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「ちょっと、西。そんな言い方ないんじゃない。」
楓が西を睨みながら言う。
「いや、言わせてもらう。俺は正直呆れてるね。お前、御剣が自分にどんなことしたか忘れたのかよ。あんなボロボロになって逃げるみたいに海外行ったのだって、あいつのせいだろ。」
俺は更に俯き、下唇を噛んだ。
「俺も反対だな。」
準もそう言うと、持っていたジョッキを叩きつけるように机に置いた。
「優にしたこともそうだし、あんな乱暴な奴とまた付き合うなんて絶対にやめたほうがいい。」
「乱暴?」
怜雄は過去に暴力的だったことはあるようだが、俺と付き合っていた時も別れてからもそんなところは全く見えなかった。
準の言葉に俺は首を傾げた。
「優が留学してすぐ御剣、彼女と別れて、それから卒業までずっと変な雰囲気だったんだ。今まで仲の良かった結城や西條とも距離を置いて、いつも酒臭かったし。大学で暴力沙汰を起こしたのも、一度や二度じゃなかった。良く無事卒業できたなって感じ。」
「どうせ校長に便宜図ってもらったんだろ。」
準がきっぱりと言い切る。
「暴力騒ぎ起こしては、何度も停学にくらってたんだぜ、あいつ。授業中も教授と言い争いになったり。こっちはいい迷惑だった。…優、まさか御剣に殴られたりはしてないよな?」
準の口調が真剣だったから、俺も慌てて否定した。
「殴られるなんて、あるわけない。大学の時そんなことがあったって、信じられないくらい、怜雄今真面目に働いてるよ。」
俺の言葉に準が目を見開いて「本当かよ。」と呟く。
俺たちの間に気まずい沈黙が落ちる。
「あのさ。」
楓が意を決したように口を開いた。
「西と準が言うことも分かるけど、俺は御剣と優のこと応援したい。」
楓は赤いサワーをぐびっと飲み干すとぷはっと息を吐いた。
「だって御剣、優が居なくなった後、すごく辛そうだったよ。全然笑わないし、いっつも一人でさ。俺、あいつが何だか自分に罰を与えてるみたいにみえた。そりゃ、優にしたことを思えば、俺も一発殴ってやりたいとこだけど。でもやっぱり御剣には優が必要なんじゃないかって、ずっとそう思ってた。だからもし、もしも優も御剣の傍にいたいって思ってるんだったら、俺は応援したいっ。」
楓はそこまで話すと俺の方をぱっと向いて、俺の右手を両手で握った。
「あっ、でも俺はもちろん優の味方だから。優のこと無理やり御剣が襲ってるんなら何としても止めるし、警察に通報するし…。」
そう言う楓の手は熱く、顔は酔っているのか真っ赤だった。
俺はそんな楓に苦笑しながらも有り難い気持ちでいっぱいだった。
「いや、襲われてないから、大丈夫。」
「何、じゃあ、優も納得してエッチしてんの?」
西の直球の問いに俺は「うん、まあ。」と曖昧にしか答えられなかった。
「ああ、もうめんどくせえなあ。さっさとより戻せよ。」
「西。」
準が西に厳しい視線を向ける。
「だってさ、仕方ねえだろ。俺は楓と一緒で優の味方だからさ。その優があんな馬鹿ちんの御剣が好きだって言うなら、応援する以外ないじゃん。」
「俺だって優の味方だけど…。」
準が唇を噛み言う。
「みんな心配かけてごめん。俺、このままじゃいけないの分かってんだ。けど、また付き合って真昼ちゃんの時みたいになるの怖いし。でも離れる決心もつかなくて…。」
俺は自分で話していても自分の優柔不断さに嫌気がさした。
「離れらんねえなら、くっつくしかないじゃん。」
西があっさりそう言った。
「優。うじうじ考えてんなよ。らしくねえな。お前は本能と直感の男だろ。」
西がにやりと笑って俺に言う。
俺はふっと笑って「だな。」と言った。
「なんか反対してる俺が悪役みたいになる流れはやめてくれ。」
準がどんよりとそう言うので俺達三人は声を出して笑った。
