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42 頭痛と胃痛

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 そうこうみんなで笑いながら歩いていると、スーパーに到着してしまった。

「じゃあ、ここからは4:2に分かれましょう。おそらくそちらの方が効率的です」
「そうだな。女チーム、男チームでいいか?」

 門川の提案に、新谷がうんうん頷いた。

「分かった。じゃあ15分後に入り口集合で」

 心菜の言葉で、みんな散り散りになって欲しいもののある棚の方に向かった。心菜はぎゅうっと背伸びをしてから優奈の方を向いた。

「行こっか」
「そーだね」

 優奈は返事の後、心菜の手を引っ張って歩き始めた。心菜の迷子防止だ。

「いつの間にか門川と仲良くなってるね。意外だよ」
「ちょっと前に本のお話で熱くなってね。ほら、国語の先生に注意されたやつ」
「あぁ!カフェ行った日の!!」

 優奈は理解してスッキリしたのか、ふむふむと頷いていた。
 だから、心菜はちょっと油断している優奈に今この瞬間、あの提案を持ち込むことにした。

「ねぇ、ゆーなちゃん。今年はみんなでテスト対策しよっか」
「ふぎぇっ、」

 心菜は中間テストが近づいてきた5月の初めの方たる今日までで、優奈の中学校1年生の頃からの友人たちの性格をあらかた理解していた。そして、中間テスト対策の必要性を検討していた。
 ちなみに、心菜が必要だと感じたのは優奈と有栖川だけだ。新谷は変わっているが、頭はそこそこよくて、門川はと立花はテストの上位ランカーたる心菜と同じくらい勉強ができる。
 つまり、赤点まで行かないにしても危ないのは優奈と有栖川だ。優奈は毎度心菜が付きっきりでお勉強を見て赤点ギリッギリだから、心菜がいなければやばいだろう。というか、心菜が唯一勉強を見なかった1年の1学期の期末テストは副教科含めて全部赤点をとっていた。あ、いや、美術はギリギリ回避していた筈だ。ジャスト赤点の1点上で。
 心菜は頭痛のする額を抑えてテスト対策の構想を頭の中で練り始めた。有栖川の成績を前もって知る必要もあるから、今回はいつもよりも数倍大変だろう。

「ねえ、ちなみにだけど、有栖川ってもしかしなくとも赤点の常連さん?」
「そうだよ!!私は下から2番目!!だからね、テスト対策は、」
「やるよ」

 優奈の『テスト対策は必要ない』という言葉を途中で打ち切った心菜は、悪夢を想像して胃が痛くなった。

(胃薬と頭痛薬。多めにストックしとこうかな)

 併設されている薬局に思わず足を伸ばす心菜だった。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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