8 / 26
第二章
バンダナのお京⑥
しおりを挟む
「昴―――!」
「ウチが、助けたる…あんたを…すぐ治したるからな…だから…もうちょい、待っときや…」
まさかうたた寝しとってこんな風になるとは。
椅子で本を読んどったら、小一時間ほど寝てもうた。
目が覚めたら、右手が痺れとった。なんか変な寝方をしたみたいや。まあひと晩寝たら治るやろう。
そう思って翌朝、目が覚めたら右手首から指先に全く力が入らず動かなかった。
「なんや、これは…」
ただの痺れにしては長過ぎるやろ。痛みはない。手首の上方向に力が入らず、指を開く事が出来ない。かろうじて 掌を閉じる事は出来る。
とにかく不便だ。顔を洗いたいけど、水をすくえない。鼻を咬みたくても右手を上手く添えられないので、左鼻に力が入らない。ドライヤーで髪を乾かす時、髪をかき上げられない。シャワーを浴びている時もそうだ。指がふにゃふにゃなので、手櫛にして濡れた髪を後ろに流せない。これは相当なストレスや。トイレットペーパーを取れない、歯が利き手で磨けない、服のボタンが止められない、箸が持てない、バンダナが上手く巻けない…
出勤前の僅かな時間でさえ、こんなにも不便さと、自分のイメージと手の動きが乖離する事のストレスを感じている。このあと仕事になるんやろうか。不幸中の幸い、職場である病院に着いたら診てもらう事にしよう。
「血液を調べましたが、脳梗塞による麻痺ではなさそうですね。血液がサラサラになる薬は飲んでいないですよね?」
もし脳梗塞の疑いがある場合、発症後すぐに血液を綺麗にする薬を投与しないと固まってしまうそうだ。
脳や内科系は問題ないとの事。続けて整形外科の診察も受けさせてもらった。
「橈骨神経麻痺、でしょうね。電車の手すりですとか、腕枕とか同じ体勢で固定されていると、こういう症状が出る事もあります」
となるとやっぱり昨日の椅子の上での寝方が悪かったんか…
「別名、Saturday night palsy、土曜夜のマヒ。恋人を腕枕して眠ると、神経麻痺を起こしてしまう事から、まあこんな別名も付いています。あとはお酒を飲んだあと、何かに寄り掛かって眠ってしまった場合になったりしますね」
先生は、ちょっとニヤっと笑った。
「江戸さん、男か酒か、どっちですか!?」
うちは全く無傷の左手で、先生の頭を張り飛ばした。
「痛っ!ちょっと、江戸さん、いきなり頭へ闘魂ビンタは酷いじゃないですか!?」
「安心しぃ、手加減しとるわ。これくらいで済んで有り難く思ぃ。今の発言はあんたの仕事を奪う事も十分出来るで」
それくらいでクビを宣告されていたら、世の中の働く人は誰もいなくなりますよ、とかブツブツ言いながら、先生は落ちたメガネを拾った。それくらいって何やねん。ホンマ身も蓋もない。
次は二週間後くらいに見せて下さい、と吹っ飛んだメガネを掛け直しながら先生が言った。
「わかりました。でももしそれまでに、例えば三日くらいで治まったら、予約キャンセルしても?」
「三日くらいでは治らないと思いますよ。というか江戸さん、同じ敷地内なんですから、面倒臭がらずに一応見せに来て下さいよ」
「あんたの顔、見とうないからな。でもそんなに掛かるんですか?」
「またまた、そんなに短くない付き合いじゃないですか。でもええ、橈骨神経麻痺の場合は一ヵ月から三ヵ月ってところじゃないですか。個人差はありますけどね」
「三ヶ月!?たかが痺れで?」
「分かりませんけどね。場合によっては一年くらい麻痺が残るかもしれませんし、突然動く様になるかもしれません。江戸さんが言う様に、もしかしたら三日で治るかもしれません。ゼロでは無いですがまず無理でしょう。では、二週間後に。お大事に」
この状態が長いと一年も続くんか。しかもたった一時間くらいのうたた寝の間に…
でも哲坊らは一生足の不自由な状態と付き合っていかなあかんのやな…
その後、リハビリセンターへ行って、作業療法士の先生のリハビリ指導を受け、運動機能を補助する器具、競技ボーリングをする人が付けているようなサポーターを貸して貰った。
