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【番外編】訓練学校で私が王子様に出会って友人を手に入れた話
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母と姉と私。そんな一般家庭で私は育った。父は私が物心がつく頃に先立ち、それからは母が町のパン屋さんで、姉は酒場で働き私を守り育ててくれた。何かとこの容姿のせいで昔から因縁を付けられがちな私を物理的にも水面下でも守り続けてくれた二人を守れるほど強くなり、そして何より楽をさせてあげたいと思ったのだ。
元々から運動神経には恵まれており、物覚えも悪くはない方なので王宮竜騎士団訓練学校には大きな障害にぶち当たることなく入学することができた。それも、首席で。平民卒の者は学力にも運動能力にも一定の水準を求められると知って必死に下準備はしたものの、まさか首席とは。またやっかまれる原因にならないと良いなぁといっそ胃が痛いほどだった。
全身に琥珀色の液体が降り注ぎ、しばらくして私は紅茶を頭からぶっかけられたのだと気付いた。
自慢の銀色の髪からは雫が滴り落ち、ジャケットも、移動教室のために持っていた教科書も、可哀想なほどに今も尚じわりじわりと染みが広がっている。
「あら、ごめんなさい。ここは私達のお茶会スペースと決まっておりまして。そこをあまりにも不躾に通り抜けようなんて平民がいらしたものでしたから、つい」
白磁のティーカップを片手に、クスクス笑う女子生徒。胸元の自身の身分を示す刺繍を見る限り、彼女はそこそこに高位の貴族卒のようだった。
とは言えここ、普通に渡り廊下なんですけど。貴女含めたお仲間方がお茶会を催していたのはさらにこの向こうのテラススペースだとお見受けするんですけど。と言うか、私の他にもここ通ってる生徒は沢山いるじゃない。
しかし貴族は貴族。ここで逆らってはどんな根回しをされて竜騎士団入団への道を途絶えさせるかは分からない。それだけは絶対に避けないと。
「大変、申し訳ございませんでした」
頭を下げると、髪に染みる沁みた紅茶がつぅうと頰を流れ地面へ伝い落ちたのが見えた。
「次からは気を付けることね。いっそその紅茶のように染め直しては如何かしら。貴女の髪、目に痛くて仕方が無いわ」
クスクス笑いながらその生徒と取り巻きの女生徒達はまたテラスへと戻って行く。これから授業なのに、お茶なんてしていて良いのだろうか。
学園内、騎士団内は能力主義、だれでも竜騎士になれるという謳い文句の通り授業、試験自体は平等ではあるけれど貧富の差により扱いが全く変わらないと言う訳ではない。金に物を言わせ、人脈に物を言わせ、単位のパスや実技テストの採点を簡略化してしまうことが無いわけではないのだ。あの人達もきっとそのクチだろう。なんとも世知辛い。
この状態で移動するの、いやだなぁ。
一度宿舎の部屋に戻ってもいいけど、授業は一度たりとてサボりたくはない。けどこの紅茶まみれの教科書も果たして読めるのかどうか……
なんとも厄介なことに私の事を目の敵にしている令嬢は、学園内でもかなり身分が高い。この王都でも羽振りを利かせている伯爵家のうちの一つの出だっただろうか。
つまり助けてくれる人は皆無に等しい。誰だって我が身が可愛いのだ。
これがあと6年間も続くのか……やだなぁ、つらいなぁ。入学早々男の子に持て囃されたお陰で女の子にも良い顔されていないし、友達もできないのかなぁ。
紅茶が目にまで入ったのか、何故かぐにゃりと視界が歪む。
唐突に、目の前に綺麗な手巾と教科書、それからジャケットが差し出された。
「え……」
「ほら、これで拭けよ。あんた別のクラスだろ? 俺はクラスの奴に見せてもらうし、今日はこれ使っていいから」
黒髪が綺麗な男の子だった。吊り目の瞳は一見ぶっきらぼうで素っ気ない印象を抱くけど、その視線には下心も敵意も感じられなくて。純粋に、私を気遣っての好意だと受け取れた。
「で、でも……」
「いいから。同じ平民出身だし、まぁ同郷のよしみみたいなもんとして受け取れよ。な」
ちらりと胸元を見やると彼のジャケットには刺繍は無く、私と同様数少ない平民出身の入学者だと分かった。道理で親しみ易い雰囲気な訳だ。
「私に親切にしたら、あなたも目を付けられるかもしれないよ」
「流石に男にまでこんな姑息な真似しねーだろ。それに一応……身分だけは立派な友達もいるし。まぁ大丈夫だろ」
そう言って男の子はカラッと笑うと背後を振り返り、やけに優しい顔をした。
視線を目で追うとオリーブブラウンの髪を一つに括った女の子が、そわそわと柱の影からこちらの様子を伺っていた。胸元には伯爵家卒の意の刺繍が施されている。あの子のことだろうか。
私と視線が交わると、慌てたようにまた柱の影に隠れられてしまった。やっぱり私と関わりを持ったらまずいと思われてるんだろうな。ちょっと悲しい気持ちになる。
「あんたもさ、それだけ頭良くて強いんだからもっと堂々と振舞ってりゃいいんだよ。折角誰にでも身分収益共に名誉ある職に就ける機会が与えられる、ここに入ることができたんだからさ」
「うん……」
「それに、身分どうこう言ってるけどやっぱり国としては基本的に能力の優れた素材は逃したくないもんなんじゃねーの? 運営側にも権力者はいるし、普通に優等生続けてればきっとあちらさん側が守ってくれるだろ。案外自分が気付いていないだけで、あんたを守ろうとしてくれる味方は沢山いると思うぞ」
味方……もしかしなくても、これは彼自身のことを言っているのだろうか。
彼の手から教科書類を受け取りながら、その吊り目の瞳を見つめる。
猫を思わせる彼の鳶色の瞳はありふれた色だけれど誰よりも真っ直ぐで美しく、吸い込まれそうになった。男の子にもこんな綺麗な瞳の子がいるんだ。
授業開始数刻前を知らせる鐘が鳴った。
「じゃ、俺5組だから。それ返すのいつでもいいからな」
そう言って男の子は踵を返して立ち去ろうとする。あ、まってまだ。
気付くと咄嗟に彼の腕を掴んでいた。
「あ、あの名前! 名前、教えて」
「ああ、悪い。ノアだよ。ノア。それ返すまでは覚えててくれな」
「ノア、くん。ありがとう、本当にありがとう」
「おー」
今度こそ走り去ってしまった彼の背をつい目で追い続ける。
「ノア! どどどどうだった?! アシュリーヌちゃん受け取ってくれた?! 可愛かった?!いい匂いした?!」
「ああ、お前の予備のジャケットもばっちり。あと午後のあの授業の時、お前の教科書見せろよな」
「えっ?! なんで私っ!逆隣のリヒトに見せてもらえばいいじゃん!」
「お前があの子に声掛けてほしいオーラ出してたんだろが。あとリヒトは後で確実に何か倍返しでたかられる」
「ああ確かに……でも私の教科書もちょっとノアには見せられないというか、主に色々書き込みすぎてというか描き込みすぎて見せるの恥ずかしいというか」
「お前やけに一生懸命授業受けてると思ったら落書きしてたのかよ……」
なにを話しているのかはここまでは聞こえないが、あの柱の影にいた女の子と合流した後楽しそうに言葉を交わし合っている。
羨ましいな、私もあんな風に気の置けない友達がほしい。
二人の背をぼんやりと見送ると、私は次の授業までに身なりを整えるべくお手洗いに向かった。
その後もノアくんは度々私が嫌がらせを受けている際に鉢合わせてはやんわりと間に入り止めてくれ、内履きの入った靴箱の中が汚泥で満たされていた時には一緒に掃除してくれたりなどした。どこからともなく現れては、何でもない風に私を助けてくれるノアくん。それからノアくんのすぐ傍にいつも控えているフェリシアさん。名前は伺えたけど何故かいつもすぐに距離を取られてしまい、きちんとお話できたことはない。きっとあの令嬢達からの流れ弾を警戒しているのだろう。当然の対応だし、それが賢い。令嬢達の間に割って入った後はノアくんの傍で並尋常じゃない覇気を出して令嬢達を威嚇していたようにも見えたけど、あれはきっと気のせいだろう。
それでも私もあわよくば彼女と友達になれたらなと、こっそり夢見てなどいた。
ノアくんが仲良くやっているのだ。きっと身分に固執することのない、大らかで心優しい方に違いないのだから。
「本当に、いつもごめんなさい」
「いーって、気にすんな。つーか何でお前が謝んの。いつまでもこんなガキくせー陰湿な嫌がらせしてくるあいつらが悪いんだろうが」
今日はゴミ捨て場に机の中身を捨てられたらしい。ゴミの山を漁っているところをノアくん達に見つかってしまった。三人でゴミの山の中にしゃがみこみ、悪臭漂う腐海をひたすら掘り返している。
「けどこんな汚い場所で……フェリシアさんにこんなことさせてる事が本当に申し訳無いやら恐ろしいやら」
「あー、大丈夫大丈夫。あいつは好きでやってんだから」
「あった! 商学の教科書あった!! 見つけたよアシュリーヌさーん!」
「ほらな」
ゴミでそこら中に汚れを付けながら、笑顔でこちらに教科書を振りかざしてくるフェリシアさん。私と視線が合うとぽぽっと頰を朱色に染めてまた慌てたようにゴミ山を掘り返し始めた。彼女を見ているとなんとなく近所のチビっこ達を思い出す。
「俺らより俺はお前の方が心配だけどな。折角の器量好しなのにこんなくせーとこでこんなに汚れて……」
「っ……」
顔が近い……!
すぐ隣で覗き込むように顔を凝視されて、顔に一気に熱が集まるのを感じる。何の下心も邪気も無い鳶色の瞳の中に映る私は、いつも私に声を掛けてくる男の子達のような甘ったるい顔をしていた。
「の、ノアくん、ちょっと近い!」
「ああ、悪い」
心臓の音がうるさい。ノアくんに離れられて、ほっとこっそり溜息を吐く。出会った時からそうだったけれど、ノアくんに見つめられるとどうにもおかしくなってしまう。
「アシュリーヌも騎士になるのは金銭的な都合か?」
ノアくんに唐突に声を掛けられて顔を上げる。ノアくんはゴミを漁り続けていたので、私もゴミ山に視線を戻して引き続き捜索に励む。
「うん。うち、お父さんいなくて。町で働くお母さんとお姉ちゃんに楽させてあげたくて」
「へえ、立派なもんだ」
「ノアくんも? おうちの都合で?」
「ああ。俺もアシュリーヌと一緒。兄弟多い上に一番上でな、少しでも家に金入れられたらと思って志望した。運動神経だけは昔から無駄に良かったからな」
一緒、という言葉に胸が大きく脈打つのを感じる。慌てて目の前のゴミ山に集中して邪念を払おうとかぶりを振った。
「ノアくんがお兄ちゃんなのわかる。フェリシアさんへの接し方もまるでお兄ちゃんみたいだもん」
「ははっ、あいつはどちらかと言うと弟だな」
ふと視線を感じて隣を見やると、ノアくんがこちらを見ていた。再び心臓が高鳴る。
「絶対竜騎士になるぞ、アシュリーヌ。あの意地クソの悪い貴族女どもに平民の底力見せ付けてやるんだ」
そう言ってにっと悪戯っぽく笑われて、脈拍がまた加速するのを感じた。こんなにも臭くて汚い場所なのに、ふわふわと気持ちが舞い上がって心地よい感覚になる。
口を開いたらおかしなことを口走ってしまいそうで、私は曖昧に笑い返す事しかできなかった。
「ノア~~やったよ私はやり遂げたよ」
全身目も当てられないほどにゴミまみれになったフェリシアさんが、大量の教科書類やら筆記用具やらを抱えてこちらへ駆けてきた。パッと見た限り、机に入っていたもの殆ど全て揃っているのではなかろうか。
慌てて立ち上がりフェリシアさんへ私も駆け寄る。
「す、すごい……フェリシアさん。こんなになってまで……本当にありがとう……」
「いや~アシュリーヌさんセンサーは任せてほしいというか、あなたのためならエンヤコラって感じです」
なんだかよく分からないことを言いながらエヘエヘ笑っているゴミまみれのフェリシアさんを見ていたら、何故か不意に鼻の奥がツンと痛んだ。私のためにこんなになってまで助けてくれるなんて、この人達は本当に、何でこんなにも優しいのだろう。
フェリシアさんと目が合う。途端にまた頰が紅潮し、顔を背けられ掛けた。
慌てて彼女の汚れた手を掴み、近寄る。
「フェリシアさん、私、フェリシアさんとお友達になりたい」
「へぇっ?!」
「私と仲良くしたらあの方達に目を付けられてしまうかもしれないし、貴女もそれを避けて私と距離を取っているのだろうけど、それでも私は貴女とお友達になりたいの」
「へっ、えっ、いや、あれは避けてたとかじゃなくて神聖な物に長時間近付くと浄化されそうっていう本能による回避だったんだけど、というかええっオトモダチ?!」
「うん。だめ、かな?」
小首を傾げて尋ねると、フェリシアさんはまた頰をぽぽんっと紅に染めて、顔面を己の手で抑えながら「だめ、じゃ、ないれふ……」と呟いた。なんだか様子がおかしいけれど、嫌がられてはいないようだからよかった。
チラ、とノアくんを振り返るとびっくりするほど甘く優しい微笑みを浮かべていて、落ち着きを取り戻し掛けていた心臓がまた跳ねた。けれどその吊り目の瞳は私の方へ向いていない。私の視線に気付くと先程までの蕩けるような表情はなりを潜め、心底楽しそうに彼は笑った。
「そいつ、ちょっと変わってるから貴族に女友達全然いねーんだよ。よかったなフェリシア」
「ううううるさい! 少しはこの喜びの余韻に浸らせる気遣いをしてくれ!」
「ああ、はいはい。つーか、お前その顔さっさとなんとかしろよ」
そう言ってポケットから手巾を取り出すと、ノアくんはフェリシアさんに近付き、ぐいぐい顔の汚れを拭き始めた。
普通だったら不敬に値するであろうその行為もフェリシアさんにとっては日常茶飯事のようで、特に抵抗する素振りも見せない。
「むぐ、んっ、ふぐっ、いたた、もちょっとやさしくしてノア」
「いや予想してたよりしっかりこびり付いててな……つかヘンな声だすな」
「だって、んっ、んむっ、私はもういいから! ノアのも拭いたげるよ!」
ノアくんの手巾をぶんだくり、もう片手でノアくんの頰にがしりと手を掛けると今度はフェリシアさんの方からノアくんに顔を寄せる。瞬間、真っ赤に燃え上がったノアくんの顔を私は見逃さなかった。
ああ、なるほど。そういうことか。
しおしおと、勝手に膨らみ掛けていた胸の奥の風船が萎んでいくのを感じる。
「ばかっ、俺はいいって、というか近い! 顔寄せんな!」
「だってこうしないとちゃんと見えない……ああもうじっとしてよ~」
尚もキスを強請るような体勢でノアくんの顔を引き寄せるフェリシアさんに、前屈みになりながら真っ赤な顔で抵抗するノアくん。彼が彼女を特別に思っていることなんて誰が見ても明らかなことだった。
胸の奥がチリリと痛んだけど、なんとなくほっとしている自分もいる。だってあまりにもお似合いだったから。それに、既に私は二人を同じくらい友人として好きになってしまっていたから。
本格的に気持ちが舞い上がる前で、本当によかった。
「フェリシアさん、私も良ければ拭いてほしいな。もう周りが臭いのか自分が臭いのか訳がわからなくて、鼻がおかしくなりそうなの」
「あああアシュリーヌちゃんのお顔を、私が……?!」
フェリシアさんに歩み寄り、真っ赤になった彼女を傍にノアくんをチラ見するとムスッと、ひどく面白くない顔をしていた。こんな顔もできるんだ。
なんだか可愛く思えて、思わず笑みが溢れてしまう。
この人生に希望を与えてくれた二人が上手くいくように、傍で見守り続けようと心に誓って数年が経った。いつまでも生殺し状態のノアくんを見るのが忍びなくなってきた頃、漸く二人がお付き合いを始めたと知った時はそれはもう我が事のように嬉しかった。
それにしてもあの素直で不器用で純情なあの二人がもう体を重ねているというのだから、本当に人生何が起こるか分からない。絶対に詳細をフェリシアちゃんに事細かに尋ねなきゃ。
大好きな二人の友人の将来に幸多からんことをお祈りすると、私を待つ本当の王子様の元へ私は足を速めた。
<END>
元々から運動神経には恵まれており、物覚えも悪くはない方なので王宮竜騎士団訓練学校には大きな障害にぶち当たることなく入学することができた。それも、首席で。平民卒の者は学力にも運動能力にも一定の水準を求められると知って必死に下準備はしたものの、まさか首席とは。またやっかまれる原因にならないと良いなぁといっそ胃が痛いほどだった。
全身に琥珀色の液体が降り注ぎ、しばらくして私は紅茶を頭からぶっかけられたのだと気付いた。
自慢の銀色の髪からは雫が滴り落ち、ジャケットも、移動教室のために持っていた教科書も、可哀想なほどに今も尚じわりじわりと染みが広がっている。
「あら、ごめんなさい。ここは私達のお茶会スペースと決まっておりまして。そこをあまりにも不躾に通り抜けようなんて平民がいらしたものでしたから、つい」
白磁のティーカップを片手に、クスクス笑う女子生徒。胸元の自身の身分を示す刺繍を見る限り、彼女はそこそこに高位の貴族卒のようだった。
とは言えここ、普通に渡り廊下なんですけど。貴女含めたお仲間方がお茶会を催していたのはさらにこの向こうのテラススペースだとお見受けするんですけど。と言うか、私の他にもここ通ってる生徒は沢山いるじゃない。
しかし貴族は貴族。ここで逆らってはどんな根回しをされて竜騎士団入団への道を途絶えさせるかは分からない。それだけは絶対に避けないと。
「大変、申し訳ございませんでした」
頭を下げると、髪に染みる沁みた紅茶がつぅうと頰を流れ地面へ伝い落ちたのが見えた。
「次からは気を付けることね。いっそその紅茶のように染め直しては如何かしら。貴女の髪、目に痛くて仕方が無いわ」
クスクス笑いながらその生徒と取り巻きの女生徒達はまたテラスへと戻って行く。これから授業なのに、お茶なんてしていて良いのだろうか。
学園内、騎士団内は能力主義、だれでも竜騎士になれるという謳い文句の通り授業、試験自体は平等ではあるけれど貧富の差により扱いが全く変わらないと言う訳ではない。金に物を言わせ、人脈に物を言わせ、単位のパスや実技テストの採点を簡略化してしまうことが無いわけではないのだ。あの人達もきっとそのクチだろう。なんとも世知辛い。
この状態で移動するの、いやだなぁ。
一度宿舎の部屋に戻ってもいいけど、授業は一度たりとてサボりたくはない。けどこの紅茶まみれの教科書も果たして読めるのかどうか……
なんとも厄介なことに私の事を目の敵にしている令嬢は、学園内でもかなり身分が高い。この王都でも羽振りを利かせている伯爵家のうちの一つの出だっただろうか。
つまり助けてくれる人は皆無に等しい。誰だって我が身が可愛いのだ。
これがあと6年間も続くのか……やだなぁ、つらいなぁ。入学早々男の子に持て囃されたお陰で女の子にも良い顔されていないし、友達もできないのかなぁ。
紅茶が目にまで入ったのか、何故かぐにゃりと視界が歪む。
唐突に、目の前に綺麗な手巾と教科書、それからジャケットが差し出された。
「え……」
「ほら、これで拭けよ。あんた別のクラスだろ? 俺はクラスの奴に見せてもらうし、今日はこれ使っていいから」
黒髪が綺麗な男の子だった。吊り目の瞳は一見ぶっきらぼうで素っ気ない印象を抱くけど、その視線には下心も敵意も感じられなくて。純粋に、私を気遣っての好意だと受け取れた。
「で、でも……」
「いいから。同じ平民出身だし、まぁ同郷のよしみみたいなもんとして受け取れよ。な」
ちらりと胸元を見やると彼のジャケットには刺繍は無く、私と同様数少ない平民出身の入学者だと分かった。道理で親しみ易い雰囲気な訳だ。
「私に親切にしたら、あなたも目を付けられるかもしれないよ」
「流石に男にまでこんな姑息な真似しねーだろ。それに一応……身分だけは立派な友達もいるし。まぁ大丈夫だろ」
そう言って男の子はカラッと笑うと背後を振り返り、やけに優しい顔をした。
視線を目で追うとオリーブブラウンの髪を一つに括った女の子が、そわそわと柱の影からこちらの様子を伺っていた。胸元には伯爵家卒の意の刺繍が施されている。あの子のことだろうか。
私と視線が交わると、慌てたようにまた柱の影に隠れられてしまった。やっぱり私と関わりを持ったらまずいと思われてるんだろうな。ちょっと悲しい気持ちになる。
「あんたもさ、それだけ頭良くて強いんだからもっと堂々と振舞ってりゃいいんだよ。折角誰にでも身分収益共に名誉ある職に就ける機会が与えられる、ここに入ることができたんだからさ」
「うん……」
「それに、身分どうこう言ってるけどやっぱり国としては基本的に能力の優れた素材は逃したくないもんなんじゃねーの? 運営側にも権力者はいるし、普通に優等生続けてればきっとあちらさん側が守ってくれるだろ。案外自分が気付いていないだけで、あんたを守ろうとしてくれる味方は沢山いると思うぞ」
味方……もしかしなくても、これは彼自身のことを言っているのだろうか。
彼の手から教科書類を受け取りながら、その吊り目の瞳を見つめる。
猫を思わせる彼の鳶色の瞳はありふれた色だけれど誰よりも真っ直ぐで美しく、吸い込まれそうになった。男の子にもこんな綺麗な瞳の子がいるんだ。
授業開始数刻前を知らせる鐘が鳴った。
「じゃ、俺5組だから。それ返すのいつでもいいからな」
そう言って男の子は踵を返して立ち去ろうとする。あ、まってまだ。
気付くと咄嗟に彼の腕を掴んでいた。
「あ、あの名前! 名前、教えて」
「ああ、悪い。ノアだよ。ノア。それ返すまでは覚えててくれな」
「ノア、くん。ありがとう、本当にありがとう」
「おー」
今度こそ走り去ってしまった彼の背をつい目で追い続ける。
「ノア! どどどどうだった?! アシュリーヌちゃん受け取ってくれた?! 可愛かった?!いい匂いした?!」
「ああ、お前の予備のジャケットもばっちり。あと午後のあの授業の時、お前の教科書見せろよな」
「えっ?! なんで私っ!逆隣のリヒトに見せてもらえばいいじゃん!」
「お前があの子に声掛けてほしいオーラ出してたんだろが。あとリヒトは後で確実に何か倍返しでたかられる」
「ああ確かに……でも私の教科書もちょっとノアには見せられないというか、主に色々書き込みすぎてというか描き込みすぎて見せるの恥ずかしいというか」
「お前やけに一生懸命授業受けてると思ったら落書きしてたのかよ……」
なにを話しているのかはここまでは聞こえないが、あの柱の影にいた女の子と合流した後楽しそうに言葉を交わし合っている。
羨ましいな、私もあんな風に気の置けない友達がほしい。
二人の背をぼんやりと見送ると、私は次の授業までに身なりを整えるべくお手洗いに向かった。
その後もノアくんは度々私が嫌がらせを受けている際に鉢合わせてはやんわりと間に入り止めてくれ、内履きの入った靴箱の中が汚泥で満たされていた時には一緒に掃除してくれたりなどした。どこからともなく現れては、何でもない風に私を助けてくれるノアくん。それからノアくんのすぐ傍にいつも控えているフェリシアさん。名前は伺えたけど何故かいつもすぐに距離を取られてしまい、きちんとお話できたことはない。きっとあの令嬢達からの流れ弾を警戒しているのだろう。当然の対応だし、それが賢い。令嬢達の間に割って入った後はノアくんの傍で並尋常じゃない覇気を出して令嬢達を威嚇していたようにも見えたけど、あれはきっと気のせいだろう。
それでも私もあわよくば彼女と友達になれたらなと、こっそり夢見てなどいた。
ノアくんが仲良くやっているのだ。きっと身分に固執することのない、大らかで心優しい方に違いないのだから。
「本当に、いつもごめんなさい」
「いーって、気にすんな。つーか何でお前が謝んの。いつまでもこんなガキくせー陰湿な嫌がらせしてくるあいつらが悪いんだろうが」
今日はゴミ捨て場に机の中身を捨てられたらしい。ゴミの山を漁っているところをノアくん達に見つかってしまった。三人でゴミの山の中にしゃがみこみ、悪臭漂う腐海をひたすら掘り返している。
「けどこんな汚い場所で……フェリシアさんにこんなことさせてる事が本当に申し訳無いやら恐ろしいやら」
「あー、大丈夫大丈夫。あいつは好きでやってんだから」
「あった! 商学の教科書あった!! 見つけたよアシュリーヌさーん!」
「ほらな」
ゴミでそこら中に汚れを付けながら、笑顔でこちらに教科書を振りかざしてくるフェリシアさん。私と視線が合うとぽぽっと頰を朱色に染めてまた慌てたようにゴミ山を掘り返し始めた。彼女を見ているとなんとなく近所のチビっこ達を思い出す。
「俺らより俺はお前の方が心配だけどな。折角の器量好しなのにこんなくせーとこでこんなに汚れて……」
「っ……」
顔が近い……!
すぐ隣で覗き込むように顔を凝視されて、顔に一気に熱が集まるのを感じる。何の下心も邪気も無い鳶色の瞳の中に映る私は、いつも私に声を掛けてくる男の子達のような甘ったるい顔をしていた。
「の、ノアくん、ちょっと近い!」
「ああ、悪い」
心臓の音がうるさい。ノアくんに離れられて、ほっとこっそり溜息を吐く。出会った時からそうだったけれど、ノアくんに見つめられるとどうにもおかしくなってしまう。
「アシュリーヌも騎士になるのは金銭的な都合か?」
ノアくんに唐突に声を掛けられて顔を上げる。ノアくんはゴミを漁り続けていたので、私もゴミ山に視線を戻して引き続き捜索に励む。
「うん。うち、お父さんいなくて。町で働くお母さんとお姉ちゃんに楽させてあげたくて」
「へえ、立派なもんだ」
「ノアくんも? おうちの都合で?」
「ああ。俺もアシュリーヌと一緒。兄弟多い上に一番上でな、少しでも家に金入れられたらと思って志望した。運動神経だけは昔から無駄に良かったからな」
一緒、という言葉に胸が大きく脈打つのを感じる。慌てて目の前のゴミ山に集中して邪念を払おうとかぶりを振った。
「ノアくんがお兄ちゃんなのわかる。フェリシアさんへの接し方もまるでお兄ちゃんみたいだもん」
「ははっ、あいつはどちらかと言うと弟だな」
ふと視線を感じて隣を見やると、ノアくんがこちらを見ていた。再び心臓が高鳴る。
「絶対竜騎士になるぞ、アシュリーヌ。あの意地クソの悪い貴族女どもに平民の底力見せ付けてやるんだ」
そう言ってにっと悪戯っぽく笑われて、脈拍がまた加速するのを感じた。こんなにも臭くて汚い場所なのに、ふわふわと気持ちが舞い上がって心地よい感覚になる。
口を開いたらおかしなことを口走ってしまいそうで、私は曖昧に笑い返す事しかできなかった。
「ノア~~やったよ私はやり遂げたよ」
全身目も当てられないほどにゴミまみれになったフェリシアさんが、大量の教科書類やら筆記用具やらを抱えてこちらへ駆けてきた。パッと見た限り、机に入っていたもの殆ど全て揃っているのではなかろうか。
慌てて立ち上がりフェリシアさんへ私も駆け寄る。
「す、すごい……フェリシアさん。こんなになってまで……本当にありがとう……」
「いや~アシュリーヌさんセンサーは任せてほしいというか、あなたのためならエンヤコラって感じです」
なんだかよく分からないことを言いながらエヘエヘ笑っているゴミまみれのフェリシアさんを見ていたら、何故か不意に鼻の奥がツンと痛んだ。私のためにこんなになってまで助けてくれるなんて、この人達は本当に、何でこんなにも優しいのだろう。
フェリシアさんと目が合う。途端にまた頰が紅潮し、顔を背けられ掛けた。
慌てて彼女の汚れた手を掴み、近寄る。
「フェリシアさん、私、フェリシアさんとお友達になりたい」
「へぇっ?!」
「私と仲良くしたらあの方達に目を付けられてしまうかもしれないし、貴女もそれを避けて私と距離を取っているのだろうけど、それでも私は貴女とお友達になりたいの」
「へっ、えっ、いや、あれは避けてたとかじゃなくて神聖な物に長時間近付くと浄化されそうっていう本能による回避だったんだけど、というかええっオトモダチ?!」
「うん。だめ、かな?」
小首を傾げて尋ねると、フェリシアさんはまた頰をぽぽんっと紅に染めて、顔面を己の手で抑えながら「だめ、じゃ、ないれふ……」と呟いた。なんだか様子がおかしいけれど、嫌がられてはいないようだからよかった。
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「そいつ、ちょっと変わってるから貴族に女友達全然いねーんだよ。よかったなフェリシア」
「ううううるさい! 少しはこの喜びの余韻に浸らせる気遣いをしてくれ!」
「ああ、はいはい。つーか、お前その顔さっさとなんとかしろよ」
そう言ってポケットから手巾を取り出すと、ノアくんはフェリシアさんに近付き、ぐいぐい顔の汚れを拭き始めた。
普通だったら不敬に値するであろうその行為もフェリシアさんにとっては日常茶飯事のようで、特に抵抗する素振りも見せない。
「むぐ、んっ、ふぐっ、いたた、もちょっとやさしくしてノア」
「いや予想してたよりしっかりこびり付いててな……つかヘンな声だすな」
「だって、んっ、んむっ、私はもういいから! ノアのも拭いたげるよ!」
ノアくんの手巾をぶんだくり、もう片手でノアくんの頰にがしりと手を掛けると今度はフェリシアさんの方からノアくんに顔を寄せる。瞬間、真っ赤に燃え上がったノアくんの顔を私は見逃さなかった。
ああ、なるほど。そういうことか。
しおしおと、勝手に膨らみ掛けていた胸の奥の風船が萎んでいくのを感じる。
「ばかっ、俺はいいって、というか近い! 顔寄せんな!」
「だってこうしないとちゃんと見えない……ああもうじっとしてよ~」
尚もキスを強請るような体勢でノアくんの顔を引き寄せるフェリシアさんに、前屈みになりながら真っ赤な顔で抵抗するノアくん。彼が彼女を特別に思っていることなんて誰が見ても明らかなことだった。
胸の奥がチリリと痛んだけど、なんとなくほっとしている自分もいる。だってあまりにもお似合いだったから。それに、既に私は二人を同じくらい友人として好きになってしまっていたから。
本格的に気持ちが舞い上がる前で、本当によかった。
「フェリシアさん、私も良ければ拭いてほしいな。もう周りが臭いのか自分が臭いのか訳がわからなくて、鼻がおかしくなりそうなの」
「あああアシュリーヌちゃんのお顔を、私が……?!」
フェリシアさんに歩み寄り、真っ赤になった彼女を傍にノアくんをチラ見するとムスッと、ひどく面白くない顔をしていた。こんな顔もできるんだ。
なんだか可愛く思えて、思わず笑みが溢れてしまう。
この人生に希望を与えてくれた二人が上手くいくように、傍で見守り続けようと心に誓って数年が経った。いつまでも生殺し状態のノアくんを見るのが忍びなくなってきた頃、漸く二人がお付き合いを始めたと知った時はそれはもう我が事のように嬉しかった。
それにしてもあの素直で不器用で純情なあの二人がもう体を重ねているというのだから、本当に人生何が起こるか分からない。絶対に詳細をフェリシアちゃんに事細かに尋ねなきゃ。
大好きな二人の友人の将来に幸多からんことをお祈りすると、私を待つ本当の王子様の元へ私は足を速めた。
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