ひとりよがりなFalse Face

水戸けい

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ああ、恭平がどうしようもなく、好きだ。

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「っは、恭平」

 咎めるつもりで呼べば、凄みのある微笑を向けられ息を呑む。ちゅっと軽くキスをされて、何も言えなくなった。

 ああ、恭平がどうしようもなく、好きだ。

 挑むように微笑む恭平に吸い寄せられて、今度は俺からキスをした。
 
◇◆◇

 電車の中で、ちらちら見てくる女の視線がうざってぇ。まあ、俺と譲が手を繋いで歩いていりゃあ、目に付いちまうのは仕方がないか。自分で言うのもなんだが、逆ナンされる程度の容姿は自負しているし、譲の長身は人ごみの中でも目立つ。それに、コイツは無自覚だがいわゆるアイドル顔の分類に入る、幼く穏やかな顔をしている。磨けば、女を振り向かせるぐらいのことはできるだろう。そんな俺らだから、斜め向かいの座席の女二人が、ニヤニヤしながら見てくるのも理解できるし覚悟の上だ。だが、それを譲が気にして手を離したいと言いかねない。だから見るなと言えれば、楽なんだけどな。

「恭平」

「ん?」

 ほら、来た。

「手ぇ、離せとか言うなよ」

 先に言っておく。それでもやっぱりと言われても手を離すつもりなんて、毛頭ない。繋いだ手を、譲が強く握った。そうじゃないと、無言で告げられる。

「店が開いたらさ」

「ん?」

「服、見立てて欲しいなって」

 恥ずかしそうに、譲がもごもごと言葉を続けた。

「その、恭平と一緒にいるのに、なんかシュッとしてないっていうか、なんていうか」

 くだらない事を気にしている譲に、じわりと甘く熱いものが体中に広がった。

「かわいいな」

「えっ」

 思うより先に、言葉が口をついて出た。うろたえる譲に、ますます体中が蜂蜜のような愛おしさに包まれる。

「何、言ってんだよ」

「すげぇ、かわいい」

 たまらなくなって身を寄せれば、俺の頭は譲の肩に乗せるのに丁度いい高さで、少し悔しくなった。

「あと十センチでかけりゃな」

「なんで」

 ちら、と肩に頭を乗せたまま譲を見上げる。譲が、小さく息を呑んだのがわかった。
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