「短い時間でも結構ですので、出来れば毎日リハビリに来て下さいね。次はいつにしますか?」
三ヶ月毎日リハビリか。改めてこの麻痺が簡単なものやないと実感した。明日は出勤遅めやから、仕事前に来ればええやろ。
「ほな、明日でお願いします」
「あ、江戸さん、おはようございます!なんだか大変だったみたいですね。どうでしたか?」
ナースセンターに戻ったら、青葉ちゃんが心配して声を掛けてくれた。
「おはようさん、青葉ちゃん。見ての通りや。字も書かれへんし、しばらく迷惑を掛ける事になりそうや。皆様、ホンマに申し訳ない」
「そんな事、言わないで下さいよ。日頃お世話になっていますから、私が江戸さんの『右腕』になります!」
まあ、青葉ちゃんは元々ウチの右腕みたいな人やったけどな。
「そういえば江戸さん、私が看護学生の頃、病院見学の時に言われた事を覚えていますか?」
「ウチ、なんか言うたんか?」
はい、車椅子の方のスポーツ訓練を見学している時に、と青葉ちゃんが話し出した。
「なあ、青葉さん、彼らの事を世の中の人は何と呼んどる?」
「え?え~と、障害者、ですか?」
「そうやな。では、障害は『病気』でしょうか?」
「…病気だと思います」
「なんで、そう思うんや?」
「それは、皆さん病院に来ていますし、疾病名がありますし、歩けないですし…」
「確かに、病院は、病気を治すところや。じゃあ、歩けない事は病気なんかな?」
「病気だと思います」
「ほな、病名は?」
「脊髄損傷、ですか?皆さんそうではないかもしれませんが、こちらの病院は脊損患者さんが多いとお聞きしましたので…」
「そうや。当山中病院は、脊損の山中と言われるくらい治療やリハビリの設備は充実しているから、例えば事故に合って他の病院で手術や応急処置を済ませた患者さんが、多く転院して来られる。ただ、ここに来た患者さんはほぼ歩ける様にはならへん。歩けないという病気のまま退院して行かれる。で、病院を出た瞬間、彼らは病人ではなく、『障害者』と名を変えて生活を始めるんや。重い症状の方は介護が必要やけど、ここの患者さんは大体自立して社会へ復帰される」
「障害と病気は似て異なるもの、という事ですか?」
「ウチはな、持論やけどそう思ってる。病気やったら治癒を目指すやろ?でも障害はその人の一部になる事や。設定するゴールが違うからな」
「でも、街で見かける車椅子の人に対しては、病人みたいな、お大事に、的な空気がある気がします」
「確かにそうやな。あと青葉さんもう一つ。『障害者』って呼び方やけど、障害者ってウチら当たり前に使うとるけど、よう考えたら酷い言葉やと思わへんか?間に立ち塞がって、障る害のある者、やで。他人目線での言葉やったらこんなん言語道断やと思うし、自己目線やとしても、口にしてこれほど自分を傷付ける、自己否定の言葉もないわな。最近は『障がい者』なんておなぐさみみたいな言葉もあるみたいやけどな。でもな、もし、他人から何と思われようと、彼らが自分の身に起こっている事に対して、それは邪魔なものでも害でもない、自分の一部なんや、と心から思える様になったら、もう彼らはこの世界で言うところの障害者ではない、と、ウチは思うとる。さっき言うたけど、病人とは別のゴールを目指すのが障害者や。そしてそのゴールは、健常者と同じやとウチは思うとる。だから彼らが社会で暮らせる様に機能の訓練と共に、特に心のケア、その手伝いをするのが、ウチらの仕事なんやで」
「ウチそんな事、言うたんか?」
ウチはその場の思い付きで話す事もあるけど、もちろん嘘は言うてない。とぼけた答え方はしたけど、今の話は覚えとる。
「私、その話を聞いて、江戸さんのいるこの病院に就職しようと決めました。だから私は勝手に師匠って思っています」
「その話は、初めて聞きましたね」
「私の中にはそういう解釈がなかったわ。障害者は、『障る害のある者』か」
