隻腕の聖女

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新しい世界

第3話

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「それじゃ、またな。」
ベアトリスが早々とデュスラハに別れを告げると、デュスラハは、「少し待て。」と言い残して作業場へと戻っていった。

私達が、呆気にとられていると、すぐまた現れた。
その彼の手には、見慣れぬ機械仕掛けの細長い棒のような物が握られていた。

「これを持っていけ。
  久しぶりにをして、疲れたわ。」

「これは、一体何ですか?」
私は、謎の棒のような物を受け取りながら、失礼にならないかとヒヤヒヤしながら尋ねた。

「左腕だ。あんたの。
  この前訪れた時から、
  不便ではないかと心配していたのでな。」
なんて不器用なのだろうと思いながらも、
溢れる優しさに涙が出そうになった。

「ありがとうございます。
  大事に使わせていただきます。」
私は、彼に手解きを受けながら義手を装着した。

「魔力が込められた特殊な義手だ。
  きっと役に立つ。」
デュスラハは、そういうと大きなあくびをした。
「しばらく寝る。またいつでも来い。」
そして、彼はベッドに倒れこむと、私達に構うことなくいびきをかいて寝始めた。

「行こう。もう用はないだろ?」
ベアトリスはいつの間にか馬に跨がり、私達を急かした。

「ありがとうございました。
   おやすみなさい。また来ます。」
私は、もはや聞いてはいないだろうと思いながらも、礼を述べ、深々とお辞儀をすると、その場を後にした。

その日は、辺りも暗くなってきたので、フルトの街で宿を探すことにした。

私は、再び訪れることになったフルトの街で、やり残していたことをすることに決めた。

レイリアにロスタートとのことを話すのだ。

夜も深くなってしまったが、私は、レイリアを連れて、ガイツの像の前にやって来た。

像の前には、警備兵が立っていた。
以前、像破壊事件があったから、
警備することにしたのだろう。

「これは、聖女様このような時間にどうされました?」警備兵はすぐに私に気付いて声をかけてきた。

「少し、外してくれる?
  この子と少し話したいことがあるの。」
私がそういうと、警備兵はその場を離れて私とレイリアだけにしてくれた。

辺りが寝静まるなか、私は重い口を開いて、
レイリアに語りかけた。
「少し前、あなたの母親のロスタートは、この街の人々を苦しめていたの。」
私は、レイリアの気持ちも考え、言葉を選びながら話す。

「でも、それは元々私達が悪いことをしたせいなのだと、その時聞いたのだけど、結局、私とロスタートとは理解し会えなかった。」
レイリアは、まっすぐ私の目を見つめる。
その目からは、彼女が何を思っているのか推し量ることが出来なかった。

「そして、私達はここで戦い、私の仲間だった彼、ガイツと、ロスタートは、命を落とした。」
私は、オルテガの隣に建つ、ガイツの像に右手で触れて、レイリアに示した。

「今まで黙っていて、ごめんなさい。」
私はそう言って頭を下げた。

「知ってました。あなたが母を手にかけたことも、母が人を憎み、魔力を作り出すために人を殺めていたことも。」
私は、頭を下げたままレイリアの言葉を受け止めた。

「あなたは、幾度も私を守ってくれた。
  守るために戦ってくれた。
  何かを守るためには、
  戦うしかないこともあるよね。
  あなたと旅をしていて、分かったと思う。
  あなたの優しさ、戦う理由。」
レイリアの声からは、憎しみや怒りは感じられなかった。

「頭を上げてください。
  あなたが母を手にかけたとしても、
  命を差し出せ、とは言えません。
  私は、あなたのことを、
  だと思ってますから。」
私が頭をあげると、レイリアは優しく笑いかけてくれていた。

「ありがとう。」 
私はレイリアを優しく抱きしめ、感謝を伝えた。
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