ひとりよがりなFalse Face

水戸けい

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二人はキスを繰り返した。

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「お、俺も」

 通りすがる人の視線が、二人を撫でていく。中には無遠慮に向けられる好奇の目もあった。それに、恭平は心の中で胸をそらす。

 いくらでも見ればいい。譲は、俺の恋人だ。譲の恋人は、俺だ。と――。

「きょ、恭平」

 おとなしく抱きしめられながら、譲は落ち着かなさげに目を泳がせた。人目が気になって仕方がない。けれど、それが嬉しいと思うのはどうしてだろう。

 ああそうかと、譲は気付く。恭平が真っ直ぐに、俺のことを恋人だと宣言してくれているから。だから、嬉しいんだ。

 譲が頬をゆるませ、恭平が問いを目に乗せる。それに首を振った譲が体を離した。

「行こう、恭平」

「ああ」

 あの場所へ。

 ◇◆◇

 日が暮れ始めたころに万丈セントラル公園にたどり着き、恭平と譲はイルミネーションのアーチを抜けてクリスマスツリーへと向かった。連休明けの平日という事もあり、まだあまり人の姿はない。日が暮れきってはいないことも、人が少ない要因なのだろう。けれど、誰もいないわけではない。数組のカップルがツリーの周りに集まっている。きっと、日が暮れきってからヤドリギの下に立つつもりなのだろう。

 複数のカップルの姿に譲の足が重くなり、繋いだ手のひらに緊張がにじみ出る。それに気付いた恭平が、大丈夫だという変わりに微笑んだ。譲が唇を噛み、眉をきりりとそびやかして頷く。

 早足でツリーに近づく二人の耳を、「ねぇ、あれ」という声が撫でた。それを振り払うようにヤドリギの下に立った二人は、ほんの一瞬見詰めあってから、笑みを浮かべた唇を重ねた。

「ええ、うそ」

「男同士だよね」

 そんな声が、二人を包む。唇を離し、互いの想いを確認するように同じ笑みを浮かべて、もう一度キスをする。驚きと好奇のざわめきにさらされながら、二人はキスを繰り返した。

「っ、はは」

 笑いがこみ上げてきて、たまらず譲が声を上げる。

「くっ、くく」

 恭平も体を折って、笑い始めた。観衆の中から「ドッキリかなんかだろ」という声が上がる。恭平と譲は体の奥から湧き上がる笑いに追い立てられるように、声を上げて走り出した。

「あはははは」
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