それなら障害者をなんて呼べば良いのだろう、とまわりの看護師達はしばらく頭を捻ったが、これという言葉は思い付かなかった。
「もし明日、自分がその立場になった時、どう呼んで欲しいんだろう、自分でどう呼びたいんだろう…」
「今はまだその言葉を受け入れるしかないのなら、自分の一部として愛してもらえるサポートをしないとね」
「という訳で江戸さん、今こそ少しですがお返しが出来る時なので、何でも言って下さいね!」
「青葉ちゃん、おおきに。強がっても無理なもんは無理やし、遠慮なく頼らせてもらうわ。ほな、早速あの書類とこの書類をああしてこうして…あとウチが担当しているあの患者さんをああしてこうして…」
「はい、喜んで!って、ちょっと待って、一個ずつ言って下さい!私自分の仕事もありますので、今優先順位を付けますから!」
「青葉さん、師匠の頼みだからって、全部聞かなくても大丈夫よ。私達もいるんだから。分担してやりましょう」
ウチらのやりとりを聞いていた他の看護師達が、そうそう、と相槌を打つ。
「皆さん、おおきに。ホンマかたじけない」
ウチは深く頭を下げた。
「やだ、江戸さんが頭を下げるなんて」
「江戸さんにはいつも助けてもらったり、相談に乗ってもらったりしていますからね」
「親戚の不幸の時に、お休みだったのに急遽出勤してくれたし」
まあ、それはな、お互い様で誰かがやらなあかんからな…
「迷子になっていたうちの子(犬)、一緒に探してくれましたよね」
「うん、ストーカーに困っていたら江戸さん捕まえてくれたし」
「私も、電車で痴漢にあった時に助けてもらいました!」
「コンビニで万引き犯も捕まえていましたよね!」
ウチの職業って一体何なんやろう…
「〇HKのしつこい集金も追い返してくれたよね!」
それは、ええのか悪いのか…
「だから、今度は私達がお返しする番」
仲間って、ええな。
「ほんま、おおきに。治ったら、迷惑掛けた分アクセル全開でやるさかいな」
「だから、迷惑じゃないですよ!」
とりあえず出来る事をやらせてもらおう。
「巡回行ってくるわ。何かあったらナースコール押すさかい」
「いってらっしゃい、無理しないで下さいね」
おおきに、青葉ちゃん。ウチは手を上げて応えた。そうや。急に思い浮かんだわ。
「障害者の呼び方やけどな、『breaking mover(ゆっくりとブレーキを踏みながら、世界を動かす人)』なんて、どうや?」
「江戸さんって…」
「なんや、青葉ちゃん?」
「もしかして厨二病、ですか?」
ナースセンターを出ると、哲坊がおった。
「江戸さん、手を怪我したって聞いたんだけど、大丈夫なのか?」
「なんや、盗み聞きかいな。怪我というか、外傷はないんやけどな。御覧の通りや。特に指先が痺れていう事利かへん」
「いやいや、盗んでねぇよ。たまたまだよ、たまたま。病気とかじゃないのか?」
この子は、たまたまナースセンターを覗いとったんか、というツッコミは敢えてしなかった。
「内科は問題ないそうや。整形外科が言うには全治一ヵ月から三ヵ月くらい、やと」
ええとこあるやんか。心配してくれているんやろう。そのまま、彼の病室から巡回を始める事にした。
「そのリストバンド、何だか格闘家みたいだな。そうか。よし、江戸さん、腕相撲しようぜ。今日は『ハンデ』で俺の利き腕とは逆の右手でやってやるよ!」
はあ!?
ウチはこの子との腕相撲で負けた事がない。
負けず嫌いのこの子は、いつもメチャメチャ悔しがっとる。
「あんた…スポーツマンの風上にもおかれへん奴やな。なにが『よし!』やねん。そこまでして勝ちたいんか。野球小僧っちゅうのは、男らしくて純情と違うんかい?昔、山下っていう柔道選手がおってやな、オリンピックの決勝戦でその相手が…」
「聞いた事ねぇよ!嫌なら、止めてもいいんだぜ?」
うちの話をぶった切った上に、なんで上からの言い方。はあ、しゃあーないな、と思いながら
「一回だけやで。これから他も回らなあかんからな」
「よし、いいぜ」
「ほな、レディー・ゴー!」
グキッ!
