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2章 邪月の都ルナ
38.訓練
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この屋敷に来て一年が経った。
お嬢様は最初俺と話す時は少し緊張していたが、だんだん慣れて話せるようになった。
それにお友達を呼ぶこともあって旦那様と奥様はかなり喜んでいた。
お友達は風人のアリアと人間のミヤビだ。
その人は魔力主義ではなかったため俺も安心したが、あの二人も俺の事を少し疑っていたが、俺の事を見て安心された。
マァ、最初は疑っていたが今では信頼して仲良くなっている。
しかしいくら良くなっても外を眺めたりせずに本を読んでいた、ゆっくりでもいいから改善させたらいいだろう。
それとアリスが俺の事を心配して、魔術師学校を飛び出させないように、ヴィンセントとリーベット先生が誤魔化してくれている。
あの二人には感謝だな。
最近は午前がお嬢様のお世話とお茶会で、午後はというと――。
「ウオォォォォォォ! 水斬!」
「中々良い太刀筋だが……刃壁!」
――カイン様と戦闘訓練だ。
俺が木刀で初級剣術系戦技水斬を放つ、しかしカイン様は生命武装紅の禍月で初級剣術系戦技刃壁を防ぐ。
同じ初級だが瞬時に防いだ反応速度に感心してしまう。
「凄いですね、ですが……」
ならばこっちも思い、俺は木刀を少し捻って上に揚げて叫ぶ。
「これならどうですか? 昇竜斬!」
「――ッ!?」
俺は下級剣術戦技昇竜斬を放つ、するとカイン様は少し後ろに下がって紅の禍月を構えなおす。
隙を突いて下級剣術系戦技牙突を鳩尾に目掛けて放つ、カイン様も対抗しようと下級剣術系戦技風雅を放つ。
互いに当たろうと――。
「二人ともそこまでだ!」
突如謎の野太い声が聞こえて俺とカイン様は武器を下ろす。
俺は野太い声の方に振り向いて言う。
「何かダメなところはあったのでしょうかウォーロックさん?」
俺はウォーロックさんと呼びかける男に聞く、その姿は一目見たらほぼ狼に見間違いそうな狼人《ウルズ》の男だ。
ウォーロックさんは俺の改善点を伝える。
「アレスよ、お前の太刀筋は中々良いものだ。だが剣術に長けている者と戦うなら、相手が予想しない行動を起こして混乱した方が得策だ」
「成る程……」
俺は勉強になりそうなことに感心しながら頷く。
日本にいたころは運動系の部じゃなく帰宅部だったから鍛えずに勉強し続けた。
それであの時に抵抗しようとするが、瞬時に抑えられたからな。
お嬢様を守る役割を与えられた俺にとってありがたい言葉だ、だから少しも聞き逃せない様に集中する。
戦闘訓練するようになったのは一週間前で、俺がいつも通りに徹夜でお茶会の下準備をしていると時に出会った。
最初は少し疑ったが、お嬢様のなついているのを見てこの人はいい人だろうと感じた、ウォーロックさんは俺を見て訓練に誘った。
少し迷ったがお嬢様のためなら思って参加した。
最初は少しきつかったが、徐々に慣れて今では実践訓練をするようになった。
休憩している時にウォーロックさんが少し助言する。
「アレス、この実践訓練は-B魔術師に通用できる……しかしそれは良くても-Aまでだ」
ウォーロックさんは感慨深そうに言う。
一体どういう事だろう? そう思いながら聞く。
どうやら+A以上だと普通の法則だと考えられないことが可能で、例えば旦那様の場合細かい魔術が出来ず、膨大な魔力を鎧のように纏って強靭な生命武装として認定されて、ルナや純吸血鬼から〈闘気鬼神〉と呼ばれている。
ウォーロックさんやカイン様も一度戦った事はあるが、ものすごく歯が立てずにいられた。
しかし本当だろうか? さすがにそんな摩訶不思議な事なんてあるのか?
