ひとりよがりなFalse Face

水戸けい

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「ヤドリギの下で、キスをするんだろう?」

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 電車に乗りなおして目的の駅に向かい、開店時間までチェーンのコーヒーショップで時間を潰した。それからショッピングモール内の、いろんな店を梯子する。仮の恋人としてのデートでは、幾度も繰り返してきた行為であるのに。友人として、似たようなことはしてきたはずなのに。何かが確実に違っていると、二人は感じていた。

「恭平、これは?」

「あー。それは、譲にはちょっと違うんじゃねぇか」

「俺じゃなくて、恭平に似合いそうだなって」

 そんな会話をしながら、恭平はさりげなくシルバーの店で指輪を見繕い、こっそりと店員に声をかけた。カタログを見せてもらうフリをしてコートのポケットに財布を移動させ、その中で金を取り出しカウンターに隠すように滑らせて支払いを済ませる。店員は何も言わず、仰々しいラッピングはせずに小さな袋に指輪を入れて、カタログを指差すフリをして恭平に商品を渡した。

「なんか、気になるものでもあったのか?」

 間一髪。譲が顔を覗かせる直前に、恭平は渡された指輪を握り隠す。

「ん? ああ、新作がちょっと気になってさ」

「へぇ」

 よくわからない顔をしながら、譲が覗き込んでくる。指輪を握った手を下ろしてポケットに入れ、恭平が店員に目顔で礼を告げた。にっこりと店員が目じりのしわを深くする。

「また、新作が入った頃にお待ちしています」

「ああ」

 恭平はカウンターから離れ、腕時計を確認した。午後三時二十八分と表示されている。

「そろそろ、行こうか」

「どこに?」

 恭平の後を追うように店を出た譲が首をかしげ、恭平はニヤリと歯を見せた。

「万丈セントラル公園だよ」

 目を丸くする譲の手を、恭平が握る。

「ヤドリギの下で、キスをするんだろう?」

 カッと譲が全身を赤くした。握った手が、熱くなる。

「あ、えっと」

「しねぇのかよ」

 少し拗ねたように唇を尖らせ、からかうように恭平が見上げれば、真っ赤な顔を伏せた譲が、蚊の鳴くほどの声で言う。

「したい」

 ニンマリとした恭平は、譲の腕を強く引き寄せ抱きしめた。

「好きだ」

 耳元でささやく。
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