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2章 邪月の都ルナ
閑話 商人会会長の悩み事前編
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竹林が揺らぎ、中華民服を着た応竜人の少女は箱から一つの宝石を取って見る。それは宝石がこぼれそうくらいに、詰め込まれている。
少女の前に立つ商人は、胡麻をすりながら聞く。
「へへ、これほどの宝石を献上します。ですので私達に援助――」
「お断りしますわ」
しかし少女は商人の言葉をさえぎって宝石を投げ捨てる。宝石が地面に叩きつけられる、すると粉々に割れて白い粉が出てくる。
商人は唖然と偽物の宝石を見て焦り出し、その様子を見る少女は椅子から立ち上がる。
その姿はベビーブルーのロング、目つきはつり目であり瞳は深みがある紫紺、身長は一六十センチぐらいだろう。
少女は宝石が入っている箱を掴む、商人は焦って箱を取り返そうとする。
だが少女は早く取り上げ、それを床に散らばり落とす。箱に入っていた宝石のほとんどが砕け散った。
少女は砕け散った宝石を拾う、少し見て商人に質問する。
「石膏で模った後に、ガラスの破片を混ぜた絵の具で誤魔化した。どうですの?」
「クソッ!」
商人は吐き捨てるとこの場から去る。近くにいた使いは捕まえようするが、少女が辞めさせて工房に向かう。
少女……アリオン・ミルフィオリは工房に着くと、とびらを開けて中に入ってカギを閉める。
そして作業机に置かれている回転式拳銃と突撃銃を取り、それを捧げるようなポーズをとって言う。
「アァ……アレス様、私は必ずこの技術を取り戻して見せますわ」
彼女は神に誓うように言う、どうしてこうなったのかは今から一年前である。
アリオンはいつも通りに商人が持ってきた物を見ていた、しかしひとりの商人が持ってきた筒状の武器に、興味を持つ。
片方は小さめで暗殺者が好みそうな武器で、もう片方は中くらいで戦士が好みそうな武器だ。
「コレは何ですの? 見た所筒状のガラクタのようですけど……」
彼女はそう言いながら、筒状の武器を指さして商人に聞き、商人はその武器について説明する。
筒状の武器の名前は小さい方は回転式拳銃で、中くらいの方は突撃銃と言い、それはアレスという青年が作った武器だ。
回転式拳銃の使い方は回転弾倉に弾丸を装填して、撃鉄を下ろして引き金を引く、聞いただけ簡単かつ持ち運びやすいものだ。
突撃銃《アサルトライフル》の使い方は弾倉を本体に装填して、そのまま排莢口にあるコッキングレバーを半分引いてから引き金を引く。
アリオンは回転式拳銃の性質に感心しつつも疑問を持つ。こんなちっぽけそうなガラクタが強いのだろうか?
彼女は試し撃ちをしようと、回転式拳銃を借りて訓練場に向かう。
訓練場に着くと、彼女はさっそく商人に聞いた使い方を実践して的に向ける。
アリオンは「こーんなガラクタが強いはずはない……」と思いつつ撃鉄を下ろして引き金を引く。
引き金を引いたと同時に、銃口から弾丸を撃ちだして的を貫く。弾丸を撃ちだす衝撃でアリオンは後ろに吹き飛ばされ尻もちをつく。
アリオンは手を振るえて回転式拳銃《リボルバー》を落とす、しかし彼女はそんな事より驚愕していた。
まさかこんなすごい武器が人間の青年が作ったものなんてとても信じられない。彼女は落とした回転式拳銃を拾って商人に振り向く。
「この武器を作ったアレスというものは一体どんな人なの!?」
彼女は息を荒くしながらこの武器を作った青年について根掘り葉掘りする。
アレスという青年は、幼少期にオセロや将棋というおもちゃを作り出し、その権利を一人の商人に譲渡する、その時は魔鉄鉛で回転式拳銃を作って小鬼や悪鬼を討伐した。
青年期はその上の突撃銃を作成して+Aの妖魔王魅惑の吸血薔薇を討伐した、その後は冒険者になったがいまだ行方不明になっている。
アリオンはその話を聞いて倒れそうになるが、何とか踏ん張って気を保つ。
