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夏川の手が、励ますように朝霧の手を掴み、指を絡める。
「だけど今日音羽に、リョウと別れろって言われた時、俺、それだけは絶対に嫌だと思った。例えそのせいで父親の病院が潰れてしまったとしても、リョウと別れたくはないって…思って」
朝霧は夏川の腕の力が緩んだことを知り、体を反転させた。
夏川の膝の上で向かい合う。
零れる涙を見られたくなくて、朝霧は夏川の胸に頬をぺったりとつけた。
「俺、一人っ子で長男なのに本当に自分勝手だよな」
苦笑する朝霧を何とも言えない表情で夏川が見つめる。
「どうしても何か一つだけしか選べないなら……俺はリョウを選ぶ」
こうして口にだしていても、朝霧は本当は怖くて仕方なかった。
リョウと別れられないのは分かっていても、自分の決断で親を苦しめることになってしまうかもしれないのが、どうしようもなく不安で怖かった。
そんな朝霧の怯えに気付いたかのように、夏川がその痩せた肢体をきつく抱きしめる。
「帝のご両親には申し訳ないけど、俺は帝がそう言ってくれたのが嬉しい。俺も自分勝手だから、帝が俺を選んでくれたのが嬉しくてたまらないんだ」
「リョウ」
朝霧は夏川の首に両腕で抱きついた。
「誰かの為じゃなく、自分の為に決断する勇気を俺にくれたのはリョウだよ。離れていても、俺の心の中にはいつもリョウがいて、助けてもらっているんだ。頼っているんだよ」
夏川はその言葉を噛みしめながら、無言で朝霧の真っ白な背中を撫で続ける。
そこには2つの傷跡が残っていた。
俺は絶対に帝に傷一つ付けたりしない。俺を選んでくれた帝を後悔させたりなんてしない。
夏川は決意も新たに、朝霧の腫れた唇にそっと己の唇を寄せた。
それから一週間。
音羽から朝霧への連絡は一切なく、ホッとした気分だった。
夏川は長いこと仕事を休んでいたせいで、やらなければいけないことが多く、朝早くから深夜まで働いている。
「音羽が何してくるか分からないから、当分ここに住んで欲しい」
夏川に懇願され、朝霧は了承した。
「だけど今日音羽に、リョウと別れろって言われた時、俺、それだけは絶対に嫌だと思った。例えそのせいで父親の病院が潰れてしまったとしても、リョウと別れたくはないって…思って」
朝霧は夏川の腕の力が緩んだことを知り、体を反転させた。
夏川の膝の上で向かい合う。
零れる涙を見られたくなくて、朝霧は夏川の胸に頬をぺったりとつけた。
「俺、一人っ子で長男なのに本当に自分勝手だよな」
苦笑する朝霧を何とも言えない表情で夏川が見つめる。
「どうしても何か一つだけしか選べないなら……俺はリョウを選ぶ」
こうして口にだしていても、朝霧は本当は怖くて仕方なかった。
リョウと別れられないのは分かっていても、自分の決断で親を苦しめることになってしまうかもしれないのが、どうしようもなく不安で怖かった。
そんな朝霧の怯えに気付いたかのように、夏川がその痩せた肢体をきつく抱きしめる。
「帝のご両親には申し訳ないけど、俺は帝がそう言ってくれたのが嬉しい。俺も自分勝手だから、帝が俺を選んでくれたのが嬉しくてたまらないんだ」
「リョウ」
朝霧は夏川の首に両腕で抱きついた。
「誰かの為じゃなく、自分の為に決断する勇気を俺にくれたのはリョウだよ。離れていても、俺の心の中にはいつもリョウがいて、助けてもらっているんだ。頼っているんだよ」
夏川はその言葉を噛みしめながら、無言で朝霧の真っ白な背中を撫で続ける。
そこには2つの傷跡が残っていた。
俺は絶対に帝に傷一つ付けたりしない。俺を選んでくれた帝を後悔させたりなんてしない。
夏川は決意も新たに、朝霧の腫れた唇にそっと己の唇を寄せた。
それから一週間。
音羽から朝霧への連絡は一切なく、ホッとした気分だった。
夏川は長いこと仕事を休んでいたせいで、やらなければいけないことが多く、朝早くから深夜まで働いている。
「音羽が何してくるか分からないから、当分ここに住んで欲しい」
夏川に懇願され、朝霧は了承した。
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