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「壁紙も一応、張り替えた」
クリーム色の壁は、長年無人だったとは思えないくらい綺麗だった。
それを将仁さんに言うと彼は頷いた。
「鶴子さんがここの家主に頼まれて、時々掃除や換気をしていたらしい。だからこそ俺もこの家を、格安で手にいれることができたって訳だ」
母がそんなことをしていたなんて知らなかったが、面倒見のいい母のことだから、簡単に引き受けそうではあった。
「あと、ここは一番こだわった場所」
そう言うと、将仁さんが引き戸を開けた。そこは脱衣場のようで、将仁さんは進むと、中の引き戸も開く。
「わあ」
俺はつい声を漏らした。
ヒノキが一面に敷き詰められた床に、埋まるような形で、広い浴槽があった。木のいい香りが肺一杯に満ちた。
「この家、温泉が出るんだぜ。それを聞いて、夢だった檜風呂作っちまった」
「温泉ですか?すごい」
はしゃいでそう言う俺を将仁さんはじっと見つめる。
「入ってみるか?」
「いいんですか?」
「ああ。もう使えるようにしてあるんだ。実際入浴するのは初めてだがな」
そこまで言うと将仁さんが苦笑した。
「どうなるかも分からないのに、最初はお前と一緒に入りたいと思ってた」
そう聞いて俺の頬が勝手に赤くなった。
クリーム色の壁は、長年無人だったとは思えないくらい綺麗だった。
それを将仁さんに言うと彼は頷いた。
「鶴子さんがここの家主に頼まれて、時々掃除や換気をしていたらしい。だからこそ俺もこの家を、格安で手にいれることができたって訳だ」
母がそんなことをしていたなんて知らなかったが、面倒見のいい母のことだから、簡単に引き受けそうではあった。
「あと、ここは一番こだわった場所」
そう言うと、将仁さんが引き戸を開けた。そこは脱衣場のようで、将仁さんは進むと、中の引き戸も開く。
「わあ」
俺はつい声を漏らした。
ヒノキが一面に敷き詰められた床に、埋まるような形で、広い浴槽があった。木のいい香りが肺一杯に満ちた。
「この家、温泉が出るんだぜ。それを聞いて、夢だった檜風呂作っちまった」
「温泉ですか?すごい」
はしゃいでそう言う俺を将仁さんはじっと見つめる。
「入ってみるか?」
「いいんですか?」
「ああ。もう使えるようにしてあるんだ。実際入浴するのは初めてだがな」
そこまで言うと将仁さんが苦笑した。
「どうなるかも分からないのに、最初はお前と一緒に入りたいと思ってた」
そう聞いて俺の頬が勝手に赤くなった。
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