隻腕の聖女

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7つの断章編

第4話

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私の祈りが通じたのか、
防御壁が猛スピードで木を駆け上るトカゲ人間の眼前に現れた。

トカゲ人間は止まることができないのか、
防御壁を認識していないのかはわからないが、
まっすぐそれに突っ込んでいく。

お願い、ぶつかって・・。

またしても私の祈りが通じたのか、
トカゲ人間は防御壁に鼻先からぶつかって動きを止めた。

よろけたトカゲ人間は、手足が木から離れて、
5メートルほどの高さから、垂直に落下してきた。

落ちた場所で、ゆっくりと上体を起こしたトカゲ人間は、
頭をフラフラ揺らしながら動けない様子で、しばらく呆けていた。

そこへバルゼビアの使い魔がすかさず駆け寄っていく。

トカゲ人間が、その姿に気付くころには、
バルゼビアの使い魔の拳が彼の目の前まで迫っていた。

バルゼビアの使い魔の拳が、敵の顔面にクリーンヒットして、吹き飛んでいく。
やがて、木に叩きつけられると、前のめりに倒れた。

終わった?

しかし、私の予想に反して、トカゲ人間はゆっくりと起き上がり、
数回舌をチロチロと出した。
「今のは一体なんだ?
 何か見えない壁にぶつかったぞ。」
トカゲ人間は防御壁にぶつかった鼻先を撫でながら、
独り言をポツリとつぶやいた。

バルゼビアの使い魔に殴られたところは平気だったのだろうか。
トカゲ人間は、何事もなかったかのように、
またすぐに木に登り出した。

さっきの口ぶりからすれば、敵は私の防御壁に気付いていないようだ。
ならば、もう一度ぶつけることも可能だろう。

私は右手をトカゲ人間の前方へと向けて祈った。

すると、それを察してか、はたまた単なる偶然なのか、
防御壁の直前で、木から離れてこちらに飛び掛かってきた。

兵士の一人がトカゲ人間にのしかかられて、
身動きが取れなくなり、
あっという間にトカゲ人間の長い舌が、兵士の首へと巻き付いた。

兵士はもがいて逃れようとするが、
舌は、首に食い込むほどにしっかりと巻き付いたままびくともしない。

慌てて仲間の兵士たちが舌を切ろうと剣を振り回すが、
そのたびに舌をブンブンと振り回して避ける。

そして、トカゲ人間は、舌を兵士に巻き付けたまま、再び木へと登り始めた。
兵士は首に舌が巻き付いたまま宙吊りになってしまい、更に苦しみだした。

数メートルほど登ると、
今度は、こちらに向かって舌を巻きつけた兵士を解きつつ、投げつけてきた。

幸い、下敷きになった者はいなかったが、
高いところから投げられた兵士は、苦しかったのと、痛みとでか、
その場から動けなくなり、うめき声をあげていた。

私は解き放たれた彼に近づき、強く打ち付けたであろう、
腰のあたりに右手をかざした。

私達は、トカゲ人間のトリッキーな動きに翻弄されていた。

このまま長期戦になり、
消耗し続けたとしたら、
負けるのは私達かもしれない。

次の一手を考えないと・・・。

短期的に相手を追い込む一手を・・・。
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