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2章 邪月の都ルナ
37.サーチアイ
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しばらくして妹様がいる部屋に着くと、そこにはカイン様がいた。
カイン様は俺に気付くと俺の方に向く。
「着替えはすましたんだな」
「ハイ、ところで旦那様と奥様は?」
「父さんと母さんは妹と少し話し合っている」
カイン様はそう言うと、少しだけ苦虫をかみ潰したような表情になる。
一体何が起きたんだ?
そう思いながら部屋に入る、部屋の中は応接間より少し広めで壁にはクマさん人形が置いてある。
見た所ひとり部屋らしいが、ダブルベッドの上に布団を覆い被っている子どもと、その子供と話している旦那様と奥様にカイン様がいた。
カイン様が俺に気付くと、布団に隠れている子供に話しかける。
「さっき話した子だ、挨拶するんだ」
「……」
布団に隠れている子供は少しためらう動きを見せたが、勇気を振り絞ったのか少しずつ布団から姿を現す。
俺は子どもの姿を見て言葉を無くす。
子どもの姿は奥様譲りの白銀のスーパーロング、少し弱々しさがある目つき、右は炎のように紅いルビーで翠玉のように淡い緑の瞳、子ども特有の小柄な体格、赤と黒を混ぜたゴスロリ少女だ。
分かりやすく言えば可憐な蝶の精霊かと思わせるくらい綺麗だ。
俺はあまりの美しさに言葉を無くしてしまうが、ハッと我にかえって挨拶をする。
「は、初めましてお嬢様。俺じゃなくて……僕はアレスです」
俺はサラリーマン時代の口調であいさつする、するとお嬢様が首を傾げながら言う。
「あのう失礼かもしれませんが……なぜ男性なのにメイド服を着ているのですか?」
「「……え?」」
シャロンさんとフォルトさんはあっけない声を出しながら俺の方に向く。
ちなみに背筋に冷や汗が流れている。どうして男だと分かったのか知らないが、俺は少し引きつった笑みで答える。
「えっと……お嬢様の言う通り僕は男です」
俺はサラリーマンの時の一人称で答える、すると旦那様は豪快に笑いながら頭を掻く。
「ハッハッハ! まさか女かと思っていたら男だったとは、うっかり間違えてしまった」
エエエエ!? 俺は心の中で驚いていると奥様が呑気に微笑んでいた。
「あらあら~、だから抱いたときに顔を真っ赤したのね~」
奥様が呑気に微笑んでいると、フォルトさんが驚きながら叫ぶ。
「アレス殿は女性じゃなかったのでしたか!?」
「男らしいなとは思っていましたが……まさかの男だったとは」
シャロンさんが口を押えながら驚いているが、カイン様に至っては呆れまくっていた。
「やっぱり……マァ、俺は分かっていたけど」
「エエ! 知っていたなら教えてくださいよ!」
フォルトさんが叫んで突っ込んでいる、お嬢様が俺の事をじっと見てきて少しだけ笑みを向ける。
するとお嬢様はハッと気づくと顔を真っ赤に染めて布団に隠れる。
あらやだ、お嬢様が恥ずかしがっているの滅茶苦茶可愛いんだけど。
そう思いながら微笑んでいると、シャロンさんが肩を強くつかんで耳に呟く。
「(もしお嬢様に変な感情を向けるとどうなるか分かってますよね?)」
「(ハイ……分かりました)」
俺は脂汗を掻きながら、ミシミシとなっている方に目をそらして答える。
この人もしかしたら俺が男だから何をしでかすか疑っているんだな、それについては分からなくもないな。
もし俺がお嬢様の父親だったら、変な奴が来たら返り討ちにしていたのだろう。
その後は旦那様と奥様は事務仕事、カイン様は屋敷にある鍛錬場、俺は今後の内容についての説明と軽くサポートをした。
▲▽▲▽▲▽
この屋敷に住みこんでから三日が経った。
最初はサラリーマン時代のように酷使されると思っていた、だが想像とは裏腹にここは奴隷だとしても優しく接してくる。
俺が男だと知ったフォルトさんが、自作で俺の執事服を作成してくれた。
なんでも「男性なのに女性だと勘違いしたのに、何もしないのは良くなかったので……」と言って作ってくれたとか。
あれから何度もお嬢様に話しかけているけど、俺が話しかけるとものすごく緊張して布団に隠れて震えていた。
あれはよほど人見知りだな、それにしても何で俺が男だと見抜いたんだ?
