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7つの断章編
第2話
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アインの村では、人々が平和な日常を過ごしていた。
ヨハンは怪異が起こるのは悪魔のせいかもしれないと言っていたが、
この村で起こっている怪異は、頻繁に地震が起こるといった程度のものだ。
しかも、その地震は、村の近くにある森に近付きさえしなければ
起こることはないという
もしそれが本当であるならば、
森にいる何者かが、森に人を近づかせないように地震を起こしているのだろうか?
実際、その地震のために人が亡くなったということもないので、
もし悪魔の仕業だったとしても、前の悪魔たちよりは害は少ない気もする。
ただ、村で聞いた話によると、ここ最近は誰も森に近寄らずとも、
頻繁に、そして以前より強い地震が起こるようになったらしい。
丁度、その話を村人と話をしている間にも、強い地震が3回ほどあった。
このまま放っておいて、大変な事態になってしまってはいけない。
念のため、村にいた数人の兵を伴って森へと調査に赴いた。
アインの村の南西にあるこの森は、
特に名もなき森で、
アインの人々が森に自生している食材を求めて。
稀に立ち入ることがあったという。
それも、地震が頻繁に起こり始めるようになってからは
完全に控えるようになったらしい。
この森に近づくことで地震が起こり始めたのは、
数週間前からだという。
なぜ、その時期からなのか、心当たりのある人はいないようだった。
こうして森を進んでいる間も、地震が頻繁に起こる。
震源に近いからか、村で感じたものよりも数段に強い。
森へと入ってから気付いたことだが、よくよく耳を澄ましてみると、
地震の直前には何か野太い雄たけびのようなものが聞こえる気がする。
悪魔かどうかはまだわからないが、
やはり、自然現象ではなく、何かが地震を引き起こしているのかもしれない。
やがて、ドンっという爆音と共に、
地震とは言い表しがたい振動があった後、
雄たけびも地震もピタッと収まってしまった。
雄たけびが聞こえた方角を目指して森の奥へと更に進んでいくと、
木の陰に隠れて、向こうの方を覗き込む女性の後ろ姿が見えた。
そういえば、村の人たちが妙なことを言っていた。
私が村を訪れる直前くらいに、一人の女性が村を訪れ、
私と同じように森と地震のことについて聞いて周っていたという。
アインの村を新しく訪れる人はあまり居ないうえ、
女性一人旅ということもあり、村人達も違和感を感じていたようだ。
私以外に女性一人旅なんてしている人がいるのだろうか?
(結構いるのかもしれないが・・・。)
あの人影が、村で聞いた一人旅の女性だろうか?
私達が、ゆっくりとその女性に近づいていくと、
彼女もこちらに気付いて振り向いた。
「あんた、なんでこんなところに?」
彼女は少し声を抑えて、ギリギリ私に聞こえるように言った。
どうやら女性の方は私に見覚えがあるようだ。
暗めの森を、警戒しながら少しづつ女性に向かって近づいていく。
暗い中でも、顔が認識できるほどに近づくと、ようやくその女性の正体が分かった。
バルゼビアだ!
「まさか、この地震はあなたが?」
私が驚いて少し大きめの声を出すと、
バルゼビアが私の口に手を当てて声を抑えた。
「ちょっと黙りな。
あたしが声抑えてたの分かるだろ?
バカなのかい?」
バルゼビアの慌て様から、
別の何かがいることに、私もようやく気付いた。
「地震はこの奥にいる悪魔のせいだろう。
あたしもついさっき着いたばかりだけど、
悪魔がいるのを見つけた。」
私はバルゼビアと共に木の陰に隠れて覗き込んだ。
トカゲのような頭部と、それに似合った皮膚を持つ、人型の悪魔のようだった。
大きさは私よりも少し大きいくらいで、
成人の男性と同じくらいといったところだろうか。
私が想像した、巨体で丸太ほどの腕を持つ何か
とは程遠いイメージに面食らってしまった。
「あんな小さな体であの地震を?」
私はバルゼビアに問いかけた。
「あたしに聞かれても知らないよ。
あんな悪魔見たことない。
あいつが新しく生み出した悪魔だろう。」
あいつ?と聞きかけて気付いた。
あいつとは恐らくルザーフのことだろう。
バルゼビアが「あいつ」と呼び、
悪魔を生み出すほどの力を持っていそうな悪魔といえば、
ルザーフしか思い浮かばない。
「ところで、あなたは一体何しにこんなところへ?」
私がバルゼビアに再び問いかけると、少しの間があってから、
「あいつを倒すのに協力してくれたら教えてやってもいいよ。」
と言った。
バルゼビアからそんな提案をされるとは思わなかった。
彼女よりもあのトカゲ人間のほうが強いのだろうか?
バルゼビアもルザーフと同じ十邪星なのに?
不思議に思いながらも、悪魔を倒すのは私の望むことでもあったので、
一時の共闘宣言を取り交わした。
まさかこんな日が来るとは・・・。
流れで共闘することになってしまったが、
いきなり騙されたりしていないだろうか?