「痛ッ!」
いつもの様に秒殺だった。
「なんだよ、フェイクかよ。全然、悪くねぇじゃねーか。」
「悪いで。手首から指にかけて、反る動きはな。でも腕は、お陰様でほぼ何ともない。ほな、ウチ行くわな」
全く、ウチのこの「首」を狙われる宿命は、いつになったら逃れられるんやろうな、とブツブツ言いながら哲坊の部屋を出ようとすると、
「あ、江戸さん」
と呼ばれて立ち止まると、頭から三角巾が落ちた。結び目が緩んどったのを見てくれていた様や。哲坊が車椅子でスっと近付いてきた。ウチが拾おうとするやいなや、哲坊の手が一瞬早く、三角巾を拾い上げた。
「へへっ。俺の左手の方が早かったな。後ろ向いてしゃがんで。三角巾を着けてやるよ。なんだよ、こういう時くらい外せばいいのに。ほかの看護師、ほとんど誰もしてねぇじゃんか」と、言いながら、器用に結び直してくれた。確かに衛生上の問題で、ナースキャップを付けない流れにはなっている。洗えばいいのだが、あの形を崩さずにキープするのは結構労力を要する。洗わずに被るくらいなら、「何も付けない」という解釈へ進んだようだ。でも三角巾は簡単に洗える。髪の毛を患者さんのベッドに落とす事を思えば、ウチはこれからも被り続けたい。九死に一生を得た昴の事を忘れない、という意味もある。
「おおきに。あんた、器用やな。やっぱり指の力が弱くてきつくは結ばれへんかったみたいやな」
「(それでさっきの腕相撲かよ…)一応、元・ピッチャーだからな。無理すんなよ」
今度こそ哲坊の部屋を出た。クソ、痛かったな、すげぇ心配して損したぜ、という彼のボヤキを聞きながらドアを閉めると、車輪がハの字に開いたスポーツタイプの車椅子に乗った、望月昴がおった。彼の所属チーム「infinity」のユニホーム姿。流石は車椅子バスケ日本代表選手、競技用の車椅子に乗っとる時の昴は、オフモードの時のアホさとは別人みたいに男前や。
「お、昴、これからバスケの練習か?」
「そうですねん。お京さんはお散歩でっか?」
「なんでやねん!ウチそんなヒマそうに見えるんか?仕事や、巡回中や!」
「そうでしたか。いや、今お京さん、エラい嬉しそうな顔してはったから、なんかエエ事あったんかな、思うたんです」
「そうか?ウチはツッコミを入れる時以外は、いつでも笑顔やで?」
「それは良かったです。ボクはお京さんが笑っているのが何より好きですから」
「なんや?その寒いおべっかは。でも、そう思って貰えるのは、おおきに」
「おや?その手は、どうしはったんですか?」
「ああ、なんか変な寝方をしたみたいでな。痺れとるんや。ちょっと時間は掛かるみたいやけど、身体は元気やから大丈夫や」
「え?それって凄く不便やないですか?」
「まあな。でも有難い事にナースセンターの人らも仕事を手伝ってくれとるし、何とかなりそうや。気にしてくれて、おおきに」
ウチがそれほど落ち込んでない姿を見て安心したのか、そうでっかと、昴はニカっと笑いながら、ほな、皆待ってますんで、失礼します、お疲れ様です!と元気に体育館へと向かった。
ウチ、そんなに表情崩れとったんかな。思わず顔を…押さえようと思ったけど、指先が言う事利かへん。「アッポー」みたいな仕草になってもうた。
これはしばらく、面倒臭いなぁ…
でも多分、今日ほど「おおきに」と言うた日もないなぁ。という事は逆に言えば、ウチはいかに日頃礼を言うてへんかって事やな。
普段から、感謝の心は忘れたらあかんなぁと思いながら次の患者さんの部屋へ、左手で三角巾が外れていないか確認をして、満面の笑みで入っていった。
「ウチが、助けたる…あんたを…すぐ治したるからな…だから…もうちょい、待っときや…」
まさかうたた寝しとってこんな風になるとは。
椅子で本を読んどったら、小一時間ほど寝てもうた。
目が覚めたら、右手が痺れとった。なんか変な寝方をしたみたいや。まあひと晩寝たら治るやろう。
