枝垂れ桜

あくび

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翌日、由花が起きると四郎は既に起きていて、キッチリ朝ご飯も出来ていた。
由花は先に顔を洗おうと外の井戸に向かう。井戸と言っても組み上げる様な井戸ではなく、山水をそこに貯める様になっていて、石の中をくり抜いたそれには水が溜まりすぎて溢れている。水はとても冷たくて凄く気持ちが良かった。
井戸の中には採れたての野菜がプカプカと浮いている。
深呼吸をすると空気が濃くて いつも無意識に吸っている空気とは全然違い『朝って気持ちが良いんだ』と由花は生まれて初めて思ったかもしれない。

何時もは朝は何も食べない由花も今日はキチンと食べた。雰囲気がそうさせたのかは解らないが、白飯に味噌汁にお漬物だけの質素な朝ご飯は 逆にとてもご馳走に見えた。お茶も何時も飲んでいるはずなのに全然味が違い、由花は全ての物が何時もと同じなのに違って見える事がとても不思議だった。

しばらくすると四郎が着替えて来て「町に出て来るから奥の部屋から出て来ない様に」と言いい、由花は何も言わず黙って首を縦に振った。
四郎が出て行った後はとにかくする事が無く暇だった。
そして暇すぎる由花は、もう1度桜の木の所に行ってみようと思い立ち上がったが『誰かが来たら...』と思い直しまた座った。でももしかしたら 桜の木の所に行けば帰れるかもしれない...と考えるとどうしても行きたくなって『今頃両親が必死になって探しているかもしれない』と思い出すといてもたっても居られなくなり 外に出ようと立ち上がった。土間に降りて閉まっている扉の隙間から外を見たが誰もいない。四郎も滅多には誰も来ないと言っていたし 由花は思い切って扉を開けて外に出て、早足で裏に回った。

昨日降りて来た順番を逆に歩くと桜の木がそこにあって、由花はそこまで行くと桜の木に触れてみた。残念ながら何も起こらなくて思わず『やっぱり...』と思うとため息が出た。周りを見回すと山で囲まれているその場所は 上に登ることは出来ない様だった。
しばらく桜の木の所に座って物思いにふけった後 お腹が空いた為、水でも飲もうかと立ち上がり下に降りた。ついでにトイレを借りた後 井戸まで行こうとした時に門から誰かが入って来るのが見えた。
『やばい!!』
そう思った時にはもう遅く、門から入って来た人と目が合うと 由花は急いで家の中に逃げ込んだ。1番奥の部屋に行き押入れに入ると『どうしよう...』と思って手足に力を入れた。

まぁ、勿論なのだが足音が近付いて来て押し入れが空く
「人間がこんな所で何をしている」
由花は威圧的な声色に怖くて声も出せなかった。
ムズリっと手を掴まれて引っ張られると、ズルリと身体が意志とは関係なく押し入れから出る「キャー」っと悲鳴を上げれば「女か!」と言われた。
「慎之介は何処に行った?」
そう問われても慎之介が誰なのか解らない...。由花は首を横に振った。
「お前は慎之介に拾われたんじゃないのか?」
と聞かれて小さな声で「四郎さんに...」と言うと聞こえていたらしく
「四郎?」と男が言った。男は「あぁ...」と一言言うと「町に行ったのか?」と聞いた。由花が頷くと「売り所を決めに行ったか...」男が言った。
「違います!!」
今度は大きな声で言うと
「元の場所に帰れる方法を聞きに行ったんです!!」
と続けて言った。その声にびっくりしていた男が「アーハッハッハッハッ」と大声で笑った。
「だから人間は簡単に殺られてしまうんだ。何でもかんでも直ぐに信じる」
「....どういう事ですか?」
「そういう事だ。お前は頭も悪いのか?」
そう言うと由花の顎を掴んだ。次の瞬間唇に何かが触れた。
「え?」と思った次にはにゅるりっと温かいものが口内に侵入し 口の中をグニュグニュと動き回る。『キスをされている』と思った時は唇が離れ 男が「甘いな...」と言いながら口を拭った時だった。
「なっ.....!!」
「さて、用事も済んだし慎之介が帰って来る前に行くぞ」
そう言われて手を握られて引っ張られる。
「ちょっ!ちょっと!!」
ぶんぶんと手を振るが全然 全く外れない。力いっぱい抵抗しても止まらない。
外に出ようとする男に
「何処に行くんですか!!」
と叫ぶ様に聞くと
「さぁな」
と素っ気なく答えが帰ってきた。
「行きたくありません!!」
そう言って抵抗すると「お前は売られたいのか?」と男が歩みを止めて振り返って聞いた。
「...売られるって何処に?」
「色町だろうよ...迷い人の行き先は大抵色町が相場だからな」
「色町...って...?」
「色町以外の言い方なんて知らねーが、何人もの男とする所だ」
「嘘...」
由花の今まで入れていた力が急に抜けた。
「慎之介がなんて言ったか知らね~けど、彼奴はそれで飯を食っている」
「.....」
由花の目から涙が出て止まらなかった。昨日親切にしてくれたからスッカリ信用していた自分が馬鹿みたいだった。
「泣いたって何も変わらん」
「どっ...どごっ...づっ...づれで...」
「何言ってるか解らん」
男はそう言って手を離したかと思うと由花を担ぎ上げた。
「ヒァッ」
由花が妙な声を出してびっくりしている間に あっという間に外に出たかと思うと軽くポンっとジャンプしたかと思うとビョ────ンって飛んだ。
『飛んだ!!??』
そのまま片足で着地してまた飛ぶ。ホップステップジャンプの様な感じでビョンビョン行って、あっという間に四郎の家が見えなくなってしまった。

どれくらい飛んで来たのだろうか...解る事はとにかくお腹が痛いと言うことだった。
山間の四郎の家よりは大きいけど 造りはあまり変わらない家に今度は連れて来られた由花はただ今座敷で昼食を頂いていた。
びっくりする事が多くて忘れていたがお腹が空いていた。
男は家に着くと座敷に由花を座らせ「何かいるか?」と訪ねた。
その時、迂闊にもグゥ~っとなったお腹の虫を男は聞き逃さず すぐ様「おいっ」と誰かを呼んだ。障子の前に現れた女に「飯」と一言告げると「はい」と女は返事をして、しばらくすると膳が2つ運ばれて来た。
由花からしたらおばあちゃん位に当たりそうなその人は、由花を見て
「人間を拾われたのですか?」
と言いながら由花の前に膳を置いた。そして同じ様に男の前に膳を置くと
「何時まで居られるんですか?」
と聞いた。
「お前、名前は?」と男が聞いた。
「......」
「輝、コイツの部屋を用意しろ。コレは慎之介の所から連れて来た」
「慎之介様の所から?それで慎之介様は?」
「知らん。会わなかった。コイツを売ろうと町に出掛けていたみたいだ」
「まぁ!!」
男はそう言った後「名を言え」と由花に向き直った。
由花は観念して「由です」と名乗った。
「本名か?」と聞かれたので首を横に振ると男がハハハハと笑った。
「慎之介から名を明かすなと言われたか。ほら、冷めないうちに食え」
そう言って自分も箸を持ち食べ始めた。
膳には美味しそうに、汁に天ぷらに何かの肉を煮付けた物に漬物が並んでいて、由花も待ち切れなくて食べ始めた。とても美味しかった。
「美味しい...」
そう素直に言えば 輝の顔が綻んで「ようございました」と言って頭を下げられたので慌てて由花も頭を下げた。

輝も部屋から出て行き、由花もお腹いっぱいになった後に「由」と言って男の顔が近付いて来た。顔を背けると「嫌か?」と耳元で聞いてくるので頷くと「そうか」と言って男が離れていった。
「何か聞きたい事はあるか?」
「あなたの名前は?」
「空也」
「空也さん、私はどうなるんでしょうか?帰る方法は無いんですか?」
「子を産めば帰れる」
「は?」
それから空也が鬼の世界の事を教えてくれた。
鬼の中にも色々な種族が居ること。
慢性的な女不足で 迷い込んだ人間は色町に売られて性の捌け口にされる事が多いという事。そう言った悪い鬼に見つかれば最悪で 子供が出来ない様に処理されて長い間監禁される事もあると言う事...。


鬼は満月が来ると発情する。男も女も...
その前後も周期に入る為、ひと月に1回、1日~1週間くらいが発情期となる。
種族の中にはそれこそ赤くなったり青くなったりする者もいれば、姿形が異様になったり様々らしい。ただ共通しているのが発情の印として どの鬼も角が生えて来る。
番のいる男女は良いのだが、番のいない鬼は色町に1週間篭る。色女1人に対して鬼が5、6人付く事もあり色町の女は1週間は死にもの狂いだ。
他に、立ちんぼをしている女もいる。
鬼の世界にも貧困がある様で、稼ぐ為には男も女も身を売ったりするのだそうだ...。
後はそう言った性癖もあるらしく、人間の世界も鬼の世界も色々な人がいるもんだ。

そうやって発情期を過ぎると また普通の生活に戻る。
そんな話を聞いた由花は驚きで目に涙をいっぱい溜めていた。不安なのだ。
由花に男性の経験は無く、実は先程の空也とのキスがファーストキスだったりする。
そんな由花に発情期だの色町だのを言っても想像がつかない...
由花は頭を抱えた。
次の発情期はいつ来るのだろうか...と。

食べた物を下げると、年配の男と輝がそこにいて 由花の持って来た膳を受け取ってくれた。男の名前は?模だと教えて貰った。?模と輝は夫婦だそうでこの屋敷の持ち主だった。
「空也さんの家は別にあるのですか?」
と由花が聞くと輝花が
「空也様は私達種族の長です」
と教えてくれた。由花はびっくりして「慎之介さんは?」と聞いた。
「慎之介様は私達と同じ種族で 空也様の弟君になります」
『弟...』由花は驚いた。
「私は此処に居ても良いのでしょうか?」
「空也様が連れて来たと言う事はそう言う事でしょう。それとも慎之介様の所に戻って売られますか?」
由花は深く項垂れた。そうだった...。自分は行く宛が無かったのだ。
「空也様が良い様にして下さると思いますよ」
由花は項垂れながら空也の待つ部屋に戻った。
部屋に戻ると「遅かったな」と空也に言われ「?模さんがいてちょっと話し込んだ」と説明した。


?模と輝の家で3日程過ごしたある日、空也がいつもの様にやって来て「行くぞ」と言った。
空也は夜になると自宅に帰るのか居なくなり、朝方現れる。
たわいも無い話をしたり、この世界の話を聞いてまた夜になると居なくなった。
キスを拒んた時以来 キスを求めてくる事はなくなったが、髪に触れたり、手を握ったりとスキンシップは多い。その度に赤くなる由花を見てからかうのが面白い様だった。
『行くぞって何処に?』
そう思いながら空也の後をついて行くと?模と輝の家からちょっと行った所に1軒の古びた家があった。
「お前の家だ」
そう言われて目が点になる由花。
「ちょっと古いが手直しすれば住めるだろう」
そう言って空也が中に入って行く。後について行くと畳だけは新しくなっていた。
「此処には私が住むの?」
「俺とお前が住む」
「空也さんには自宅があるのでしょう?」
「なんだ...知ってたのか」
空也が笑いながら由花に手を延ばして頭を自分に引き寄せた。
頭を抱き締められる形になった由花は、思い切り空也の匂いを嗅ぐ。
男の匂いだ...と思った。それと同時に身体が熱くなる感じがした。
「次の満月はお前と過ごす」
そう言われて、恥ずかしさと怖さで不安で どう返事をして良いか解らない由花だった。

空也に顎を持たれた。
由花の唇に空也の唇が触れる。軽く唇を合わせた空也は由花が嫌がってないか確認した後もう1度重ねる。何度か軽く口付けた後、舌を絡めると由花は嫌がる様子も無い。
空也は由花との口付けに酔った。発情期でもないのに逸物が反応した。

それから空也は近くから適当な木や棒を拾って来て薪を作った。
土間の使い方が解らない由花の所に?模と輝もやって来て、?模は山に登り水を井戸まで引く作業をしてくれた。その間に米や野菜や干してある肉を持ち込んだ輝花は竈の火付けを由花に教えて行く。
ご飯の炊き方、汁の煮方...現代っ子の由花にとってはとても大変な作業だったが、近くなのでしばらく輝が通うと言う話で落ち着いた。
程なくして水も無事に井戸に溜まり、風呂も綺麗に掃除をし 生まれて初めて風呂を沸かしてみた。
先に空也が入り、その後?模と輝が順番に入った。最後入った由花は 風呂の中で一息付くと『昔の人は何をするにしても大変だったんだなぁ~』と感慨深く思った。

夜ご飯は空也と二人で食べた。殆どが輝が作った物だが...。
ご飯を食べ終わると空也と二人で縁側に座り 空を眺めて話をしながら空也は時々由花に口付けをした。
そして頃合になると由花を残し帰って行った。
寝床で1人になって色々考えた。
物音もしない家の中は静か過ぎて逆に不気味だが、1人で色々考えるには丁度良かった。
多分、このまま発情期が来れば由花は空也に抱かれて子供が出来れば子供を産んで現代に帰るのだろう。家を与えられたと言う事は此処に居たければ居ても良いという事だろうか?由花は解らず、ふと帰りたいとあまり思わなくなっていた自分にびっくりした。そして、あれこれ考えている内にいつの間にか寝てしまった様だった。

朝は誰かが扉をドンドン叩く音で目が覚めた。由花は慌てて起きて扉のつっかえ棒を外すと輝が立っており、味噌汁を入れた鍋を運んでくれた。
「ありがとうございます」そうお礼を言うと、輝からいくつか発情期に向けて注意事項があると言われたので座に上がって貰った。
「発情期、初めてでしょう?」
そう言われて硬い表情で頷く由花だったが
「先ず発情期には──」
説明はこうだった。発情期には表を歩いてはいけない。お風呂に入ってはいけない。男性が用意した物しか口にしてはいけない。と言うことだった。
発情期は鬼は本来の姿に戻る為 気が荒くなって神経質になり 匂いに敏感になるそうだ。
鬼は本来テリトリーをとても大切にする種族で、自分の物に違う匂いが付いただけでも激昂してしまう。だから縄張りにはとても注意が必要だった。
部族間の縄張りも然り。ちょっとでもテリトリーを侵されたりすれば全面戦争に発展する事がある。迷い人が女で、しかも女不足であるから由花は大事にされるが、これが男であれば間違いなく鬼に食われている。鬼はやはり怖い種族なのだ。


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