シャロンさんに聞くとどうやら天授〈探知眼〉いう能力を持っていて、言葉通り相手の行動や能力、さらに闇夜の中でも探知で見つける事ができる。
話を聞けば強力そうに見えるが、どうやら魔力量が俺と同じ奴隷級でそのせいで教師ぐるみのいじめが横行するようになった。
お嬢様がいじめに耐え切れず自殺しようとするが、カイン様に止められて引きこもるようになった。
ちなみにお嬢様をいじめた連中はしっかりと報いを受けている。
俺も昔いじめられたこともあるからその気持ちについては分かる、しかし今はアレスとして生きているから共感させるのは難しい。
一体どうすれば良いか迷っている時にシャロンさんがいきなり手を掴んでくる。いきなりの事で分からずに連れて行かれてしまう。
そうして連れてこられた場所はキッチンであった。
一体何をするんだろうと思っていると、シャロンさんは淡々とお嬢様について説明する。
「お嬢様は大の甘党です。もし仲良くするなら甘味を作ることを推奨します」
「わ、分かりました……」
俺はそう言ってお菓子作りを始める。
お菓子作りは久々だけど、料理を作るのと少し似ていた。一応一人暮らしだが親があれだから何度も料理を作って配達したんだっけ?
いや、やめておこう。下手すれば久住《くすみ》の顔が浮かび上がって殺意が上がるかもしれないからだ。
そうしてお菓子作りを始めて数分経つ、ようやく完成した物をお皿に乗せてお嬢様の元に運ぶ。
お嬢様の部屋に着いて扉を軽くたたく、しかし少し待っても反応せず、どうしたのだろうか少しだけ開ける。
中を見てもお嬢様の姿が無くて仕方がなく入る。
するとお嬢様はダブルベッドの上でクマさん人形を抱きながらすやすやと寝ていた。
俺はそのお人形のように可愛い寝顔をもう少し見て見いたいが、シャロンさんに殺されることを恐れて起こす。
「お嬢様、起きてください」
「ウニュ……」
お嬢様は少し変な声を出しながら起き上がる、目をこすりながら周りを見て、俺に気付くと雪のように白い肌が真っ赤に染め始めて叫び布団に隠れる。
「フエェェェェぇェェ!?」
叫び声も可愛いが俺はそんなR-18G禁プレイは好んでいない。
俺は布団に隠れて震えているお嬢様に優しく話しかける。
「えっとお嬢様、返事が無くて勝手に入ったことはすみません。ですがこれは僕からの贈り物です」
そう言いながらお皿を前に出す、するとお嬢様は顔を出してお皿をじっと見る。
アッ、お嬢様が顔だけ出しているからか、なぜかシマエナガに見える。
俺はお皿に置いてある蓋を取ると、お嬢様は目をキラキラと輝きだす。
それもそのはずなんだって子供が喜びそうな物〈プリン〉を作ったからだ。
日本にいたころ久住に何度もパしられて作ったから腕は大丈夫だろう。
お嬢様は少しだけ匂いを嗅いだら、スプーンですくって食べる、すると目を輝かせる。
よしっ! 成功だ。
俺が心の中で喜んでいると、お嬢様が裾を引っ張って聞いてくる。
「あの……このお菓子まだありますか?」
「すみません。もし苦手だったらと思いまして一個だけ作っていました」
俺は苦笑いで答えると、お嬢様は少しだけガッカリとした。
「でもプリンを気に入ったのでしたらまた作ります」
「本当ですか!」
そう言うとお嬢様は目を輝きながらグイグイと近づいてくる。まさかプリンはココにはあるかと思っていたがまさかないなんてな。
だけどこれで信頼してくれたな。
その後はグイグイと来るお嬢様をなだめて他の仕事を終えて就寝した。
カイン様は俺に気付くと俺の方に向く。
「着替えはすましたんだな」
「ハイ、ところで旦那様と奥様は?」
「父さんと母さんは妹と少し話し合っている」
カイン様はそう言うと、少しだけ苦虫をかみ潰したような表情になる。
一体何が起きたんだ?