そう思って翌朝、目が覚めたら右手首から指先に全く力が入らず動かなかった。
「なんや、これは…」
ただの痺れにしては長過ぎるやろ。痛みはない。手首の上方向に力が入らず、指を開く事が出来ない。かろうじて 掌を閉じる事は出来る。
とにかく不便だ。顔を洗いたいけど、水をすくえない。鼻を咬みたくても右手を上手く添えられないので、左鼻に力が入らない。ドライヤーで髪を乾かす時、髪をかき上げられない。シャワーを浴びている時もそうだ。指がふにゃふにゃなので、手櫛にして濡れた髪を後ろに流せない。これは相当なストレスや。トイレットペーパーを取れない、歯が利き手で磨けない、服のボタンが止められない、箸が持てない、バンダナが上手く巻けない…
出勤前の僅かな時間でさえ、こんなにも不便さと、自分のイメージと手の動きが乖離する事のストレスを感じている。このあと仕事になるんやろうか。不幸中の幸い、職場である病院に着いたら診てもらう事にしよう。
「血液を調べましたが、脳梗塞による麻痺ではなさそうですね。血液がサラサラになる薬は飲んでいないですよね?」
もし脳梗塞の疑いがある場合、発症後すぐに血液を綺麗にする薬を投与しないと固まってしまうそうだ。
脳や内科系は問題ないとの事。続けて整形外科の診察も受けさせてもらった。
「橈骨神経麻痺、でしょうね。電車の手すりですとか、腕枕とか同じ体勢で固定されていると、こういう症状が出る事もあります」
となるとやっぱり昨日の椅子の上での寝方が悪かったんか…
「別名、Saturday night palsy、土曜夜のマヒ。恋人を腕枕して眠ると、神経麻痺を起こしてしまう事から、まあこんな別名も付いています。あとはお酒を飲んだあと、何かに寄り掛かって眠ってしまった場合になったりしますね」
先生は、ちょっとニヤっと笑った。
「江戸さん、男か酒か、どっちですか!?」
うちは全く無傷の左手で、先生の頭を張り飛ばした。
「痛っ!ちょっと、江戸さん、いきなり頭へ闘魂ビンタは酷いじゃないですか!?」
「安心しぃ、手加減しとるわ。これくらいで済んで有り難く思ぃ。今の発言はあんたの仕事を奪う事も十分出来るで」
それくらいでクビを宣告されていたら、世の中の働く人は誰もいなくなりますよ、とかブツブツ言いながら、先生は落ちたメガネを拾った。それくらいって何やねん。ホンマ身も蓋もない。
次は二週間後くらいに見せて下さい、と吹っ飛んだメガネを掛け直しながら先生が言った。
「わかりました。でももしそれまでに、例えば三日くらいで治まったら、予約キャンセルしても?」
「三日くらいでは治らないと思いますよ。というか江戸さん、同じ敷地内なんですから、面倒臭がらずに一応見せに来て下さいよ」
「あんたの顔、見とうないからな。でもそんなに掛かるんですか?」
「またまた、そんなに短くない付き合いじゃないですか。でもええ、橈骨神経麻痺の場合は一ヵ月から三ヵ月ってところじゃないですか。個人差はありますけどね」
「三ヶ月!?たかが痺れで?」
「分かりませんけどね。場合によっては一年くらい麻痺が残るかもしれませんし、突然動く様になるかもしれません。江戸さんが言う様に、もしかしたら三日で治るかもしれません。ゼロでは無いですがまず無理でしょう。では、二週間後に。お大事に」
この状態が長いと一年も続くんか。しかもたった一時間くらいのうたた寝の間に…
でも哲坊らは一生足の不自由な状態と付き合っていかなあかんのやな…
その後、リハビリセンターへ行って、作業療法士の先生のリハビリ指導を受け、運動機能を補助する器具、競技ボーリングをする人が付けているようなサポーターを貸して貰った。
「短い時間でも結構ですので、出来れば毎日リハビリに来て下さいね。次はいつにしますか?」
三ヶ月毎日リハビリか。改めてこの麻痺が簡単なものやないと実感した。明日は出勤遅めやから、仕事前に来ればええやろ。