何てそう思いながら胡散臭がっていると、カイン様が少し呆れながら言う。
「そこまで言うなら自分の身で試してみろ……」
一体どう言う事だ? なんて思っていると奥から旦那様が大声でやって来る。
「まさか我と訓練するとは中々良い努力家じゃないか!」
嘘だろ!? ジョークで言った事がまさか本当になるなんて思いもしなかった。
しかし油断しない事と今までの訓練のたまものを頭に入れれば大丈夫だろう。
そう思いながら旦那様の前に立つ、少し離れた場所でウォーロックさんとカイン様が見る。
ちなみに勝利条件は十秒間逃げ続ければ勝ちだ。
少しだけシンとした空気が流れる、そしてそよ風が吹くと同時に俺は一気に旦那様の背後に回る。
魔力量は奴隷級だが自作魔法の俊敏と剛力を合わせて、肉体能力を強化しているから少しくらいは大丈夫だろう。
しかし貴族でもさすがの歴戦者だ、旦那様は片腕を強く握りしめて後ろに振り回す。
俺はギリギリで回避したが、ものすごく背筋から大量の冷や汗を感じ出す。
オイオイ、確かあまり戦って無いんだよな? なのに何でこんなに強いんだよ!
あまりの強さに呆れてしまうが、離れても瞬時に近づかれるの事を感じて、こっちから近づく。
「ホホゥ……」
旦那様は予想外な事を感じてん目を細めながら、ファイティングポーズを構える。
俺は無詠唱で無剣を生み出して初級と下級剣術系戦技を旦那様に向けて放つ。
旦那様もその連撃を防ぐ、これなら――。
そう持っていたのがつかの間だった。
「フゥゥゥン!」
「ナッ――!?」
旦那様は目にも見えぬ早業で無剣を打ち消し、流れるように腹部に拳を撃ち込む。
俺はあまりの出鱈目さに驚いてしまい、そのまま拳を食らって生やしに吹き飛ばされてしまう。
「おいアレス! しっかりしろ!」
「待ってろ、今すぐ治癒してやるから気を保て!」
カイン様とウォーロックさんが近寄って来るが俺は少しだけ思った。
こんなのほぼ無理ゲーだろ……。
お嬢様は最初俺と話す時は少し緊張していたが、だんだん慣れて話せるようになった。
それにお友達を呼ぶこともあって旦那様と奥様はかなり喜んでいた。
お友達は風人のアリアと人間のミヤビだ。
その人は魔力主義ではなかったため俺も安心したが、あの二人も俺の事を少し疑っていたが、俺の事を見て安心された。
マァ、最初は疑っていたが今では信頼して仲良くなっている。
しかしいくら良くなっても外を眺めたりせずに本を読んでいた、ゆっくりでもいいから改善させたらいいだろう。
それとアリスが俺の事を心配して、魔術師学校を飛び出させないように、ヴィンセントとリーベット先生が誤魔化してくれている。
あの二人には感謝だな。
最近は午前がお嬢様のお世話とお茶会で、午後はというと――。
「ウオォォォォォォ! 水斬!」
「中々良い太刀筋だが……刃壁!」
――カイン様と戦闘訓練だ。
俺が木刀で初級剣術系戦技水斬を放つ、しかしカイン様は生命武装紅の禍月で初級剣術系戦技刃壁を防ぐ。
同じ初級だが瞬時に防いだ反応速度に感心してしまう。
「凄いですね、ですが……」
ならばこっちも思い、俺は木刀を少し捻って上に揚げて叫ぶ。
「これならどうですか? 昇竜斬!」
「――ッ!?」
俺は下級剣術戦技昇竜斬を放つ、するとカイン様は少し後ろに下がって紅の禍月を構えなおす。
隙を突いて下級剣術系戦技牙突を鳩尾に目掛けて放つ、カイン様も対抗しようと下級剣術系戦技風雅を放つ。
互いに当たろうと――。
「二人ともそこまでだ!」
突如謎の野太い声が聞こえて俺とカイン様は武器を下ろす。
俺は野太い声の方に振り向いて言う。
「何かダメなところはあったのでしょうかウォーロックさん?」
俺はウォーロックさんと呼びかける男に聞く、その姿は一目見たらほぼ狼に見間違いそうな狼人《ウルズ》の男だ。
