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オリジンデイ
the origin day
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隻腕の魔女・・・彼女はそう呼ばれていた。
生まれながらにして左腕が無く、親に捨てられ、孤児院で過ごしていた彼女は、
誰もいないところで、誰にも聞こえない声を聞き、
その声が予言したとされる不吉なことは、必ず当たった。
だが、それらの不吉なことは、彼女が引き起こしていると一部で噂になり、
その噂に尾ひれがついて、彼女は「隻腕の魔女」と呼ばれることになったのだ。
孤児院を出てから数年は、俺の上司である騎士兵長アリウスのところで逃げ込むように暮らしていたが、
遂にあの事件が起こって、彼女は命をも狙われることになる。
あの事件とは、王、ダナゴン3世の崩御である。
当然、このことは彼女も予言していたらしい。
そして、その予言とは、
「王は悪魔に憑りつかれている。やがて王は悪魔によって憑り殺されるであろう」
というものだ。
正確無比という感じではないが、彼女の予言は的中していると騒がれてしまい、
そのせいで彼女は王の暗殺を企てた魔女として命を狙われることになったのだ。
実際は、どのように王が崩御されたのかは公開されていなかったため、
病気なのか、暗殺なのか、はたまた自殺なのか、側近くらいしか知らなかったが、
人が人を追いつめるのに証拠など必要ないのだ。
集まった数人が悪意を持って結託すれば、どんなに綺麗なものでも黒だと決められてしまう。
その意見は、自分が望んだわけでもない別名によって歪められ、更に悪い方へと転がっていく。
正に負の連鎖だ。
そんな彼女を守るため、騎士兵長と俺は街を抜け出してきた。
誰も彼女を知らない他の街ならば、彼女にも救いはあるのではないかと考えたからだ。
その考えは、どうやら当たりで、
遠く離れた漁村アインでは、彼女のことを知る人など居なくて、
平和に暮らすことが出来ていた。
しかし、俺たちは人の残酷さを甘く見ていた。
街に置いて来た騎士兵長の家族が襲撃され、
まだ幼かった騎士兵長の娘が殺されてしまったという。
魔女を匿った悪魔の家族だと、根も葉もない噂を立てられて・・。
奥さんは、駆け付けた兵長配下の騎士たちによって守られたが、
外にいた娘は助けられなかったらしい。
悲しみにくれた兵長は、一度街に帰ることにして、
俺と彼女だけが漁村に残った。
しかし、更に悲劇は続いた。
遂に、俺たちがアインにいることがバレてしまい、
街の人々やアリウス兵長配下でない騎士たちがやってきて、
村を焼き討ちにしたのだ。
罪のない人々の命を奪う暴徒たちから逃げ出し、俺たちは各地を転々と旅した。
俺は、ただ逃げ回ることしかできない自分の無力さに日々苛まれていた。
それでも、彼女は俺を必要としてくれた。
だんだん、俺は彼女を守るためならば、
この命を賭してもかまわないとさえ思うようになっていった。
多分、薄っぺらい言葉で表すのならば、愛していたのだろう。
そして、無情にもあの日が訪れる。
フルトの街で、いつものように潜伏生活をしていると、
場所を嗅ぎつけた騎士たちが俺たちを取り囲んだ。
彼女に向けて放たれた矢を、俺は全部受け止めた。
役に立たない俺だったけど、最期の最期で彼女の盾になることが出来た。
残念ながら、その矢は只の矢ではなく、毒矢で、その毒は俺の体を急速に蝕んでいく。
辛うじてその場から彼女を逃すことが出来たが、俺は消え行く意識の中で見てしまった。
応援に駆け付けた騎士の槍が、逃げる彼女の心臓を突き刺すところを・・・。
「ガイツ・・・。」
最期の瞬間、彼女は俺の方を見ていた。
声は聞こえなかったが、彼女が俺の名を呼んでいるように口が動いた気がした。
「イヴ・・・。」
俺は、もう真っ暗になった視界のなかで、彼女の名を呼んだ・・・。
生まれながらにして左腕が無く、親に捨てられ、孤児院で過ごしていた彼女は、
誰もいないところで、誰にも聞こえない声を聞き、
その声が予言したとされる不吉なことは、必ず当たった。
だが、それらの不吉なことは、彼女が引き起こしていると一部で噂になり、
その噂に尾ひれがついて、彼女は「隻腕の魔女」と呼ばれることになったのだ。
孤児院を出てから数年は、俺の上司である騎士兵長アリウスのところで逃げ込むように暮らしていたが、
遂にあの事件が起こって、彼女は命をも狙われることになる。
あの事件とは、王、ダナゴン3世の崩御である。
当然、このことは彼女も予言していたらしい。
そして、その予言とは、
「王は悪魔に憑りつかれている。やがて王は悪魔によって憑り殺されるであろう」
というものだ。
正確無比という感じではないが、彼女の予言は的中していると騒がれてしまい、
そのせいで彼女は王の暗殺を企てた魔女として命を狙われることになったのだ。
実際は、どのように王が崩御されたのかは公開されていなかったため、
病気なのか、暗殺なのか、はたまた自殺なのか、側近くらいしか知らなかったが、
人が人を追いつめるのに証拠など必要ないのだ。
集まった数人が悪意を持って結託すれば、どんなに綺麗なものでも黒だと決められてしまう。
その意見は、自分が望んだわけでもない別名によって歪められ、更に悪い方へと転がっていく。
正に負の連鎖だ。
そんな彼女を守るため、騎士兵長と俺は街を抜け出してきた。
誰も彼女を知らない他の街ならば、彼女にも救いはあるのではないかと考えたからだ。
その考えは、どうやら当たりで、
遠く離れた漁村アインでは、彼女のことを知る人など居なくて、
平和に暮らすことが出来ていた。
しかし、俺たちは人の残酷さを甘く見ていた。
街に置いて来た騎士兵長の家族が襲撃され、
まだ幼かった騎士兵長の娘が殺されてしまったという。
魔女を匿った悪魔の家族だと、根も葉もない噂を立てられて・・。
奥さんは、駆け付けた兵長配下の騎士たちによって守られたが、
外にいた娘は助けられなかったらしい。
悲しみにくれた兵長は、一度街に帰ることにして、
俺と彼女だけが漁村に残った。
しかし、更に悲劇は続いた。
遂に、俺たちがアインにいることがバレてしまい、
街の人々やアリウス兵長配下でない騎士たちがやってきて、
村を焼き討ちにしたのだ。
罪のない人々の命を奪う暴徒たちから逃げ出し、俺たちは各地を転々と旅した。
俺は、ただ逃げ回ることしかできない自分の無力さに日々苛まれていた。
それでも、彼女は俺を必要としてくれた。
だんだん、俺は彼女を守るためならば、
この命を賭してもかまわないとさえ思うようになっていった。
多分、薄っぺらい言葉で表すのならば、愛していたのだろう。
そして、無情にもあの日が訪れる。
フルトの街で、いつものように潜伏生活をしていると、
場所を嗅ぎつけた騎士たちが俺たちを取り囲んだ。
彼女に向けて放たれた矢を、俺は全部受け止めた。
役に立たない俺だったけど、最期の最期で彼女の盾になることが出来た。
残念ながら、その矢は只の矢ではなく、毒矢で、その毒は俺の体を急速に蝕んでいく。
辛うじてその場から彼女を逃すことが出来たが、俺は消え行く意識の中で見てしまった。
応援に駆け付けた騎士の槍が、逃げる彼女の心臓を突き刺すところを・・・。
「ガイツ・・・。」
最期の瞬間、彼女は俺の方を見ていた。
声は聞こえなかったが、彼女が俺の名を呼んでいるように口が動いた気がした。
「イヴ・・・。」
俺は、もう真っ暗になった視界のなかで、彼女の名を呼んだ・・・。
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