「ほな、明日でお願いします」
「あ、江戸さん、おはようございます!なんだか大変だったみたいですね。どうでしたか?」
ナースセンターに戻ったら、青葉ちゃんが心配して声を掛けてくれた。
「おはようさん、青葉ちゃん。見ての通りや。字も書かれへんし、しばらく迷惑を掛ける事になりそうや。皆様、ホンマに申し訳ない」
「そんな事、言わないで下さいよ。日頃お世話になっていますから、私が江戸さんの『右腕』になります!」
まあ、青葉ちゃんは元々ウチの右腕みたいな人やったけどな。
「そういえば江戸さん、私が看護学生の頃、病院見学の時に言われた事を覚えていますか?」
「ウチ、なんか言うたんか?」
はい、車椅子の方のスポーツ訓練を見学している時に、と青葉ちゃんが話し出した。
「なあ、青葉さん、彼らの事を世の中の人は何と呼んどる?」
「え?え~と、障害者、ですか?」
「そうやな。では、障害は『病気』でしょうか?」
「…病気だと思います」
「なんで、そう思うんや?」
「それは、皆さん病院に来ていますし、疾病名がありますし、歩けないですし…」
「確かに、病院は、病気を治すところや。じゃあ、歩けない事は病気なんかな?」
「病気だと思います」
「ほな、病名は?」
「脊髄損傷、ですか?皆さんそうではないかもしれませんが、こちらの病院は脊損患者さんが多いとお聞きしましたので…」
「そうや。当山中病院は、脊損の山中と言われるくらい治療やリハビリの設備は充実しているから、例えば事故に合って他の病院で手術や応急処置を済ませた患者さんが、多く転院して来られる。ただ、ここに来た患者さんはほぼ歩ける様にはならへん。歩けないという病気のまま退院して行かれる。で、病院を出た瞬間、彼らは病人ではなく、『障害者』と名を変えて生活を始めるんや。重い症状の方は介護が必要やけど、ここの患者さんは大体自立して社会へ復帰される」
「障害と病気は似て異なるもの、という事ですか?」
「ウチはな、持論やけどそう思ってる。病気やったら治癒を目指すやろ?でも障害はその人の一部になる事や。設定するゴールが違うからな」
「でも、街で見かける車椅子の人に対しては、病人みたいな、お大事に、的な空気がある気がします」
「確かにそうやな。あと青葉さんもう一つ。『障害者』って呼び方やけど、障害者ってウチら当たり前に使うとるけど、よう考えたら酷い言葉やと思わへんか?間に立ち塞がって、障る害のある者、やで。他人目線での言葉やったらこんなん言語道断やと思うし、自己目線やとしても、口にしてこれほど自分を傷付ける、自己否定の言葉もないわな。最近は『障がい者』なんておなぐさみみたいな言葉もあるみたいやけどな。でもな、もし、他人から何と思われようと、彼らが自分の身に起こっている事に対して、それは邪魔なものでも害でもない、自分の一部なんや、と心から思える様になったら、もう彼らはこの世界で言うところの障害者ではない、と、ウチは思うとる。さっき言うたけど、病人とは別のゴールを目指すのが障害者や。そしてそのゴールは、健常者と同じやとウチは思うとる。だから彼らが社会で暮らせる様に機能の訓練と共に、特に心のケア、その手伝いをするのが、ウチらの仕事なんやで」
「ウチそんな事、言うたんか?」
ウチはその場の思い付きで話す事もあるけど、もちろん嘘は言うてない。とぼけた答え方はしたけど、今の話は覚えとる。
「私、その話を聞いて、江戸さんのいるこの病院に就職しようと決めました。だから私は勝手に師匠って思っています」
「その話は、初めて聞きましたね」
「私の中にはそういう解釈がなかったわ。障害者は、『障る害のある者』か」
それなら障害者をなんて呼べば良いのだろう、とまわりの看護師達はしばらく頭を捻ったが、これという言葉は思い付かなかった。
