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王の野望編
第49話
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「聖女様、聖女様。」
私はガイツの声で目が覚めた。
「ガイツ。アルケスはどうなったの?」
私はぼんやりとした頭で辛うじてアルケスの名を思い出した。
「アルケスは、もう消えました。
あと、私はヨハンです。」
そうか、ガイツはもういなかった・・・。
「そうだった・・。ヨハンね。」
ヨハンが差し出した手を握って私は立ち上がった。
立ち眩みでよろけた私を、ヨハンが後ろから支える。
「大丈夫ですか?一度どこかで休憩しましょうか?」
ヨハンが私に優しい声を掛ける。
私はその優しさに甘えることにした。
ヨハンの方につかまりながら壁際へと歩いて行き、
壁に背をつけて腰を落ち着けた。
「アルケスと共に王、ダナゴンも消滅してしまいました。
これからこの国はどうなっていくのでしょうか。」
ヨハンは空になった玉座を見つめた。
「そうね。王のいなくなった後のことは全く考えていなかった。
アルケスを倒すことだけに必死だったから。」
「一つ相談なのですが、聖女様がこの国を治めていただけないでしょうか?
私はそうするのが一番だと思っていました。」
ヨハンは振り返ってこちらをみつめる。
私が国を治める?考えたこともなかった。
しかし、当然ながら私はそれを受け入れるわけにはいかなかった。
まだ、私にはやるべきことが残っているのだ。
「ごめんなさい。まだやるべきことが残っているの・・。」
私の言葉にヨハンは残念そうにうなだれる。
「あなたなら・・・。」
私はいいことを考え付いた。
「ヨハンなら立派に国を治められると思う。
これまで抵抗組織を率いてきたんでしょ?」
ヨハンが力なく笑う。
「私ですか?私が王だなんて・・・。
兄は立派な騎士でしたが、
私は落ちこぼれですよ?」
「あなたがこれまでどうだったかは知らないけど、
あなたは今回の戦いでは立派な騎士だった。
私はそう思う。」
私はヨハンを励ました。
彼は、はにかんだ後「ありがとう」と礼を述べた。
「アリウス様や、兄がいたら、
きっとうまくやれたんでしょうがね。」
アリウス・・・確かに王になるほどのカリスマ性はありそうだ。
ガイツはどうだろう?彼は王というより騎士のほうが向いていそうだ。
ガイツが王になったら、国中しっちゃかめっちゃかになりそうだ。
私はガイツが王になったところを想像して、思わず笑ってしまった。
ヨハンが隣で不思議そうに私を見つめる。
「ガイツが王になったところを想像していたの。
なんか、全部大雑把な指示しかしなくて、
みんな大変そうだなって。」
それを聞いたヨハンも想像できたのか、笑い出した。
「確かに。兄は細かい指示なんて出来なさそうですね。
兄の言葉を通訳する優秀な秘書が欲しいですね。」
そういいながら笑う、ヨハンの優しい顔を見て、
きっとヨハンならいい国を作れるだろうと思った。
「楽しそうな会話だな。
俺も混ぜてくれよ。」
謎の声と共に急に玉座の間の扉が
半ば破壊されるようにして開いた。
ヨハンは慌てて立ち上がり身構える。
私は疲れで、未だ立ち上がれないでいた。
こんなときに・・・いったい誰?
破壊された扉を押し開けて現れたのは、ルース、
いや、ルザーフだった。
私はガイツの声で目が覚めた。
「ガイツ。アルケスはどうなったの?」
私はぼんやりとした頭で辛うじてアルケスの名を思い出した。
「アルケスは、もう消えました。
あと、私はヨハンです。」
そうか、ガイツはもういなかった・・・。
「そうだった・・。ヨハンね。」
ヨハンが差し出した手を握って私は立ち上がった。
立ち眩みでよろけた私を、ヨハンが後ろから支える。
「大丈夫ですか?一度どこかで休憩しましょうか?」
ヨハンが私に優しい声を掛ける。
私はその優しさに甘えることにした。
ヨハンの方につかまりながら壁際へと歩いて行き、
壁に背をつけて腰を落ち着けた。
「アルケスと共に王、ダナゴンも消滅してしまいました。
これからこの国はどうなっていくのでしょうか。」
ヨハンは空になった玉座を見つめた。
「そうね。王のいなくなった後のことは全く考えていなかった。
アルケスを倒すことだけに必死だったから。」
「一つ相談なのですが、聖女様がこの国を治めていただけないでしょうか?
私はそうするのが一番だと思っていました。」
ヨハンは振り返ってこちらをみつめる。
私が国を治める?考えたこともなかった。
しかし、当然ながら私はそれを受け入れるわけにはいかなかった。
まだ、私にはやるべきことが残っているのだ。
「ごめんなさい。まだやるべきことが残っているの・・。」
私の言葉にヨハンは残念そうにうなだれる。
「あなたなら・・・。」
私はいいことを考え付いた。
「ヨハンなら立派に国を治められると思う。
これまで抵抗組織を率いてきたんでしょ?」
ヨハンが力なく笑う。
「私ですか?私が王だなんて・・・。
兄は立派な騎士でしたが、
私は落ちこぼれですよ?」
「あなたがこれまでどうだったかは知らないけど、
あなたは今回の戦いでは立派な騎士だった。
私はそう思う。」
私はヨハンを励ました。
彼は、はにかんだ後「ありがとう」と礼を述べた。
「アリウス様や、兄がいたら、
きっとうまくやれたんでしょうがね。」
アリウス・・・確かに王になるほどのカリスマ性はありそうだ。
ガイツはどうだろう?彼は王というより騎士のほうが向いていそうだ。
ガイツが王になったら、国中しっちゃかめっちゃかになりそうだ。
私はガイツが王になったところを想像して、思わず笑ってしまった。
ヨハンが隣で不思議そうに私を見つめる。
「ガイツが王になったところを想像していたの。
なんか、全部大雑把な指示しかしなくて、
みんな大変そうだなって。」
それを聞いたヨハンも想像できたのか、笑い出した。
「確かに。兄は細かい指示なんて出来なさそうですね。
兄の言葉を通訳する優秀な秘書が欲しいですね。」
そういいながら笑う、ヨハンの優しい顔を見て、
きっとヨハンならいい国を作れるだろうと思った。
「楽しそうな会話だな。
俺も混ぜてくれよ。」
謎の声と共に急に玉座の間の扉が
半ば破壊されるようにして開いた。
ヨハンは慌てて立ち上がり身構える。
私は疲れで、未だ立ち上がれないでいた。
こんなときに・・・いったい誰?
破壊された扉を押し開けて現れたのは、ルース、
いや、ルザーフだった。
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