楓が西を睨みながら言う。
「いや、言わせてもらう。俺は正直呆れてるね。お前、御剣が自分にどんなことしたか忘れたのかよ。あんなボロボロになって逃げるみたいに海外行ったのだって、あいつのせいだろ。」
俺は更に俯き、下唇を噛んだ。
「俺も反対だな。」
準もそう言うと、持っていたジョッキを叩きつけるように机に置いた。
「優にしたこともそうだし、あんな乱暴な奴とまた付き合うなんて絶対にやめたほうがいい。」
「乱暴?」
怜雄は過去に暴力的だったことはあるようだが、俺と付き合っていた時も別れてからもそんなところは全く見えなかった。
準の言葉に俺は首を傾げた。
「優が留学してすぐ御剣、彼女と別れて、それから卒業までずっと変な雰囲気だったんだ。今まで仲の良かった結城や西條とも距離を置いて、いつも酒臭かったし。大学で暴力沙汰を起こしたのも、一度や二度じゃなかった。良く無事卒業できたなって感じ。」
「どうせ校長に便宜図ってもらったんだろ。」
準がきっぱりと言い切る。
「暴力騒ぎ起こしては、何度も停学にくらってたんだぜ、あいつ。授業中も教授と言い争いになったり。こっちはいい迷惑だった。…優、まさか御剣に殴られたりはしてないよな?」
準の口調が真剣だったから、俺も慌てて否定した。
「殴られるなんて、あるわけない。大学の時そんなことがあったって、信じられないくらい、怜雄今真面目に働いてるよ。」
俺の言葉に準が目を見開いて「本当かよ。」と呟く。
俺たちの間に気まずい沈黙が落ちる。
「あのさ。」
楓が意を決したように口を開いた。
「西と準が言うことも分かるけど、俺は御剣と優のこと応援したい。」
楓は赤いサワーをぐびっと飲み干すとぷはっと息を吐いた。
「だって御剣、優が居なくなった後、すごく辛そうだったよ。全然笑わないし、いっつも一人でさ。俺、あいつが何だか自分に罰を与えてるみたいにみえた。そりゃ、優にしたことを思えば、俺も一発殴ってやりたいとこだけど。でもやっぱり御剣には優が必要なんじゃないかって、ずっとそう思ってた。だからもし、もしも優も御剣の傍にいたいって思ってるんだったら、俺は応援したいっ。」
楓はそこまで話すと俺の方をぱっと向いて、俺の右手を両手で握った。
「あっ、でも俺はもちろん優の味方だから。優のこと無理やり御剣が襲ってるんなら何としても止めるし、警察に通報するし…。」
そう言う楓の手は熱く、顔は酔っているのか真っ赤だった。
俺はそんな楓に苦笑しながらも有り難い気持ちでいっぱいだった。
「いや、襲われてないから、大丈夫。」
「何、じゃあ、優も納得してエッチしてんの?」
西の直球の問いに俺は「うん、まあ。」と曖昧にしか答えられなかった。
「ああ、もうめんどくせえなあ。さっさとより戻せよ。」
「西。」
準が西に厳しい視線を向ける。
「だってさ、仕方ねえだろ。俺は楓と一緒で優の味方だからさ。その優があんな馬鹿ちんの御剣が好きだって言うなら、応援する以外ないじゃん。」
「俺だって優の味方だけど…。」
準が唇を噛み言う。
「みんな心配かけてごめん。俺、このままじゃいけないの分かってんだ。けど、また付き合って真昼ちゃんの時みたいになるの怖いし。でも離れる決心もつかなくて…。」
俺は自分で話していても自分の優柔不断さに嫌気がさした。
「離れらんねえなら、くっつくしかないじゃん。」
西があっさりそう言った。
「優。うじうじ考えてんなよ。らしくねえな。お前は本能と直感の男だろ。」
西がにやりと笑って俺に言う。
俺はふっと笑って「だな。」と言った。
「なんか反対してる俺が悪役みたいになる流れはやめてくれ。」
準がどんよりとそう言うので俺達三人は声を出して笑った。
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