「もし明日、自分がその立場になった時、どう呼んで欲しいんだろう、自分でどう呼びたいんだろう…」
「今はまだその言葉を受け入れるしかないのなら、自分の一部として愛してもらえるサポートをしないとね」
「という訳で江戸さん、今こそ少しですがお返しが出来る時なので、何でも言って下さいね!」
「青葉ちゃん、おおきに。強がっても無理なもんは無理やし、遠慮なく頼らせてもらうわ。ほな、早速あの書類とこの書類をああしてこうして…あとウチが担当しているあの患者さんをああしてこうして…」
「はい、喜んで!って、ちょっと待って、一個ずつ言って下さい!私自分の仕事もありますので、今優先順位を付けますから!」
「青葉さん、師匠の頼みだからって、全部聞かなくても大丈夫よ。私達もいるんだから。分担してやりましょう」
ウチらのやりとりを聞いていた他の看護師達が、そうそう、と相槌を打つ。
「皆さん、おおきに。ホンマかたじけない」
ウチは深く頭を下げた。
「やだ、江戸さんが頭を下げるなんて」
「江戸さんにはいつも助けてもらったり、相談に乗ってもらったりしていますからね」
「親戚の不幸の時に、お休みだったのに急遽出勤してくれたし」
まあ、それはな、お互い様で誰かがやらなあかんからな…
「迷子になっていたうちの子(犬)、一緒に探してくれましたよね」
「うん、ストーカーに困っていたら江戸さん捕まえてくれたし」
「私も、電車で痴漢にあった時に助けてもらいました!」
「コンビニで万引き犯も捕まえていましたよね!」
ウチの職業って一体何なんやろう…
「〇HKのしつこい集金も追い返してくれたよね!」
それは、ええのか悪いのか…
「だから、今度は私達がお返しする番」
仲間って、ええな。
「ほんま、おおきに。治ったら、迷惑掛けた分アクセル全開でやるさかいな」
「だから、迷惑じゃないですよ!」
とりあえず出来る事をやらせてもらおう。
「巡回行ってくるわ。何かあったらナースコール押すさかい」
「いってらっしゃい、無理しないで下さいね」
おおきに、青葉ちゃん。ウチは手を上げて応えた。そうや。急に思い浮かんだわ。
「障害者の呼び方やけどな、『breaking mover(ゆっくりとブレーキを踏みながら、世界を動かす人)』なんて、どうや?」
「江戸さんって…」
「なんや、青葉ちゃん?」
「もしかして厨二病、ですか?」
ナースセンターを出ると、哲坊がおった。
「江戸さん、手を怪我したって聞いたんだけど、大丈夫なのか?」
「なんや、盗み聞きかいな。怪我というか、外傷はないんやけどな。御覧の通りや。特に指先が痺れていう事利かへん」
「いやいや、盗んでねぇよ。たまたまだよ、たまたま。病気とかじゃないのか?」
この子は、たまたまナースセンターを覗いとったんか、というツッコミは敢えてしなかった。
「内科は問題ないそうや。整形外科が言うには全治一ヵ月から三ヵ月くらい、やと」
ええとこあるやんか。心配してくれているんやろう。そのまま、彼の病室から巡回を始める事にした。
「そのリストバンド、何だか格闘家みたいだな。そうか。よし、江戸さん、腕相撲しようぜ。今日は『ハンデ』で俺の利き腕とは逆の右手でやってやるよ!」
はあ!?
ウチはこの子との腕相撲で負けた事がない。
負けず嫌いのこの子は、いつもメチャメチャ悔しがっとる。
「あんた…スポーツマンの風上にもおかれへん奴やな。なにが『よし!』やねん。そこまでして勝ちたいんか。野球小僧っちゅうのは、男らしくて純情と違うんかい?昔、山下っていう柔道選手がおってやな、オリンピックの決勝戦でその相手が…」
「聞いた事ねぇよ!嫌なら、止めてもいいんだぜ?」
うちの話をぶった切った上に、なんで上からの言い方。はあ、しゃあーないな、と思いながら
「一回だけやで。これから他も回らなあかんからな」
「よし、いいぜ」
「ほな、レディー・ゴー!」
グキッ!
