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52 水族館でも逸れる
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数分後、期待を裏切らない心菜は、見事にみんなと逸れてどこか分からない場所に辿り着いてしまった。順路をどこかで外れてしまったのか、周りには人気がなくてとても寂しい。道すら聞けない。だが、お魚さんがちゃんといて、展示スペースとなっているところから、ちゃんとお客さまが入っていい区画なのだろう。
「はあー………」
心菜は大きく溜め息をついて、床にうずくまった。うずくまっていてもどうにもならないのは重々承知だが、下手に動くと、もっと事態が悪化するのは火を見るよりも明らかだ。泣きたいのを必死に我慢して、心菜は目の前のふよふよ泳ぐお魚さんににこっと不恰好に笑った。
「私、本当にだめな子ね」
『はあぁー』っとまたもや大きな溜め息を吐いた心菜は、顔を膝に埋め込んで、もう何も見たくない、聞きたくないと世界の情報を断絶した。
それから、どのくらいの時間が経ったかは分からない。体感的には数分だったが、彼の表情からしてもっと時間が経っているのではないだろうか。
「はあ、はあ、馬鹿久遠、お散歩はもう十分か?」
「………うん」
心菜は迎えにきた立花の手を取り、ゆっくり立ち上がる。そして、泣きそうな顔で破顔した。
「………ごめんね、ありがとう」
彼に手を引かれて歩いていくと、比較的近いところで、優奈に有栖川、新谷、門川が待っていた。
「ごめん、迷った」
「うん、知ってる。ここなから目を離した私の責任だからね」
「………ううん、違う。私がちゃんとついていけなかったせい」
「不毛な争いはよして、さっさとイルカショーに行こうぜ!!始まっちまうからよ」
「うん」
有栖川の気遣いなはずなのに気遣いであることを感じない言葉に、心菜は困ったように笑って、そして立花に手を引かれて歩いた。心菜の遅いペースに合わせて立花が歩いてくれるせいで、他の4人との間に差ができてしまう。
「気にするな。ゆっくり見て回ろうぜ」
「………いいの?」
「あぁ、」
立花の言葉に甘えて、心菜は心赴くままに青い水槽の中を優雅に泳ぐ、さまざまなお魚さんを見て歩く。繋いだ手が妙に暑くて、心臓がバクバクいうせいで集中してお魚さんを見て歩くことができていない気がするが、そんな優雅なことは言えないと思った心菜は、無言で歩き続ける。
(また、ゆーなちゃんに怒られそうだな………)
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
新作
『ふむふむ成る程、わたくし、虐めてなどおりませんわよ?』を始めました。
紹介文は
ミルフィーユ・アフォガードは虐めっ子が原因で婚約破棄されたけれど、実は正義の味方だった!?
この際、自分を馬鹿にしてくる血筋至上主義のおバカどもを懲らしめます!!
さあ!泣いて喚くのよ!!
です。是非読んでみてください!!
「はあー………」
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「私、本当にだめな子ね」
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それから、どのくらいの時間が経ったかは分からない。体感的には数分だったが、彼の表情からしてもっと時間が経っているのではないだろうか。
「はあ、はあ、馬鹿久遠、お散歩はもう十分か?」
「………うん」
心菜は迎えにきた立花の手を取り、ゆっくり立ち上がる。そして、泣きそうな顔で破顔した。
「………ごめんね、ありがとう」
彼に手を引かれて歩いていくと、比較的近いところで、優奈に有栖川、新谷、門川が待っていた。
「ごめん、迷った」
「うん、知ってる。ここなから目を離した私の責任だからね」
「………ううん、違う。私がちゃんとついていけなかったせい」
「不毛な争いはよして、さっさとイルカショーに行こうぜ!!始まっちまうからよ」
「うん」
有栖川の気遣いなはずなのに気遣いであることを感じない言葉に、心菜は困ったように笑って、そして立花に手を引かれて歩いた。心菜の遅いペースに合わせて立花が歩いてくれるせいで、他の4人との間に差ができてしまう。
「気にするな。ゆっくり見て回ろうぜ」
「………いいの?」
「あぁ、」
立花の言葉に甘えて、心菜は心赴くままに青い水槽の中を優雅に泳ぐ、さまざまなお魚さんを見て歩く。繋いだ手が妙に暑くて、心臓がバクバクいうせいで集中してお魚さんを見て歩くことができていない気がするが、そんな優雅なことは言えないと思った心菜は、無言で歩き続ける。
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