私は少し不安になった。
ヨハンは怪異が起こるのは悪魔のせいかもしれないと言っていたが、
この村で起こっている怪異は、頻繁に地震が起こるといった程度のものだ。
しかも、その地震は、村の近くにある森に近付きさえしなければ
起こることはないという
もしそれが本当であるならば、
森にいる何者かが、森に人を近づかせないように地震を起こしているのだろうか?
実際、その地震のために人が亡くなったということもないので、
もし悪魔の仕業だったとしても、前の悪魔たちよりは害は少ない気もする。
ただ、村で聞いた話によると、ここ最近は誰も森に近寄らずとも、
頻繁に、そして以前より強い地震が起こるようになったらしい。
丁度、その話を村人と話をしている間にも、強い地震が3回ほどあった。
このまま放っておいて、大変な事態になってしまってはいけない。
念のため、村にいた数人の兵を伴って森へと調査に赴いた。
アインの村の南西にあるこの森は、
特に名もなき森で、
アインの人々が森に自生している食材を求めて。
稀に立ち入ることがあったという。
それも、地震が頻繁に起こり始めるようになってからは
完全に控えるようになったらしい。
この森に近づくことで地震が起こり始めたのは、
数週間前からだという。
なぜ、その時期からなのか、心当たりのある人はいないようだった。
こうして森を進んでいる間も、地震が頻繁に起こる。
震源に近いからか、村で感じたものよりも数段に強い。
森へと入ってから気付いたことだが、よくよく耳を澄ましてみると、
地震の直前には何か野太い雄たけびのようなものが聞こえる気がする。
悪魔かどうかはまだわからないが、
やはり、自然現象ではなく、何かが地震を引き起こしているのかもしれない。
やがて、ドンっという爆音と共に、
地震とは言い表しがたい振動があった後、
雄たけびも地震もピタッと収まってしまった。
雄たけびが聞こえた方角を目指して森の奥へと更に進んでいくと、
木の陰に隠れて、向こうの方を覗き込む女性の後ろ姿が見えた。
そういえば、村の人たちが妙なことを言っていた。
私が村を訪れる直前くらいに、一人の女性が村を訪れ、
私と同じように森と地震のことについて聞いて周っていたという。
アインの村を新しく訪れる人はあまり居ないうえ、
女性一人旅ということもあり、村人達も違和感を感じていたようだ。
私以外に女性一人旅なんてしている人がいるのだろうか?
(結構いるのかもしれないが・・・。)
あの人影が、村で聞いた一人旅の女性だろうか?
私達が、ゆっくりとその女性に近づいていくと、
彼女もこちらに気付いて振り向いた。
「あんた、なんでこんなところに?」
彼女は少し声を抑えて、ギリギリ私に聞こえるように言った。
どうやら女性の方は私に見覚えがあるようだ。
暗めの森を、警戒しながら少しづつ女性に向かって近づいていく。
暗い中でも、顔が認識できるほどに近づくと、ようやくその女性の正体が分かった。
バルゼビアだ!
「まさか、この地震はあなたが?」
私が驚いて少し大きめの声を出すと、
バルゼビアが私の口に手を当てて声を抑えた。
「ちょっと黙りな。
あたしが声抑えてたの分かるだろ?
バカなのかい?」
バルゼビアの慌て様から、
別の何かがいることに、私もようやく気付いた。
「地震はこの奥にいる悪魔のせいだろう。
あたしもついさっき着いたばかりだけど、
悪魔がいるのを見つけた。」
私はバルゼビアと共に木の陰に隠れて覗き込んだ。
トカゲのような頭部と、それに似合った皮膚を持つ、人型の悪魔のようだった。
大きさは私よりも少し大きいくらいで、
成人の男性と同じくらいといったところだろうか。
私が想像した、巨体で丸太ほどの腕を持つ何か
とは程遠いイメージに面食らってしまった。
「あんな小さな体であの地震を?」
私はバルゼビアに問いかけた。
「あたしに聞かれても知らないよ。
あんな悪魔見たことない。
あいつが新しく生み出した悪魔だろう。」
あいつ?と聞きかけて気付いた。
あいつとは恐らくルザーフのことだろう。
バルゼビアが「あいつ」と呼び、
悪魔を生み出すほどの力を持っていそうな悪魔といえば、
ルザーフしか思い浮かばない。
「ところで、あなたは一体何しにこんなところへ?」
私がバルゼビアに再び問いかけると、少しの間があってから、
「あいつを倒すのに協力してくれたら教えてやってもいいよ。」
と言った。
バルゼビアからそんな提案をされるとは思わなかった。
彼女よりもあのトカゲ人間のほうが強いのだろうか?
バルゼビアもルザーフと同じ十邪星なのに?
不思議に思いながらも、悪魔を倒すのは私の望むことでもあったので、
一時の共闘宣言を取り交わした。
まさかこんな日が来るとは・・・。
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いきなり騙されたりしていないだろうか?
私は少し不安になった。
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