「痛ッ!」
いつもの様に秒殺だった。
「なんだよ、フェイクかよ。全然、悪くねぇじゃねーか。」
「悪いで。手首から指にかけて、反る動きはな。でも腕は、お陰様でほぼ何ともない。ほな、ウチ行くわな」
全く、ウチのこの「首」を狙われる宿命は、いつになったら逃れられるんやろうな、とブツブツ言いながら哲坊の部屋を出ようとすると、
「あ、江戸さん」
と呼ばれて立ち止まると、頭から三角巾が落ちた。結び目が緩んどったのを見てくれていた様や。哲坊が車椅子でスっと近付いてきた。ウチが拾おうとするやいなや、哲坊の手が一瞬早く、三角巾を拾い上げた。
「へへっ。俺の左手の方が早かったな。後ろ向いてしゃがんで。三角巾を着けてやるよ。なんだよ、こういう時くらい外せばいいのに。ほかの看護師、ほとんど誰もしてねぇじゃんか」と、言いながら、器用に結び直してくれた。確かに衛生上の問題で、ナースキャップを付けない流れにはなっている。洗えばいいのだが、あの形を崩さずにキープするのは結構労力を要する。洗わずに被るくらいなら、「何も付けない」という解釈へ進んだようだ。でも三角巾は簡単に洗える。髪の毛を患者さんのベッドに落とす事を思えば、ウチはこれからも被り続けたい。九死に一生を得た昴の事を忘れない、という意味もある。
「おおきに。あんた、器用やな。やっぱり指の力が弱くてきつくは結ばれへんかったみたいやな」
「(それでさっきの腕相撲かよ…)一応、元・ピッチャーだからな。無理すんなよ」
今度こそ哲坊の部屋を出た。クソ、痛かったな、すげぇ心配して損したぜ、という彼のボヤキを聞きながらドアを閉めると、車輪がハの字に開いたスポーツタイプの車椅子に乗った、望月昴がおった。彼の所属チーム「infinity」のユニホーム姿。流石は車椅子バスケ日本代表選手、競技用の車椅子に乗っとる時の昴は、オフモードの時のアホさとは別人みたいに男前や。
「お、昴、これからバスケの練習か?」
「そうですねん。お京さんはお散歩でっか?」
「なんでやねん!ウチそんなヒマそうに見えるんか?仕事や、巡回中や!」
「そうでしたか。いや、今お京さん、エラい嬉しそうな顔してはったから、なんかエエ事あったんかな、思うたんです」
「そうか?ウチはツッコミを入れる時以外は、いつでも笑顔やで?」
「それは良かったです。ボクはお京さんが笑っているのが何より好きですから」
「なんや?その寒いおべっかは。でも、そう思って貰えるのは、おおきに」
「おや?その手は、どうしはったんですか?」
「ああ、なんか変な寝方をしたみたいでな。痺れとるんや。ちょっと時間は掛かるみたいやけど、身体は元気やから大丈夫や」
「え?それって凄く不便やないですか?」
「まあな。でも有難い事にナースセンターの人らも仕事を手伝ってくれとるし、何とかなりそうや。気にしてくれて、おおきに」
ウチがそれほど落ち込んでない姿を見て安心したのか、そうでっかと、昴はニカっと笑いながら、ほな、皆待ってますんで、失礼します、お疲れ様です!と元気に体育館へと向かった。
ウチ、そんなに表情崩れとったんかな。思わず顔を…押さえようと思ったけど、指先が言う事利かへん。「アッポー」みたいな仕草になってもうた。
これはしばらく、面倒臭いなぁ…
でも多分、今日ほど「おおきに」と言うた日もないなぁ。という事は逆に言えば、ウチはいかに日頃礼を言うてへんかって事やな。
普段から、感謝の心は忘れたらあかんなぁと思いながら次の患者さんの部屋へ、左手で三角巾が外れていないか確認をして、満面の笑みで入っていった。
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる