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35.弱すぎる涙腺
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「!」
ポケットからの振動にびくりと肩が跳ねて、急いでスマホを取り出す。
自分の動画に新しいコメントがあったことを示している通知を見て、周りをキョロキョロと見回し、壁際に移動して誰にも見えないよう入念に確認をしてから通知を開いた。
――――――――――――――
コメント 18670
あめ・1分前
永遠にリピートしてる
俺・30分前
歌詞良すぎ
tktt・39分前
葛藤が伝わってくるなあ
俺たちはラギの味方だから
kimiko・48分前
泣いてしまった…
――――――――――――――
新しいコメントを見た瞬間体がカッと熱くなって、鼻がつんとした。
この数週間、ずっとこの調子だった。
コメントを見ては目頭が熱くなってしまう。
以前湊くんに相談したオリジナル曲は、思った以上の反響があった。
再生数も、コメント数も今までにない数値を叩き出して、投稿から数週間が経った今でもコメントは絶えない。
しかも、あんなに暗い曲なのに批判コメントもほとんどなかった。
自分を分かってもらえたことが本当に嬉しくて、こうしてコメントを見るたびに泣きそうになってしまう。
「アタシ好きだよ、その曲」
そう言って画面を覗き込んでくるのは絵の具を持った唯だった。
「…っ」
堪えきれなかった涙を隠すように、体育座りをしている自分の膝に顔をうずめる。
「でも、悩み事を相談してくれなかったのは悲しいよね」
「だって、こんなつまんないこと相談しても…っ」
「前にも言ったけど、アタシは夏菜が人知れず傷ついてるのが嫌なの。アンタだってアタシを信用してくれてるから自分の正体を明かしてくれたわけでしょ。なら、もっと信用してる相手に背中預けなよ」
うん、という言葉は嗚咽で上手く伝えられなくて、何度も頷いた。
唯は何も言わずに私が落ち着くまで背中を撫でていてくれていた。
俯いて涙が落ち着くのを待っていると、ふいに湊くんの顔が頭に浮かんできた。
そういえば、オリジナル曲の反響を湊くんに伝えたら、「だから言っただろ」と誇らしそうにしていたことを思い出した。
本当は「俺のおかげなんだからデート付き合えよ」と言われてもおかしくないかなと思って身構えていたんだけど、意外とあっさりした対応だった。
…デ、デートに誘われるのを期待してたわけじゃないけど!
でも、カラオケに行ったきり湊くんからお誘いはない。
文化祭の準備もあって忙しいのかなと自分に言い聞かせているけど、本当は…少しだけ寂しい。
また一緒にタピオカ飲みに行けたらいいなあ、なんて考えていると教室中に大音量で音楽が鳴り響いた。
「ご、ごめん!」
そう言って急いで機材を触っている青山くん。
私は音楽が鳴り響いたことよりも、その曲に意識が行ってしまった。
「これくらいならいいかな…」
そんなことを呟きながら青山くんは音量を調整しているけど、音楽は依然として教室中に鳴り響いている。
恥ずかしさでどんどんと顔が赤くなっていく。
「うん、これなら全然原キーでいけるわ」
「男がカバーしてる動画ないかな」
「いや、曲のアクセントとか本人のやつ真似したいからさ」
黄崎くんが赤井くんと動画の内容についてああでもないこうでもないと語っている。
ちらりと壇上に視線をやると、4人でスマホを覗き込んでいる様子だった。
ふいに湊くんと目が合って、にやりと笑ってくる。
「柊さん、顔赤いけど大丈夫?熱中症かなあ」
「えっ!?あ、いや、大丈夫です!ごごご心配なく…」
「無理しないでね」
クラスメイトの女の子が気遣ってくれた。
優しい。
だけど、顔を真っ赤にしている理由が「自分のオリジナル曲が教室中に流れているから」とは口が裂けても言えない。
文化祭という晴れ晴れしい舞台で、あんなダークな曲調のものをみんなで選んだとは考えにくい。
…多分、湊くんの選曲だ。
涙目になりながら睨みつけてやると、相変わらずニヤニヤしていた。
湊くんの意地悪…。
ポケットからの振動にびくりと肩が跳ねて、急いでスマホを取り出す。
自分の動画に新しいコメントがあったことを示している通知を見て、周りをキョロキョロと見回し、壁際に移動して誰にも見えないよう入念に確認をしてから通知を開いた。
――――――――――――――
コメント 18670
あめ・1分前
永遠にリピートしてる
俺・30分前
歌詞良すぎ
tktt・39分前
葛藤が伝わってくるなあ
俺たちはラギの味方だから
kimiko・48分前
泣いてしまった…
――――――――――――――
新しいコメントを見た瞬間体がカッと熱くなって、鼻がつんとした。
この数週間、ずっとこの調子だった。
コメントを見ては目頭が熱くなってしまう。
以前湊くんに相談したオリジナル曲は、思った以上の反響があった。
再生数も、コメント数も今までにない数値を叩き出して、投稿から数週間が経った今でもコメントは絶えない。
しかも、あんなに暗い曲なのに批判コメントもほとんどなかった。
自分を分かってもらえたことが本当に嬉しくて、こうしてコメントを見るたびに泣きそうになってしまう。
「アタシ好きだよ、その曲」
そう言って画面を覗き込んでくるのは絵の具を持った唯だった。
「…っ」
堪えきれなかった涙を隠すように、体育座りをしている自分の膝に顔をうずめる。
「でも、悩み事を相談してくれなかったのは悲しいよね」
「だって、こんなつまんないこと相談しても…っ」
「前にも言ったけど、アタシは夏菜が人知れず傷ついてるのが嫌なの。アンタだってアタシを信用してくれてるから自分の正体を明かしてくれたわけでしょ。なら、もっと信用してる相手に背中預けなよ」
うん、という言葉は嗚咽で上手く伝えられなくて、何度も頷いた。
唯は何も言わずに私が落ち着くまで背中を撫でていてくれていた。
俯いて涙が落ち着くのを待っていると、ふいに湊くんの顔が頭に浮かんできた。
そういえば、オリジナル曲の反響を湊くんに伝えたら、「だから言っただろ」と誇らしそうにしていたことを思い出した。
本当は「俺のおかげなんだからデート付き合えよ」と言われてもおかしくないかなと思って身構えていたんだけど、意外とあっさりした対応だった。
…デ、デートに誘われるのを期待してたわけじゃないけど!
でも、カラオケに行ったきり湊くんからお誘いはない。
文化祭の準備もあって忙しいのかなと自分に言い聞かせているけど、本当は…少しだけ寂しい。
また一緒にタピオカ飲みに行けたらいいなあ、なんて考えていると教室中に大音量で音楽が鳴り響いた。
「ご、ごめん!」
そう言って急いで機材を触っている青山くん。
私は音楽が鳴り響いたことよりも、その曲に意識が行ってしまった。
「これくらいならいいかな…」
そんなことを呟きながら青山くんは音量を調整しているけど、音楽は依然として教室中に鳴り響いている。
恥ずかしさでどんどんと顔が赤くなっていく。
「うん、これなら全然原キーでいけるわ」
「男がカバーしてる動画ないかな」
「いや、曲のアクセントとか本人のやつ真似したいからさ」
黄崎くんが赤井くんと動画の内容についてああでもないこうでもないと語っている。
ちらりと壇上に視線をやると、4人でスマホを覗き込んでいる様子だった。
ふいに湊くんと目が合って、にやりと笑ってくる。
「柊さん、顔赤いけど大丈夫?熱中症かなあ」
「えっ!?あ、いや、大丈夫です!ごごご心配なく…」
「無理しないでね」
クラスメイトの女の子が気遣ってくれた。
優しい。
だけど、顔を真っ赤にしている理由が「自分のオリジナル曲が教室中に流れているから」とは口が裂けても言えない。
文化祭という晴れ晴れしい舞台で、あんなダークな曲調のものをみんなで選んだとは考えにくい。
…多分、湊くんの選曲だ。
涙目になりながら睨みつけてやると、相変わらずニヤニヤしていた。
湊くんの意地悪…。
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