ウォーロックさんは俺の改善点を伝える。
「アレスよ、お前の太刀筋は中々良いものだ。だが剣術に長けている者と戦うなら、相手が予想しない行動を起こして混乱した方が得策だ」
「成る程……」
俺は勉強になりそうなことに感心しながら頷く。
日本にいたころは運動系の部じゃなく帰宅部だったから鍛えずに勉強し続けた。
それであの時に抵抗しようとするが、瞬時に抑えられたからな。
お嬢様を守る役割を与えられた俺にとってありがたい言葉だ、だから少しも聞き逃せない様に集中する。
戦闘訓練するようになったのは一週間前で、俺がいつも通りに徹夜でお茶会の下準備をしていると時に出会った。
最初は少し疑ったが、お嬢様のなついているのを見てこの人はいい人だろうと感じた、ウォーロックさんは俺を見て訓練に誘った。
少し迷ったがお嬢様のためなら思って参加した。
最初は少しきつかったが、徐々に慣れて今では実践訓練をするようになった。
休憩している時にウォーロックさんが少し助言する。
「アレス、この実践訓練は-B魔術師に通用できる……しかしそれは良くても-Aまでだ」
ウォーロックさんは感慨深そうに言う。
一体どういう事だろう? そう思いながら聞く。
どうやら+A以上だと普通の法則だと考えられないことが可能で、例えば旦那様の場合細かい魔術が出来ず、膨大な魔力を鎧のように纏って強靭な生命武装として認定されて、ルナや純吸血鬼から〈闘気鬼神〉と呼ばれている。
ウォーロックさんやカイン様も一度戦った事はあるが、ものすごく歯が立てずにいられた。
しかし本当だろうか? さすがにそんな摩訶不思議な事なんてあるのか?
何てそう思いながら胡散臭がっていると、カイン様が少し呆れながら言う。
「そこまで言うなら自分の身で試してみろ……」
一体どう言う事だ? なんて思っていると奥から旦那様が大声でやって来る。
「まさか我と訓練するとは中々良い努力家じゃないか!」
嘘だろ!? ジョークで言った事がまさか本当になるなんて思いもしなかった。
しかし油断しない事と今までの訓練のたまものを頭に入れれば大丈夫だろう。
そう思いながら旦那様の前に立つ、少し離れた場所でウォーロックさんとカイン様が見る。
ちなみに勝利条件は十秒間逃げ続ければ勝ちだ。
少しだけシンとした空気が流れる、そしてそよ風が吹くと同時に俺は一気に旦那様の背後に回る。
魔力量は奴隷級だが自作魔法の俊敏と剛力を合わせて、肉体能力を強化しているから少しくらいは大丈夫だろう。
しかし貴族でもさすがの歴戦者だ、旦那様は片腕を強く握りしめて後ろに振り回す。
俺はギリギリで回避したが、ものすごく背筋から大量の冷や汗を感じ出す。
オイオイ、確かあまり戦って無いんだよな? なのに何でこんなに強いんだよ!
あまりの強さに呆れてしまうが、離れても瞬時に近づかれるの事を感じて、こっちから近づく。
「ホホゥ……」
旦那様は予想外な事を感じてん目を細めながら、ファイティングポーズを構える。
俺は無詠唱で無剣を生み出して初級と下級剣術系戦技を旦那様に向けて放つ。
旦那様もその連撃を防ぐ、これなら――。
そう持っていたのがつかの間だった。
「フゥゥゥン!」
「ナッ――!?」
旦那様は目にも見えぬ早業で無剣を打ち消し、流れるように腹部に拳を撃ち込む。
俺はあまりの出鱈目さに驚いてしまい、そのまま拳を食らって生やしに吹き飛ばされてしまう。
「おいアレス! しっかりしろ!」
「待ってろ、今すぐ治癒してやるから気を保て!」
カイン様とウォーロックさんが近寄って来るが俺は少しだけ思った。
こんなのほぼ無理ゲーだろ……。
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