そう思いながら部屋に入る、部屋の中は応接間より少し広めで壁にはクマさん人形が置いてある。
見た所ひとり部屋らしいが、ダブルベッドの上に布団を覆い被っている子どもと、その子供と話している旦那様と奥様にカイン様がいた。
カイン様が俺に気付くと、布団に隠れている子供に話しかける。
「さっき話した子だ、挨拶するんだ」
「……」
布団に隠れている子供は少しためらう動きを見せたが、勇気を振り絞ったのか少しずつ布団から姿を現す。
俺は子どもの姿を見て言葉を無くす。
子どもの姿は奥様譲りの白銀のスーパーロング、少し弱々しさがある目つき、右は炎のように紅いルビーで翠玉のように淡い緑の瞳、子ども特有の小柄な体格、赤と黒を混ぜたゴスロリ少女だ。
分かりやすく言えば可憐な蝶の精霊かと思わせるくらい綺麗だ。
俺はあまりの美しさに言葉を無くしてしまうが、ハッと我にかえって挨拶をする。
「は、初めましてお嬢様。俺じゃなくて……僕はアレスです」
俺はサラリーマン時代の口調であいさつする、するとお嬢様が首を傾げながら言う。
「あのう失礼かもしれませんが……なぜ男性なのにメイド服を着ているのですか?」
「「……え?」」
シャロンさんとフォルトさんはあっけない声を出しながら俺の方に向く。
ちなみに背筋に冷や汗が流れている。どうして男だと分かったのか知らないが、俺は少し引きつった笑みで答える。
「えっと……お嬢様の言う通り僕は男です」
俺はサラリーマンの時の一人称で答える、すると旦那様は豪快に笑いながら頭を掻く。
「ハッハッハ! まさか女かと思っていたら男だったとは、うっかり間違えてしまった」
エエエエ!? 俺は心の中で驚いていると奥様が呑気に微笑んでいた。
「あらあら~、だから抱いたときに顔を真っ赤したのね~」
奥様が呑気に微笑んでいると、フォルトさんが驚きながら叫ぶ。
「アレス殿は女性じゃなかったのでしたか!?」
「男らしいなとは思っていましたが……まさかの男だったとは」
シャロンさんが口を押えながら驚いているが、カイン様に至っては呆れまくっていた。
「やっぱり……マァ、俺は分かっていたけど」
「エエ! 知っていたなら教えてくださいよ!」
フォルトさんが叫んで突っ込んでいる、お嬢様が俺の事をじっと見てきて少しだけ笑みを向ける。
するとお嬢様はハッと気づくと顔を真っ赤に染めて布団に隠れる。
あらやだ、お嬢様が恥ずかしがっているの滅茶苦茶可愛いんだけど。
そう思いながら微笑んでいると、シャロンさんが肩を強くつかんで耳に呟く。
「(もしお嬢様に変な感情を向けるとどうなるか分かってますよね?)」
「(ハイ……分かりました)」
俺は脂汗を掻きながら、ミシミシとなっている方に目をそらして答える。
この人もしかしたら俺が男だから何をしでかすか疑っているんだな、それについては分からなくもないな。
もし俺がお嬢様の父親だったら、変な奴が来たら返り討ちにしていたのだろう。
その後は旦那様と奥様は事務仕事、カイン様は屋敷にある鍛錬場、俺は今後の内容についての説明と軽くサポートをした。
▲▽▲▽▲▽
この屋敷に住みこんでから三日が経った。
最初はサラリーマン時代のように酷使されると思っていた、だが想像とは裏腹にここは奴隷だとしても優しく接してくる。
俺が男だと知ったフォルトさんが、自作で俺の執事服を作成してくれた。
なんでも「男性なのに女性だと勘違いしたのに、何もしないのは良くなかったので……」と言って作ってくれたとか。
あれから何度もお嬢様に話しかけているけど、俺が話しかけるとものすごく緊張して布団に隠れて震えていた。
あれはよほど人見知りだな、それにしても何で俺が男だと見抜いたんだ?
