隻腕の聖女

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新しい世界

第21話

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私達の動きは鈍化していくのに、
ルザーフの動きは逆に俊敏になっていく。

彼には未だダメージを与えることはできていなかったが、
私達は、徐々に傷ついていった。

このままではルザーフに勝てない。
何か手はないだろうか?

その時、部屋の隅で磔にされているアリウスが目に入った。

どれほど磔にされていたのだろう、
弱々しくなった彼では、私達の戦力にはならないかもしれない。

それでも、私の中の誰かが、彼を今すぐ解放すべきだと言っている気がした。
ウェナ様だったのか、私だったのか、それともただの勘違いなのか、
分からないが、私はその声を信じることにした。

ルザーフになるべく悟られないように、追いつめられるふりをしながら後退し、
アリウスが磔にされている十字へと近づいていく。

そして、それが近づくと、一気に後ろへ飛び退き、
彼の左手に刺さっている剣を引き抜いた。

ルザーフは、しくじったという顔をしながらも、片方は私、
もう片方はアリウスを狙って切りかかる。

私に向かってきたルザーフの攻撃を受け止めるので精一杯で、
アリウスに向かった攻撃を止めることができなかった。
しかし、私のすぐ隣で、魔力と魔力がぶつかり合った時の、あの重低音が鳴る。

私は、ベアトリスが助けてくれたのかと思っていたが、そうではなかった。

アリウスが自分で右手に刺さっていた剣を引き抜いて、
ルザーフの攻撃を受け止めていたのだ。

あんなに弱々しかったアリウスが、ルザーフの攻撃を押し返さんばかりだ。
相対するルザーフは顔を歪めていた。

「もう1本の剣を渡してくれないか?」
アリウスが少し元気を取り戻した声ではっきりと言った。
ボロボロな見た目とは裏腹に、意志を宿した強い瞳が私を見つめる。
私は、右手に持った剣を、アリウスに渡した。

アリウスは、一気にルザーフを押し返すと、飛び掛かって両手に持った剣で切りかかる。
すると、アリウスと相対していたルザーフは消滅した。

剣が当たって消えたというよりも、その直前に姿を消した気がする。
よくみれば、私と相対していたルザーフの姿も消えていた。

「くそっ、どこまでも邪魔しやがって。」
ルザーフは、先ほどまでとは打って変わって、あからさまにイラついているようだ。
アリウスが戦力になるなんて、思ってもいなかったのだろう。
ルザーフから余裕が消えたようだ。

ベアトリスと相対していたルザーフも消えて、
いつの間にか1人になっており、どうやら分身そのものを止めたようだ。

ウルガリウスの力を使うのもやめたのか、体は軽くなり、自由さを取り戻していた。

「そろそろ、遊びはやめだ。本気でいくぜ。」
ルザーフが放出した魔力は、私達、いや、とてつもなく広い玉座の間全てを呑み込み、
私は不安な気持ちに包まれた。

私達の持っている力とは、桁が違う・・・。そう思い知らされた。
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