凪の潮騒

水戸けい

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 安堵したような息を漏らし、幸正の唇が首に触れ、肩に触れ、鎖骨に触れるのを感じながら、胸が日に干されたようにほっこりとふくらんでいくのを自覚した。

「――俺以外の痕なんざ、付けられやがて」

「え……あっ」

 忌々しそうな幸正の声。胸の間に顔をうずめて強く吸われ、宗也の痕を塗り替えているのだと気付いた。――夢でも、その痕は消えていないのか。

 上等な衣よりも、ずっと心地のいい幸正の肌に触れて、首を伸ばして髪に鼻を押し付ける。海の香りを胸いっぱいに吸い込んで、抱きしめた。

「ああ……幸正――っ、ぁは」

 大きな手のひらが、脇腹から乳房をすくいあげて掴んだ。幸正の手のひらに、しっくりと馴染む大きさの、私の乳房――。添うことが当然であるように、ぴたりと収まるそれを揉み込まれ、先に色づく場所を口に含まれる。

「ふっ、ぁ、あ――んっ、ぁ」

 甘い痺れが体中に広がっていく。今まで以上の官能に、戸惑いよりも悦びを感じた。――全身で、幸正を感じている。心ごと、幸正を求めている。そして幸正が、それに応えてくれている。それ以上に、求めてくれている。

 まるで何かの儀式のように、幸正は私の乳房を掴んで舌を伸ばし、吸い上げ、肌に痕を残していく。床で冷えた私の体は熱を帯び、赤く染まった。それでも足りない熱量に身をくねらせ、もっと熱くドロドロに溶かしてほしいと訴えれば、幸正の手は、唇は知り尽くしている私の肌をまさぐった。

「ああ――伊佐……こんなに、熱く――火傷しちまいそうだ」

「っあぁ、ふ――ゆ、きまさ、ぁ、ぁあ……もっと、ぁあ、溶かして――ッ!」

 幸正の熱に溶けた愛欲が、蜜となって下肢からあふれ出る。足を広げて幸正の腰にからめれば、広げた箇所に熱くて硬いものの先端が触れた。――こんなにも、私を相手に熱く欲を凝らせている。

 こぷ、と多量の愛蜜が漏れた。

「ずいぶんと、積極的だな――伊佐」

 余裕のあるように、息を無理やり押さえつける幸正の声は熱く、掠れている。苦しげに眉根を寄せているくせに、唇には余裕を示す微笑を浮かべている。私だけが狂っているようで、悔しくなった。

「っ――は、ぁ……幸正――、気が乗らないのなら……っ――止めても、いい」

 口に出しながら、幸正の熱を飲み込んで掻きまわされたいと胎内が暴れている。今すぐにでも幸正の腰を引き寄せ、猛るものを飲み込みたい――。
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