シャロンさんに聞くとどうやら天授〈探知眼〉いう能力を持っていて、言葉通り相手の行動や能力、さらに闇夜の中でも探知で見つける事ができる。
話を聞けば強力そうに見えるが、どうやら魔力量が俺と同じ奴隷級でそのせいで教師ぐるみのいじめが横行するようになった。
お嬢様がいじめに耐え切れず自殺しようとするが、カイン様に止められて引きこもるようになった。
ちなみにお嬢様をいじめた連中はしっかりと報いを受けている。
俺も昔いじめられたこともあるからその気持ちについては分かる、しかし今はアレスとして生きているから共感させるのは難しい。
一体どうすれば良いか迷っている時にシャロンさんがいきなり手を掴んでくる。いきなりの事で分からずに連れて行かれてしまう。
そうして連れてこられた場所はキッチンであった。
一体何をするんだろうと思っていると、シャロンさんは淡々とお嬢様について説明する。
「お嬢様は大の甘党です。もし仲良くするなら甘味を作ることを推奨します」
「わ、分かりました……」
俺はそう言ってお菓子作りを始める。
お菓子作りは久々だけど、料理を作るのと少し似ていた。一応一人暮らしだが親があれだから何度も料理を作って配達したんだっけ?
いや、やめておこう。下手すれば久住《くすみ》の顔が浮かび上がって殺意が上がるかもしれないからだ。
そうしてお菓子作りを始めて数分経つ、ようやく完成した物をお皿に乗せてお嬢様の元に運ぶ。
お嬢様の部屋に着いて扉を軽くたたく、しかし少し待っても反応せず、どうしたのだろうか少しだけ開ける。
中を見てもお嬢様の姿が無くて仕方がなく入る。
するとお嬢様はダブルベッドの上でクマさん人形を抱きながらすやすやと寝ていた。
俺はそのお人形のように可愛い寝顔をもう少し見て見いたいが、シャロンさんに殺されることを恐れて起こす。
「お嬢様、起きてください」
「ウニュ……」
お嬢様は少し変な声を出しながら起き上がる、目をこすりながら周りを見て、俺に気付くと雪のように白い肌が真っ赤に染め始めて叫び布団に隠れる。
「フエェェェェぇェェ!?」
叫び声も可愛いが俺はそんなR-18G禁プレイは好んでいない。
俺は布団に隠れて震えているお嬢様に優しく話しかける。
「えっとお嬢様、返事が無くて勝手に入ったことはすみません。ですがこれは僕からの贈り物です」
そう言いながらお皿を前に出す、するとお嬢様は顔を出してお皿をじっと見る。
アッ、お嬢様が顔だけ出しているからか、なぜかシマエナガに見える。
俺はお皿に置いてある蓋を取ると、お嬢様は目をキラキラと輝きだす。
それもそのはずなんだって子供が喜びそうな物〈プリン〉を作ったからだ。
日本にいたころ久住に何度もパしられて作ったから腕は大丈夫だろう。
お嬢様は少しだけ匂いを嗅いだら、スプーンですくって食べる、すると目を輝かせる。
よしっ! 成功だ。
俺が心の中で喜んでいると、お嬢様が裾を引っ張って聞いてくる。
「あの……このお菓子まだありますか?」
「すみません。もし苦手だったらと思いまして一個だけ作っていました」
俺は苦笑いで答えると、お嬢様は少しだけガッカリとした。
「でもプリンを気に入ったのでしたらまた作ります」
「本当ですか!」
そう言うとお嬢様は目を輝きながらグイグイと近づいてくる。まさかプリンはココにはあるかと思っていたがまさかないなんてな。
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