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33 心菜のノート

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「そーだな、20点アップは高梨限定かもな。………でもこのノート、本当にスゲーな。優しさを感じるよ」
「? なんで?」

 立花の褒め殺そうとするかのような言葉に、心菜は首を傾げて質問した。何故ちょっと綺麗めにまとめたノートを見せただけで優しさを感じると言われなければならないのだろうか。不思議すぎる。

「高梨の為だけにこんなに細かく丁寧に書いてんだろ?」
「ふぇ!?」

 心菜は小さく悲鳴を上げた。

「ご丁寧なことに、親切丁寧な振り仮名までふった挙句、所々に注目点と着眼点、それから高梨が好きな漫画やらなんやらへの置き換えまで書いてある。時々イラストを交えることで飽きを防止する効果まで突っ込んどいて、まーだしらを切るつもりか?これ、高梨の為に作ったノートだろう?」

 立花はやっぱり意地悪だ。気づかなくていいことにいちいち気がついて、指摘してくる。ここ数日過ごしただけで感じるこの感じ、本当に危険だ。心菜はぎゅっとくちびるを結んで、プイッと視線を明後日の方向に向けた。

「そーなの!?ここな!!」
「………………」
「ほーら、言えよ。大事な親友のために作りましたって」
「………………」
「ここなー!!」
「久遠ー!!」

 心菜は無視し続けた。いずれ諦めてくれると信じて。けれど、沈黙は長く長く続いた。2人の視線に耐え切れなくなった心菜は、泣きたい気分なのをぐっと我慢して立花をキッ!と睨みつけた。全ての元凶はコイツなのだから、睨みつけるのは当然だろう。

「………もう、ノート貸さない」
「え!?ここな!?」
「く、久遠!?」
「貸さない!!貸さないものは貸さないの!!」

 心菜は立花からノートを奪って帰ろうとしたが、フラペチーノとスコーンが残っていることに気がつき、一旦食事を終わらせることにした。

 ーーーもぐもぐごっくん、あむあむごっくん

 美味しいものを食べると頬が緩んでしまうが、やっぱりお残しして帰りたくない。心菜は全てを食べた後に手を合わせた。

「ごちそうさまでした。
 ………立花、ノート返して。私、帰る」
「………ーーーっ、ぐふっ、にゃははははははっ!!にゃははっ、にゃはははははははは!!」
「な、なによ!?」
「いや、お子さまだなーって」
「はあ!?」
「これは明日返す」

 立花は心菜のノートを自分の鞄にしまった。そして、全てを食べて飲み終わったプレートに心菜の空になったカップとスコーンの下に敷いていた紙を乗せて立ち上がった。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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