するとアリオンは突撃銃を取ってさっき聞いた装填方法を行って引き金を引く。しかし彼女はセミオートではなくフルオートにしていた。
引き金を引くと物凄い衝撃が彼女を襲う、それと同時に銃口から弾丸が撃ち出されるが、アリオンが鍛えていないからか、様々な方向に撃ちだされて竹を何本か撃ち砕く。
「イタァ!?」
「「会長ォォォォ!?」」
彼女は後ろに倒れ、頭を強く打たれて、血を流しながら気絶する。近くにいた召し使いが彼女に近づいて、急いで治療する。
その後は治癒魔法が間に合って意識を取り戻したら、その銃を二丁買った。
理由は単純明快、ただ気に喰わないだけだった。回転式拳銃《リボルバー》でさえ子供が作った代物に驚き、突撃銃で瀕死にされて応竜人特有のプライドをけなされたからだ。
彼女はその銃を手にするとさっそく鑑定を行って製作する。
▲▽▲▽▲▽
一年と一ヶ月が経って今では作業机に突っ伏して呟く。
「どうして、どうしてですの……?」
彼女はそう言いながら小刻みに震える、あれから何度も挑戦したがことごとく失敗している。
一応呼びかけをしているが、どれもこれも偽物ばかりでいい加減ストレスでぶっ倒れたいと思うほどだ。
それにしばらく寝て無くて、変な妖精(幻覚)が見えるようになっていた。
このままだと天に召されるのも時間の問題だ。なんとしてでも完成しなくてはそう思う気持ちがあるが、疲れがたまって動けずにいると、召し使いがアリオンに呼びかける。
「会長、魔術師学校の校長が『似ている魔法具を持っている生徒がいる』と書かれて手紙が送られました」
「何ですって!? 今すぐ向かうって校長に連絡しなさい!」
「承知いたしました」
召し使いはアリオンの命令に答え、アリオンは即座に準備を終えて魔術師学校に向かう。
少女の前に立つ商人は、胡麻をすりながら聞く。
「へへ、これほどの宝石を献上します。ですので私達に援助――」
「お断りしますわ」
しかし少女は商人の言葉をさえぎって宝石を投げ捨てる。宝石が地面に叩きつけられる、すると粉々に割れて白い粉が出てくる。
商人は唖然と偽物の宝石を見て焦り出し、その様子を見る少女は椅子から立ち上がる。
その姿はベビーブルーのロング、目つきはつり目であり瞳は深みがある紫紺、身長は一六十センチぐらいだろう。
少女は宝石が入っている箱を掴む、商人は焦って箱を取り返そうとする。
だが少女は早く取り上げ、それを床に散らばり落とす。箱に入っていた宝石のほとんどが砕け散った。
少女は砕け散った宝石を拾う、少し見て商人に質問する。
「石膏で模った後に、ガラスの破片を混ぜた絵の具で誤魔化した。どうですの?」
「クソッ!」
商人は吐き捨てるとこの場から去る。近くにいた使いは捕まえようするが、少女が辞めさせて工房に向かう。
少女……アリオン・ミルフィオリは工房に着くと、とびらを開けて中に入ってカギを閉める。
そして作業机に置かれている回転式拳銃と突撃銃を取り、それを捧げるようなポーズをとって言う。
「アァ……アレス様、私は必ずこの技術を取り戻して見せますわ」
彼女は神に誓うように言う、どうしてこうなったのかは今から一年前である。
アリオンはいつも通りに商人が持ってきた物を見ていた、しかしひとりの商人が持ってきた筒状の武器に、興味を持つ。
片方は小さめで暗殺者が好みそうな武器で、もう片方は中くらいで戦士が好みそうな武器だ。
「コレは何ですの? 見た所筒状のガラクタのようですけど……」
彼女はそう言いながら、筒状の武器を指さして商人に聞き、商人はその武器について説明する。
筒状の武器の名前は小さい方は回転式拳銃で、中くらいの方は突撃銃と言い、それはアレスという青年が作った武器だ。
回転式拳銃の使い方は回転弾倉に弾丸を装填して、撃鉄を下ろして引き金を引く、聞いただけ簡単かつ持ち運びやすいものだ。
突撃銃《アサルトライフル》の使い方は弾倉を本体に装填して、そのまま排莢口にあるコッキングレバーを半分引いてから引き金を引く。
アリオンは回転式拳銃の性質に感心しつつも疑問を持つ。こんなちっぽけそうなガラクタが強いのだろうか?
彼女は試し撃ちをしようと、回転式拳銃を借りて訓練場に向かう。
訓練場に着くと、彼女はさっそく商人に聞いた使い方を実践して的に向ける。
アリオンは「こーんなガラクタが強いはずはない……」と思いつつ撃鉄を下ろして引き金を引く。
引き金を引いたと同時に、銃口から弾丸を撃ちだして的を貫く。弾丸を撃ちだす衝撃でアリオンは後ろに吹き飛ばされ尻もちをつく。
アリオンは手を振るえて回転式拳銃《リボルバー》を落とす、しかし彼女はそんな事より驚愕していた。
まさかこんなすごい武器が人間の青年が作ったものなんてとても信じられない。彼女は落とした回転式拳銃を拾って商人に振り向く。
「この武器を作ったアレスというものは一体どんな人なの!?」
彼女は息を荒くしながらこの武器を作った青年について根掘り葉掘りする。
アレスという青年は、幼少期にオセロや将棋というおもちゃを作り出し、その権利を一人の商人に譲渡する、その時は魔鉄鉛で回転式拳銃を作って小鬼や悪鬼を討伐した。
青年期はその上の突撃銃を作成して+Aの妖魔王魅惑の吸血薔薇を討伐した、その後は冒険者になったがいまだ行方不明になっている。
アリオンはその話を聞いて倒れそうになるが、何とか踏ん張って気を保つ。
するとアリオンは突撃銃を取ってさっき聞いた装填方法を行って引き金を引く。しかし彼女はセミオートではなくフルオートにしていた。
引き金を引くと物凄い衝撃が彼女を襲う、それと同時に銃口から弾丸が撃ち出されるが、アリオンが鍛えていないからか、様々な方向に撃ちだされて竹を何本か撃ち砕く。
「イタァ!?」
「「会長ォォォォ!?」」
彼女は後ろに倒れ、頭を強く打たれて、血を流しながら気絶する。近くにいた召し使いが彼女に近づいて、急いで治療する。
その後は治癒魔法が間に合って意識を取り戻したら、その銃を二丁買った。
理由は単純明快、ただ気に喰わないだけだった。回転式拳銃《リボルバー》でさえ子供が作った代物に驚き、突撃銃で瀕死にされて応竜人特有のプライドをけなされたからだ。
彼女はその銃を手にするとさっそく鑑定を行って製作する。
▲▽▲▽▲▽
一年と一ヶ月が経って今では作業机に突っ伏して呟く。
「どうして、どうしてですの……?」
彼女はそう言いながら小刻みに震える、あれから何度も挑戦したがことごとく失敗している。
一応呼びかけをしているが、どれもこれも偽物ばかりでいい加減ストレスでぶっ倒れたいと思うほどだ。
それにしばらく寝て無くて、変な妖精(幻覚)が見えるようになっていた。
このままだと天に召されるのも時間の問題だ。なんとしてでも完成しなくてはそう思う気持ちがあるが、疲れがたまって動けずにいると、召し使いがアリオンに呼びかける。
「会長、魔術師学校の校長が『似ている魔法具を持っている生徒がいる』と書かれて手紙が送られました」
「何ですって!? 今すぐ向かうって校長に連絡しなさい!」
「承知いたしました」
召し使いはアリオンの命令に答え、アリオンは即座に準備を終えて魔術師学校に向かう。
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