガイツがザヴァンに切りかかった。
ザヴァンはハエでも払うかのようにガイツをあしらう。
ようやく気持ちを切り替えたのか、
アリウスもザヴァンに向かっていった。
私は、考えた。
弱点は、確かにザヴァンの左胸に今も確かに見える。
数匹の悪魔達を、その場所を撃ち抜いて倒してきたのだ。
今更あれが偶然だったなどということはないはず。
やはり、ザヴァンだけが特殊な能力、肉体を持つのだろう。
ザヴァンと他の悪魔の違い・・・。
体が大きいこと?
いや、そんなことじゃないはず。
ザーロだって同じくらい大きかった。
この場所?
辺りを見渡してみても、
特に悪魔に有利になりそうなものは見当たらなかった。
しかし、私はあることに気が付いた。
玉座の横に立っているローブの人影。
動きがないから存在を忘れていたが、
今もまだその場所で佇んでいた。
眠っているとか、
恐怖で動かないとかそんな感じじゃない。
ただ、動かないのだ。
大切なものでも守っているかのように・・・。
「イヴまだか?」
ザヴァンの一方的な展開にガイツが音を上げる。
よくよく、見てみれば、
ローブを着た人影の右胸にも赤黒い炎が見える。
悪魔だ。
私は剣を握りしめて、玉座の方へと走り出した。
私の不自然な行動にガイツとアリウスは驚いたようだが、
ザヴァンは、私を行かせまいと追ってきた。
「貴様、どこに行くつもりだ。」
ザヴァンは余裕を装いながらも、顔を引きつらせていた。
私は、その表情で確信した。
ザヴァンは大男故に歩幅も大きく、私はすぐに追いつかれた。
私は、ザヴァンの攻撃を剣で制しながら躱して、
徐々に後退しながら玉座へと近づいて行く。
ガイツとアリウスも私の意図を理解したのか、
ザヴァンを後ろから攻撃して気を引こうとした。
しかし、彼はそんな二人をものともせず、
私だけに攻撃を集中させた。
いよいよローブの人物がすぐ後ろに近づいてくる。
左手の力を使おうとするも、ザヴァンは攻撃の手を休めない。
私に魔力を使わせないようにと、もはや必死になっていた。
「ヴェダ、逃げろ。」
ザヴァンが私を攻撃しながら叫ぶ。
急に我に戻ったかのように、
ヴェダと呼ばれた人物は動き出した。
逃げようとするヴェダを、ガイツとアリウスが切りつける。
ローブが切り裂かれて、ヴェダの姿があらわになった。
ザヴァンにそっくりだけど、小柄で、若そうだった。
私がヴェダの姿を確認したその時、
私は壁際に追い詰められて、回避する場所を失った。
ザヴァンの左腕の一撃を、剣で一度は受け止めるも、
それ以上の身動きが取れなくなり、
そのまま繰り出された彼の右腕が私のわき腹に直撃した。
私は吹き飛び、部屋の隅へと追いやられた。
ザヴァンは脇目も振らず、私を追いかけてくる。
私はわき腹の痛みに耐えつつ上体を起こし、
剣を捨てて、左手に力を集中させた。
これほどの魔力を使う人間がいるとはな。」
ザヴァンはそう言いながらも余裕の笑みを浮かべた。
きっと何度やっても同じだろう。
先ほどの一撃で仕留めるつもりだったので、かなり力を使ってしまった。
何か突破口を見つけないと、すぐにこちらの魔力は尽きてしまうだろう。
私は、とりあえず魔力を温存するために剣を抜いた。
ガイツとアリウスも、私のそれに合わせて剣を抜く。
「聖女様、どうした?攻撃を外したのか?」
状況を理解できないガイツが私に聞いてきた。
「いえ、奴の弱点は心臓の辺りのはず。
ちゃんと命中したのに、また復活してきたの。
奴にはきっと何かほかの悪魔と違う力がある。」
私はガイツとアリウスに私が考察したことを述べた。
「分かった。俺たちで時間稼ぎするから、
なんとかならないか考えてみよう。」
そう言って、ガイツがザヴァンに切りかかった。
ザヴァンはハエでも払うかのようにガイツをあしらう。
ようやく気持ちを切り替えたのか、
アリウスもザヴァンに向かっていった。
私は、考えた。
弱点は、確かにザヴァンの左胸に今も確かに見える。
数匹の悪魔達を、その場所を撃ち抜いて倒してきたのだ。
今更あれが偶然だったなどということはないはず。
やはり、ザヴァンだけが特殊な能力、肉体を持つのだろう。
ザヴァンと他の悪魔の違い・・・。
体が大きいこと?
いや、そんなことじゃないはず。
ザーロだって同じくらい大きかった。
この場所?
辺りを見渡してみても、
特に悪魔に有利になりそうなものは見当たらなかった。
しかし、私はあることに気が付いた。
玉座の横に立っているローブの人影。
動きがないから存在を忘れていたが、
今もまだその場所で佇んでいた。
眠っているとか、
恐怖で動かないとかそんな感じじゃない。
ただ、動かないのだ。
大切なものでも守っているかのように・・・。
「イヴまだか?」
ザヴァンの一方的な展開にガイツが音を上げる。
よくよく、見てみれば、
ローブを着た人影の右胸にも赤黒い炎が見える。
悪魔だ。
私は剣を握りしめて、玉座の方へと走り出した。
私の不自然な行動にガイツとアリウスは驚いたようだが、
ザヴァンは、私を行かせまいと追ってきた。
「貴様、どこに行くつもりだ。」
ザヴァンは余裕を装いながらも、顔を引きつらせていた。
私は、その表情で確信した。
ザヴァンは大男故に歩幅も大きく、私はすぐに追いつかれた。
私は、ザヴァンの攻撃を剣で制しながら躱して、
徐々に後退しながら玉座へと近づいて行く。
ガイツとアリウスも私の意図を理解したのか、
ザヴァンを後ろから攻撃して気を引こうとした。
しかし、彼はそんな二人をものともせず、
私だけに攻撃を集中させた。
いよいよローブの人物がすぐ後ろに近づいてくる。
左手の力を使おうとするも、ザヴァンは攻撃の手を休めない。
私に魔力を使わせないようにと、もはや必死になっていた。
「ヴェダ、逃げろ。」
ザヴァンが私を攻撃しながら叫ぶ。
急に我に戻ったかのように、
ヴェダと呼ばれた人物は動き出した。
逃げようとするヴェダを、ガイツとアリウスが切りつける。
ローブが切り裂かれて、ヴェダの姿があらわになった。
ザヴァンにそっくりだけど、小柄で、若そうだった。
私がヴェダの姿を確認したその時、
私は壁際に追い詰められて、回避する場所を失った。
ザヴァンの左腕の一撃を、剣で一度は受け止めるも、
それ以上の身動きが取れなくなり、
そのまま繰り出された彼の右腕が私のわき腹に直撃した。
私は吹き飛び、部屋の隅へと追いやられた。
ザヴァンは脇目も振らず、私を追いかけてくる。
私はわき腹の痛みに耐えつつ上体を起こし、
剣を捨てて、左手に力を集中させた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
乙女ゲームのヒロインなんてやりませんよ?
喜楽直人
ファンタジー
一年前の春、高校の入学式が終わり、期待に胸を膨らませ教室に移動していたはずだった。皆と一緒に廊下を曲がったところで景色が一変したのだ。
真新しい制服に上履き。そしてポケットに入っていたハンカチとチリ紙。
それだけを持って、私、友木りんは月が二つある世界、このラノーラ王国にやってきてしまったのだった。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる