ひとりよがりなFalse Face

水戸けい

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「全員をだませるように、がんばろうな。恭平」

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「信用ついでに、なんか驕れよ」

 盛り上がる面々に、さらりと恭平が注文を付けた。

「賭けにするってことか? いいぜ。なら、そうだな。そん時のデート代をカンパするってのは、どうだ」

 真がニヤつきながら提案した。

「一人、千円ずつで。あ、デート代は譲が持つだろうから、譲はナシでいいぜ」

「三人で、三千円か。そんだけで足りるデートしか、してないのかよ」

 皮肉げに恭平が口の端を片方だけ持ち上げれば、重人が鼻を鳴らした。

「ずいぶんと自信ありげじゃないか。それなら、一人、二千円ずつでどうだ? その代り、負けたらオマエが全員に二千円、払えよ」

「いいぜ。ああでも、俺が女装してるってオマエらは知ってるからな。オマエらの彼女が気付くかどうかで判断するってのは、どうだ」

 恭平の提案に、三人が互いの意志を確認するように顔を見合わせる。譲は、この会話に寄っていないつもりでいるのか、ポテトの箱を持ち上げて、かけらを口の中に流し込んでいた。

「なら、譲に彼女が出来たからってことで、集まることにするか」

「恭平は用事があって来られねぇってことにして」

 どうだと問う目を重人に向けられ、譲はポテトの箱を握りつぶしながら、幼さの残る顔を考えるように少しかしげた。

「恭平が女に見えるかどうか試すって事で、俺は恭平の彼氏っぽくしとけばいいんだな」

「そういうことだ」

 ふうむと息を吐いた譲が恭平に顔を向け、にっこりと目じりを下げる。

「全員をだませるように、がんばろうな。恭平」

 屈託のないその笑みに、恭平は呆れた息を吐き出して紙ナプキンを差し出した。

「口のまわり、粉だらけだぞ」

「おっ」

 恭平の差し出した紙ナプキンを受けとり、口を拭う譲の姿に真がぽつりと呟く。

「演技しなくっても、もし恭平が本気で女みたいになれるんなら、十分に恋人っぽいよな」

「どっちかっつうと、ガキと保護者じゃね?」

「ま、どっちにしても、そういうことで。なら、俺は恵美に連絡しとくから、オマエらも彼女を呼び出しとけよ」

 勝昭が早速スマホを取り出し操作しはじめ、重人と真も彼女にラインを送る。

「彼女ってことにするなら、女装したときの恭平の名前を決めて、俺はその呼び名に慣れなきゃいけないよな」

 自分に確かめるように、口を拭い終えた譲が言った。それからスマホをいじる三人に顔を向けて提案する。
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